取引所による市場の独占や様々な規制は、先進資本主義国で独占禁止法制の例外として容認されていたが、すでに述べたように機関投資家(具体的には年金、保険、さまざまなファンドなど)は、このような取引所の独占が果たして効率的な市場を実現しているかについて疑問を提出するようになった。このような不満を受ける形で、アメリカでは1970年代にまたイギリスでは1980年代に、取引所の独占を否定する市場改革が実現した。このうち1986年にイギリスで行われた改革は「ビッグバン」(参照ビッグバン (金融市場))と呼ばれるもの。日本で1997年から1998年にかけて行われた市場改革は、このイギリスの改革をもじって「日本版ビッグバン」(参照金融ビッグバン)と呼ばれる。このような市場改革がPTSの登場をもたらし、市場改革のスピードをさらに上げることを既存の取引所に迫っているのである。 店頭市場とは、取引所で扱わない証券の市場という意味である。日本では日本証券業協会(日証協)が1963年以来運営してきた店頭登録銘柄制度がこれにあたるが、2004年11月にジャスダック証券取引所への鞍替えに伴い消滅している。これには以下のような経緯による。 日本の店頭市場は証券会社間の相対取引が基本だが、店頭登録銘柄制度においては、1976年に発足した日本店頭証券(2001年にジャスダックに商号変更するとともに市場運営を日証協から受託)で、実質的に市場取引が行われていた。しかし法律的には市場取引が行われている場所として長く認知されなかっただけでなく、機能としては取引所の基準を満たさない企業のための補完的市場の位置を与えられ、企業が成長するとともに取引所に企業が移る関係にあった。1998年の証券取引法(現:金融商品取引法)改正では、店頭市場は店頭売買有価証券市場とされ、市場として取引所と対等の地位を与えられた。 しかし金融ビッグバン以降、マザーズやNASDAQ JAPANなど証券取引所が相次いで新興企業向け市場を立ち上げると、その補完的機能においても取引所とまともに競合するようになった。そこで日証協では2003年に店頭市場の活性化のため、2001年に「店頭市場」から改称した「ジャスダック(JASDAQ)市場」を証券取引所に転換する事を決定した。かくしてジャスダック市場は、2004年12月1日に日証協が母体となって設立した株式会社ジャスダック証券取引所へ改組され、それまで店頭銘柄とされていたものが(証券取引所に於ける)上場銘柄に変わった。この結果、日本では店頭市場・店頭銘柄は事実上消滅している。2010年には株式会社ジャスダック証券取引所が大阪証券取引所に吸収合併され、両社のヘラクレス市場・NEO・ジャスダック市場を(新)ジャスダック市場として統合・集約させている。 なお、アメリカ合衆国にはNASDAQが取引所と異なる店頭市場として設立されたが、現在では店頭取引本来の機能は喪失し、OTCブリティンボードに店頭取引は移行している。 また、台湾においては、タイペイエクスチェンジが設立されており、「台湾のナスダック」とも称される。 出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。(2023年4月)
店頭市場
参考文献.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}
福光寛『証券分析論』中央経済社, 1997
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鈴木芳徳『証券市場と株式会社』白桃書房, 2007
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