査読
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

このような審査基準の違いは投稿の発表される割合に反映されており、『ネイチャー』が受け取った論文の5?10%程度[4]しか掲載しないのに対して、『アストロフィジカルジャーナル』は実に70%を発表する。この発表割合の違いは、雑誌の厚さにもまた反映されている。

また、審査は学問分野によっても多少厳しさが異なる。例えば物理学者などには、論文の価値は市場原理に委ねられるべきだと考える人も多く、実際に後述するプレプリントサーバーなど、そのようなシステムが確立している。そのような文化の中でも、査読は出版されるのに十分な高い基準をもたらしている。完全な間違いは見つけられ、著者は訂正や提案を受け入れている。

同じ学会が発行する雑誌同士であっても、審査の厳しさが異なる場合がある。例えば同じ日本物理学会の日本語会誌『日本物理学会誌』[15]では査読が保証されないが、英文誌『Journal of the Physical Society of Japan』(JPSJ)では査読が保証される[16]
問題点.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "査読" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2023年4月)

査読の遅さによるアイディアの盗用

最もしばしば指摘されている査読制度の問題点は、「査読は遅い」というものである。分野によっては、論文を投稿してから印刷されて日の目を見るまで、数か月から数年もかかることがある。査読者の中には、査読に回されてきた論文のアイディアを盗用し、査読を意図的に放置・遅延して公表が滞るようにしておいて、自分の同僚や自分が親しくしている研究者にすばやく連絡をとり教えてしまう者や、(なかには)査読者として読んだアイディアで自分自身の論文をすぐに書いて自分の手柄として先に発表しようとする者すらもいる。

実際にそういった弊害が広く知られているから、例えば天文学などの分野では、新しい結果についての速報は査読誌に発表されず、arXivのような、プレプリントサーバと呼ばれる電子サーバに論文が登録されるようになっている。物理学分野、特に高エネルギー物理学理論においても、まず最初にプレプリントサーバに投稿し、反応を返してきた専門家等との議論を経て推敲を行った後に(あるいは同時に)、査読付き学術雑誌へ投稿するというのが一般的な流れになっている。数学分野においても、かの有名なポアンカレ予想についての証明に関する論文が、プレプリントサーバへの登録という形で発表された。このような方法であれば、最初にその成果を発表した人が誰であるかが一目瞭然であり、査読されている間に研究データやアイデアが盗用されて論文にされてしまうという危険性も少ない。また、プレプリントサーバの論文は誰でも無料で閲覧可能であるので、誰もが内容の正当性をチェックすることができ、革新的なアイデアや結果であればその流布が早まるために、研究の発展も全体として早まり得る。しかし、プレプリントサーバへは日々大量の論文の投稿がなされており、どれが革新的なアイデアで、どれが読むに値するものであるかを判断することは極めて難しいという短所もある。
査読者が嫉妬・ねたみで及ぼす悪影響

一部の科学社会学者は「査読制度においては、エリートや、あるいは個人的な嫉妬によって出版をコントロールできてしまう」と主張している。査読者は、意識的・無意識的にかかわらず、自分の意見と逆の結論には非常に批判的になる場合もあるし、反対に自分の関係者には甘い評価をすることもある。たとえ中立的な立場の査読者による査読であっても、ある学術誌では議論が不十分、あるいは論点が誤っているとして掲載拒否されたものが、他の学術雑誌では掲載されることもよくあり、その論文をどう評価するかはやはり査読者によって大きく左右されてしまう部分がある。
科学の硬直化

いわゆる「権威のある」科学者は、あまり権威のない人に比べて、有力な雑誌や出版社の査読者として採用されやすい。したがって、エリートの主張に沿った考えは、反動的・革命的なものに比べ、コアジャーナルに載りやすい。この見方はトーマス・クーン科学革命論と一致する。
コアジャーナルを避けても、同じ査読者が多数のジャーナルにかかわって悪影響を及ぼし続ける可能性

ある人は「発表できる学術雑誌は非常にたくさんあるので、情報のコントロールは難しい」といっている。さらに「査読での意思決定は、それぞれの査読者がばらばらに行っており、他のメンバーと相談したりしないため、上記の事項はそれほど問題ではない」と主張する者もいる。しかし、例えばその論文が複数の専門分野にまたがるような内容であったり、または専門家があまり多くはない分野である場合は、査読できる専門家の数が非常に限られ、結果的にごく少数の人間の判断や意見が大きく影響を持ってしまうこともある。この場合、先に述べたようにある雑誌で掲載拒否されたときに別の雑誌に投稿し直した場合でも、同じ査読者に論文の査読が依頼されてしまうこともあり得る。しかし、最終的な決定権は編集者および雑誌の事情に委ねられており、査読者が論文の出版可否を判断する権限を持つわけではない。そのために、同じ査読者が同じコメント(肯定的か否定的かにかかわらず)を提出したとして、それの受け取り方は雑誌により異なっている。
問題がある査読者

当然ながら査読者も人間にすぎない。間違った判断をすることもあるし、人格や人間性に問題がある場合もある。論文の議論の流れを誤解してしまう査読者もいる。忙しいことを言い訳に、査読の依頼を受けておきながらそれを長い期間放置して、論文投稿者に迷惑をかけたりその人生にダメージを与えても平然としている不届き者もいる。
過度な信頼感を与える可能性

すでに査読されている論文というのは、実態以上にその論文の信頼度をあげてしまう可能性がある。特にNatureなどのトップジャーナルに掲載された論文は、その傾向が強く、明らかな破綻が認められる研究が長期間撤回されないままでいることで、その後の研究や技術開発等の面で悪影響を与えることがある[17]
科学における不正行為と査読の限界

査読は、科学者の手による研究の捏造盗用などの科学における不正行為を見つけるような仕組みにはなっていない。そのため、査読を通過したものの後になって他の研究者によって不正や誤りが判明した事例も多く見られる。

そもそも学術雑誌における査読では、論文が正直に書かれていることを前提としている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:51 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef