栗田貫一
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アフレコ当日については、共演者にあいさつもできないほど緊張しており[17]、更に収録時はダメ出しも多く[23]、そのせいか途中で台本の台詞が読めなくなったと語っている。しかし、1人にさせてもらい目を閉じた時、目の中に白いタキシードを着た山田が浮かび「クリカン、お前のルパンをやればいい」と励まされたという[26]。一方で収録後、栗田は山田に報告に行きたかったが「会ってもショックを受けるだけだ」と思い行けなかったという[27]

一部では「山田本人が後継に任命した」といわれることがある[28]が、栗田はこれを否定している。ただし、山田は晩年のアフレコ時に冗談で「あとはクリカンにやらせろ」と言ったり[29]、体調が悪い時期にリテイクを繰り返し疲れた際「クリカンがやったって同じなんだから、クリカンを呼べよ」と言っていたことがあったという[18]

『くたばれ!ノストラダムス』公開後、演技を評価する声や視聴者から応援の手紙が届くなど反響が大きかったことが決定打となり、正式な2代目ルパン役に就任することになった[16]。なお、栗田は何度もオファーを断ったものの、放送する日本テレビのプロデューサーである中谷敏夫が別の仕事で大阪へ向かう新幹線に乗り込んでまで説得する熱意に折れたことで、最終的に引き受けることを決意したという[20][30]
試行錯誤

ルパンを演じ始めてしばらくの間は、自身の体の中に山田が乗り移ったような感覚があったという。自分では間違っても発音出来ない台詞が自然と考えるまでもなく出てくるようなことがあったり[注 1]、自分の体の前にアフレコをしている山田の背中が見えていたりといった現象があったこともインタビューで述べている。また、不二子役の増山江威子も「収録中、山田さんがいるのかとぞくっとして振り向いたことがある」と似た趣旨の発言をしている[18]

一方で、「最初はやるのも嫌だったし、やった後も嫌だった」と吐露するほどに違和感があったといい[31]、完成作では自分の声への嫌悪感や演技の技量の無さを感じ[32]、「自分で見て、自分が一番気持ち悪かった」と述べている[31]。また、演じ始めた頃について、「モノマネのネタとしてやっていたのはせいぜい20秒くらい」「象徴的な部分しかやったことがなかった」ことから、ルパン特有の陽気な感じの喋り口調はできても、普段の会話の場面はモノマネらしく大袈裟なノリになってしまうため一番苦労したことを明かし、「モノマネと声優は全く違うもの」と語っている[23][31]

ルパンを演じるようになってからしばらくは経験不足ゆえの演技力の弱さを克服するため、『ルパン三世 1$マネーウォーズ』などでは他の出演者たちと収録した後、それを聞きなおして自身の演技を添削し、再度自分のパートのみ録音するという作業を行っていた[33]

2011年、『ルパン三世 血の刻印 ?永遠のMermaid?』で石川五ェ門峰不二子銭形警部の声優が交代となった際[34]、当初はルパンも交代予定であり「ヘタなりにルパンを十分やらせていただいた」と交代に納得していたが、「どうしても適任者が見つからない」と再び声がかかったという。何度も「自分でいいのか」と念を押したが、スタッフの意志が固かったことから心機一転し、続投を決意したという[23]。また、この時に新作アフレコ前に新キャスト陣と顔合わせ、親睦のために一席を設け、結束を深めたことも明かしている[17]

2012年放送の深夜枠テレビシリーズ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』では、演出の清水洋史に「もっと低く、冷たい声を」と求められ、ルパンとしての演技の幅を広げる契機になったと語っており[35]、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』では「初めて栗田貫一を意識せずにルパン役を演じることが出来た」と語っている[36]

後に、2011年の一部声優交代後は「もちろんベースにあるのは、山田さんの作ってこられたルパン」としつつも「山田さんのことを一度考えるのではなく、『ルパンを演じればいいんだ』と思えるようになった」と徐々に演じ方が変わったことを告白[37]。それまでは「アフレコ前に一回山田さんになって、山田さんからルパンになってという感じ」で演じていたが、そこから「山田さんになる」という経緯をなくし「ルパン三世を演じる」ことに集中するようになったという[28][38]
山田のものまね

「自分は山田のものまねである」という認識と共に、「山田が作り上げたルパンを貶めてはならない」という責任を重く感じている。

山田の没後に彼の息子の山田浩康と?んだ際、その声が父親そっくりなので「代わりにルパンを引き受けて」と本気で頼んだことがあるというエピソードがある(結局浩康は固辞した)。

過去のインタビューでは、ルパンを演じる理想として「山田さんがやっていると思ったまんま、(視聴者が)聞いてくれているぐらいが最高な名誉ですよね。実は、誰も知らない間に山田さんがずっとやっている事になっていたら、最高なものまね冥利ですよね」「山田さんという手本があれば、完璧にルパンをものまねできるが、山田さんが亡くなっているので、今では完全には真似できない。今の僕は山田さんならきっとこういう感じで表現すると思いながら、山田さんのルパンの匂いを少しでも出せるよう演じている」と発言していたこともある[21]。自身の演技をするようになってからもその気持ちは変わらず、「山田さんが作り上げたルパン三世のテイストは消してはいけない」と述べている[38]

かつてはアフレコの際、数日前から山田が演じるルパンの各作品を見続けてイマジネーションを高めてからアフレコに臨んでおり、気になる部分は繰り返し視聴し「山田さんの温度」になるまでじっくり聞き込んでから収録に臨んでいた[17]。現在も、収録当日に山田の演じる『ルパン三世 カリオストロの城』を見直してアフレコに臨んだことを明かしており[28][39]、栗田曰く「『音』を確認してから家を出る。


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