株式会社
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

かつては、出資者は会社の債務について無限責任を負うこととされていたが、今日では有限責任は普遍的な制度となっている[11][12]。もっとも、日本の合名会社合資会社においては、全部または一部の社員が会社の債務について無限責任を負う[13]

有限責任の下では、会社債権者にとっては会社の財産だけが責任財産となることから、会社債権者の保護も会社法の課題となる[14]
株式の自由譲渡性

株主が、その有する株式(出資持分)を自由に譲渡することができることを、株式の自由譲渡性という[15][16]

これは、株主がいつでも株式を譲渡して会社関係から離脱することができるようにすることによって、相互に信頼関係のない多数の者から広く資本を集めることができるようにする仕組みである。株式会社では、責任財産を会社に確保するために、出資の払戻しをすることが原則として認められていないため、株主にとっては株式の譲渡は投下資本回収のための重要な手段である[17]

もっとも、多くの中小企業のように人的関係が重要な意味をもつ会社では、自由譲渡性を認めると人的関係を維持することが難しくなることから、各国の会社法は、一定の会社について株式の譲渡を制限することを認めている。株式の譲渡を制限する会社については、日本の譲渡制限株式のように一般的な会社法の中の特則として設けられている場合もあれば、かつての日本やヨーロッパ大陸諸国のように閉鎖会社に関する独立の制定法による会社形態(有限会社)が設けられている場合もある[18]
所有と経営の分離

会社において、株主は直接経営を行わず、経営者取締役会など)に経営権を集中することを、所有と経営の分離といい、これは多数の株主を有する大企業では普遍的に見られる特質である[19]

このような傾向は、歴史的に会社が大規模化し、多くの株主から資金を集めなければならなくなった結果、株主が直接経営を行うことが難しくなり、専門的経営者に経営が委ねられるようになったことによる。アメリカでは20世紀初めころから所有と経営の分離が進んだ[20]。また、所有と経営を分離することにより、会社と取引をしようとする第三者にとっては、誰が権限を有するかが分かりやすいという利点もある[19]

各国とも、株主による投票で取締役が選ばれ、その取締役で構成される取締役会 (board of directors) が、経営上の意思決定及び業務執行の監督を行うというのが典型的な制度である。一方、日々の業務執行は、日本では代表取締役、アメリカでは執行役員 (officer) が行うのが通常である[21]
株主による所有

(1)株主が、会社を最終的にコントロールする権限(取締役を選任し、会社の運営上重要な事項を承認する権限)を有すること、(2)会社の純利益は株主に帰属することを指して、株主が会社を所有するという[22]。この意味で、会社は、組合匿名組合信託などと同様、出資者が所有する共同事業形態であるといえる[23][注釈 1]。もちろん、会社の純利益が株主に帰属する反面、会社に損失が出た場合も、株主は(配当を受け取れない、あるいは株価の下落という形で)そのリスクを負担する[24]

なお、上記のような法学的な説明とはやや異なる意味で、会社の目的は、株主の利益を最大化することにあるという立場(株主主権論)から「会社は株主のものである」という主張がされることがある[25]。これに対しては、「会社はコア従業員(長期的に会社に関わる従業員)のものである」という従業員主権論や、「会社はステークホルダー(株主、従業員、顧客、取引先、地域社会といった利害関係者すべて)のものである」という主張もされている[26]。このような会社は誰のものかという議論は、経営やコーポレート・ガバナンス(企業統治。後述)の重点をどこに置くかについての議論であるといえる[27]。また、ステークホルダー型コーポレート・ガバナンスと関連して、会社は地域の利益や雇用、環境を守る責任があるという企業の社会的責任(CSR) も主張されている[28]

ただし、例えば株主主権論の立場に立つとしても、従業員等のステークホルダーに正当な対価を支払わなければ株主の利益を生み出すことができないというように、「会社は誰のものか」という議論を、専らある者の利益のために会社を経営すべきであるという主張として理解することには実益があると指摘されている[29]
各国の株式会社「会社#各国の会社」、「株式会社 (日本)」、「株式会社 (ドイツ)」、「株式会社 (ポーランド)」、「公共株式会社」、および「コーポレーション」も参照

各国・地域の株式会社法域公開型閉鎖型
日本: 公開会社株式会社)(公開会社でない株式会社
インドネシアIndonesia: Perseroan Terbatas (PT)(PT
韓国: ????(株式會社)????(有限會社)
中国大陸: 股?有限公司有限公司
台湾: 股?有限公司有限公司
アメリカデラウェア州: stock corporations(close corporations)
欧州経済領域 (EEA)欧州経済領域諸国 (EEA): Societas Europaea
ベルギー: la societe anonymela societe privee a responsabilite limitee
: de naamloze vennootschapbesloten vennootschap met beperkte aansprakelijkheid
 デンマーク: aktieselskaberanpartselskaber
ドイツ: die Aktiengesellschaft (AG)die Gesellschaft mit beschrankter Haftung (GmbH)
ギリシャ: αν?νυμη εταιρ?αεταιρ?α περιομ?νη? ευθ?νη?
スペイン西: la sociedad anonimala sociedad de responsabilidad limitada
フランス: la societe anonymela societe a responsabilite limitee
la societe par actions simplifiee
アイルランド: public companies limited by sharesprivate companies limited by shares
: public companies limited by guarantee having a share capitalprivate companies limited by guarantee having a share capital
イタリア: societa per azionisocieta a responsabilita limitata
ルクセンブルク: la societe anonymela societe a responsabilite limitee
オランダ: de naamloze vennootschapde besloten vennootschap met beperkte aansprakelijkheid
 オーストリア: die Aktiengesellschaftdie Gesellschaft mit beschrankter Haftung


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:141 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef