Willing Rejection等、上記以外の分類をする著名論文誌もある[12]。 編集者は、査読者の意見を元に、原稿を採用するかどうかを決定する。形式上、編集者の権限は独立であって、査読者の意見を受け入れる義務はないが、たいていの場合は査読者の評価がすべてmajor revision以下であれば掲載拒否になる。あまりに査読者間で評価が分かれていて採否決定が難しいときは、もうひとり別の査読者を選定することもある。また、内容的には優れているものの、分野的に雑誌内容にそぐわない場合などは、他の雑誌への投稿を勧めることもある。 編集者は、著者に採否を告げる。 採用の場合、通常、査読者のコメントが同時に返却される。たいていの場合、論文は多かれ少なかれ訂正を要求される。著者は示された疑問点・改善点にしたがって、原稿の訂正 (revise) を行い、編集者に返送する。もし訂正が十分でないと再び査読に回るおそれがあるため、この訂正は慎重に行うべきである。 不採用の場合は、掲載拒否 (reject) を告げる。この場合、査読者のコメントも返却されないことがある。不採用の場合はここでこの雑誌への投稿プロセスは終了であり、著者は他に原稿を採用してくれそうな雑誌を探し再投稿するか、あるいは発表を諦める。 編集者は、著者による訂正が十分なものであると判断したら、著者に受理 (accept) を告げる。これ以降はその論文はほぼ発表したのと同じ価値を持ち、正式な業績にも印刷中 (in press) として書くことができる。 訂正が不十分であると思ったら、原稿は受理されず、再び査読に回される。 受理された原稿は、編集者によって誌面用の構成に直され、著者による校正が行われた後、出版される。投稿から出版までの時間は分野により大きく異なり、数週間程度から1年を超えることもあり、雑誌によっては2年近くかかる場合もある。一方で近年は電子化が進んだことを利用して、速報性の観点から素早い査読プロセスを特色とする例[13]や、査読通過後に最終校正が済む前の論文をオンラインで公開する例[14]も見られる。 著者には自分の論文の部分だけを抜き出し、簡単な表紙をつけた別刷り(もしくは抜き刷り)が渡される。有料・無料は雑誌による。別刷りは就職・転職活動時などに同封する場合もあり研究者にとって重要であるが、提出はコピーでよい場合も多い。近年は論文のPDFファイルを著者に無料で送付し、別刷り購入はオプションという場合もある。 匿名性の扱いは、分野・雑誌によって少しずつ異なっている。査読中は、著者は誰が自分の論文を審査しているか知らされない。ときどき、著者は編集者の名前すら知らされないことがある。 著者と査読者とがお互いに相手の名前を知らない状態で行われる査読方法を、ダブル・ブラインド法という。これは、(例えば著者が非常に高名なときなどに)著者の名前で審査が偏らないようにするためである(これに対し、一般的に行われている査読者が著者の名前を知っている場合をシングル・ブラインド法ということがある。どちらにしても、査読者の匿名性は保持される)。ダブル・ブラインドで査読を行う場合、著者は自分が誰だかわかってしまうような参考文献をすべて取り払うように要求される。 ただし、一般的にはダブル・ブラインドはあまり採用されない。これは、いくら編集部が匿名性を維持しようと努力しても、失敗に終わることが多いからである。用いているアプローチ、方法、記述方法などから、同じ研究仲間ならだいたい著者がどのグループであるのか、ときには執筆者が誰なのかまで特定できてしまう。 また、伝統的な「査読者の著者に対する匿名」も、徐々に変わりつつある。いくつかの学術分野では、ほとんどの雑誌が、現在では査読者に匿名を維持するかどうかを尋ねるようになっている。論文には、ときに改善点を指摘してくれた査読者への謝辞を名前入りで掲載することもある。 査読の厳しさは、雑誌によって大きく異なる。『サイエンス』『ネイチャー』のような一流雑誌は、発表に対して非常に厳しい基準を設けており、科学的に高い質を持っていても、該当分野で「画期的な進歩」を感じさせないような仕事では掲載拒否されてしまう。一方、『アストロフィジカルジャーナル』などでは、査読は明白な間違いや、不十分なところを除外するためにだけ使用される。このような審査基準の違いは投稿の発表される割合に反映されており、『ネイチャー』が受け取った論文の5?10%程度[4]しか掲載しないのに対して、『アストロフィジカルジャーナル』は実に70%を発表する。この発表割合の違いは、雑誌の厚さにもまた反映されている。 また、審査は学問分野によっても多少厳しさが異なる。例えば物理学者などには、論文の価値は市場原理に委ねられるべきだと考える人も多く、実際に後述するプレプリントサーバーなど、そのようなシステムが確立している。そのような文化の中でも、査読は出版されるのに十分な高い基準をもたらしている。完全な間違いは見つけられ、著者は訂正や提案を受け入れている。 同じ学会が発行する雑誌同士であっても、審査の厳しさが異なる場合がある。例えば同じ日本物理学会の日本語会誌『日本物理学会誌』[15]では査読が保証されないが、英文誌『Journal of the Physical Society of Japan』(JPSJ)では査読が保証される[16]。 この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
採否の決定
結果の通知
受理
出版
様々な査読のスタイル
匿名性の扱い
審査の厳しさ
問題点.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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