株主
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会社法は、以下で条数のみ記載する。

概説

株式会社は持分会社と異なり、発起人以外の株主(社員)の氏名は定款に記載しない。株式会社は、株主名簿を作成し、株主の氏名又は名称及び住所、株主の有する株式の数、株主が株式を取得した日などを記載し、又は記録しなければならない(121条)。

株主名簿に記載されていることが会社に対して株主の権利を主張するために必要であるが、名義の書き換えを失念したとしても株主としての地位を失うわけではない。

株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる(126条)。

株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない(106条)。
株主平等原則

株主は株主平等の原則(109条)により、原則として、持ち株数に応じた権利を有する。
株主権の分類

株主権(株主の権利)は学問上、その性質に応じて自益権(直接的な経済的利益の享受を目的とする権利)と共益権(会社経営への参画を目的とする権利で、いわゆる経営参加権)に分類される。自益権はそのすべてが一株でももっていれば行使できる「単独株主権」であるが、共益権には一定数以上の株式を保有している株主でなければ行使できない少数株主権もある。会社法においては株主の権利については、105条その他に規定がある。
自益権
(直接的な経済的利益の享受を目的とする権利)


剰余金配当請求権、
利益配当請求権残余財産分配請求権新株引受権株式買取請求権など。

共益権
(会社経営への参画を目的とする権利。
経営参加権


株主総会における議決権(第308条1項 [9]

単独株主権

取締役会の招集の請求(367条)

訴訟の提起権会社の組織に関する行為の無効の訴え(828条)株主総会決議取消訴訟の提起権(831条1項 [10]株主代表訴訟提起権:6箇月前から継続保有する株主(847条以下 [11])。

差止請求権募集株式発行差止請求権(210条)、新株予約権発行差止請求権(247条)、略式組織再編行為差止請求権(796条)取締役の行為差止請求権(360条):6箇月前から継続保有する株主取締役が、株式会社の目的の範囲外の行為等をし、又はこれらの行為をするおそれがある場合において、著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求することができる。監査役設置会社監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社においては、「回復することができない損害」が生ずるおそれがあるとき請求することができる。執行役の行為差止請求権(422条):6箇月前から継続保有する株主

閲覧等請求権株主名簿の閲覧・交付(125条)取締役会議事録の閲覧・交付(371条)監査役設置会社又は委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、請求をすることができる。計算書類等の閲覧・交付(442条)貸借対照表の閲覧・交付(496条)


少数株主権株主提案権(303条2項)、株主総会招集請求権(297条)、会計帳簿閲覧請求権(433条)、簡易合併等に対する反対権(796条4項)


株主の責任

株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする(104条)。

所有と経営の分離」の原則から、株主は会社の経営から概念上分離される。出資者である株主は、株式を購入するために出資をした金額を超えた責任は負わない[12]。更なる負担を求められることもない。これを「株主有限責任の原則」という[13]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ : common shareholders
^ : preferred shareholders
^ : majority shareholder
^ あくまで株主の中での支配者や取締役会に対する支配者、という意味。会社というのはステークホルダーは多種類いて、互いに支えあったり影響を与えあったりする関係にある。その中で顧客の力は大きく、もしも顧客の大半にそっぽをむかれると、売上が激減し、大抵の会社は立ち行かなくなり、顧客の意向に背いた経営は長期的にはやりつづけられないので、広い意味では、顧客群(お客様)が会社の(間接的だが、最大級の)支配者となっている。またマジョリティ・シェアホルダーが問題含みの判断をしすぎると、ステークホルダーの一種である従業員も団結して、経営者や大株主に異議を唱えることもあり、全ての従業員が業務をボイコットすれば、(マジョリティ・シェアホルダーがどれだけ議決権があることを振りかざしても、せいぜい一部の従業員を選択的に解雇して、逆に提訴され長期裁判になったり泥沼に陥るなどするばかりで)しばしば結局その会社の健全な経営は続けられなくなる。マジョリティ・シェアホルダーだからといって、何もかもが思い通り、というわけではない。
^ 日本に限った話をすると、大多数の株式公開会社において、定款又は株式取扱規則で、日本国内に常任代理人を置くべき旨を定めており、株主総会招集通知の送達、配当金の支払いは、常任代理人(ほとんどは、海外業務を行っている都市銀行か外国銀行又は外国証券会社の東京支店)に対してなされる。
また、一般的に株主名簿における名義人となっている外国法人は、カストディアン又はグローバル・カストディアンと呼ばれる金融機関であり、真の株主の委託を受けて事務を代行しているだけである。この場合、真の株主は国外のミューチュアル・ファンド等の機関投資家である。
なお、海外市場に上場している場合はADR等預託証券の預託会社が名義上の株主となっている場合が多い。
^ 日本に限った話をすると、代表的なマスタートラスとしては 日本マスタートラスト信託銀行(主要株主:三菱UFJ信託銀行日本生命保険明治安田生命保険ドイツ銀行
日本トラスティ・サービス信託銀行(主要株主:三井住友トラスト・ホールディングスりそな銀行
資産管理サービス信託銀行(主要株主:みずほフィナンシャルグループ第一生命保険朝日生命保険明治安田生命保険富国生命保険)などがある。
^ : cash-flow rights
^ a b : voting rights
^ : right to receive dividends
^ とは言っても、さまざまな制約があり、一般論として言えば、指名を行うことはかなり難しい。
^ : right to inspect books and records

出典^ “コトバンク”. 2020年7月15日閲覧。
^ Cambridge Dictionary
^ Majority Shareholder Investopedia 2021年10月6日閲覧。
^ 会社支配に必要な株式数は何%か 2021年03月11日更新 2021年10月6日閲覧。
^ 杉浦秀樹『米国ビジネス法』中央経済社、2007年、476-478頁
^ a b c d 杉浦秀樹『米国ビジネス法』中央経済社、2007年、478頁
^ a b 杉浦秀樹『米国ビジネス法』中央経済社、2007年、476頁
^ a b c Velasco, Julian (2006). “The Fundamental Rights of the Shareholder” (PDF). UC Davis L. Rev. 40: 407?467. https://lawreview.law.ucdavis.edu/issues/40/2/articles/davisvol40no2_velasco.pdf 2018年4月16日閲覧。


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