柳さく子
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当時の松竹では、新人俳優にテストのため、先輩のスタンドイン(吹き替え)をさせる風習があったが、その少女は同じく小柄で、風体も似ていたさく子の吹き替えをよくさせられた[29]。やがてその少女は、さく子主演の『元禄女』で正式にデビューする[29]。彼女こそ後年の大女優・田中絹代である[29]。
1960年春、吉村公三郎監督が松竹京都で、映画『女の坂』を撮影していた際、結婚式のシーンに出ていたエキストラの中に、大変上品なおばあさんがいた[25]。 立ち居振る舞いが美しい上に、花嫁の着物の乱れを直したりして、中々気がきく[25]。感心した吉村がそのことを助監督に話すと、「御存知ないのですか?柳さく子さんですよ」と返されて非常に驚いた[25]。吉村は声をかけようと思ったが、そのままにしていた方が返って親切だろうと思って止めた[25]。
先述した吟松寺の「柳咲子地蔵尊」には、1990年前後より鮮やかな衣装が着せられるようになった[30]。雑誌で柳さく子の存在を知ったという30代ぐらいの男性が月1回程度オートバイで弔問に訪れ、衣装を着せ替えていたらしく、散策で時折同寺を訪れる文芸評論家の末延芳晴によれば、この男性も2009年から2010年頃より姿を見せなくなったという[30]。生誕110年の2012年11月3日にも参拝者はなく、2013年の歿後50年を迎えてその存在は忘れ去られようとしている[30]。
フィルモグラフィ
松竹蒲田撮影所
『不如帰』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年3月9日公開 - 豊子 ※現存(NFC、マツダ映画社所蔵[31][32])
『母の心』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年5月9日公開
『屑七の家』 : 監督島津保次郎、サイレント映画、1922年5月21日公開
『大西郷の死』 : 監督賀古残夢、サイレント映画、1922年5月31日公開
『祇園夜話』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年6月10日公開
『想夫憐』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年6月30日公開
『清水の次郎長』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1922年7月31日公開 - 女房・お蝶
『想出の唄』 : 監督牛原虚彦、サイレント映画、1922年7月31日公開
『曳かれ行く日』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年8月21日公開
『妖女の舞』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年10月1日公開 - 永澤菊江
『悔恨』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年10月14日公開
『夫として妻として』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1922年11月10日公開
『残光』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1922年11月19日公開
『船頭小唄』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1923年1月8日公開 - 芸者お品
『乃木将軍幼年時代(乃木将軍の初陣)』 : 監督島津保次郎、サイレント映画、1923年1月18日公開
『死に行く妻』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年2月1日公開
『狼の群』 : 監督牛原虚彦、サイレント映画、1923年3月1日公開
『なすな恋』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年4月1日公開
『帰らぬ人形』 : 監督大久保忠素、サイレント映画、1923年4月30日公開
『大東京の丑満時 第一篇 悲劇篇』 : 監督池田義臣、サイレント映画、1923年5月16日公開
『大東京の丑満時 第三篇 怪異篇』 : 監督牛原虚彦、サイレント映画、1923年6月15日公開
『女と海賊』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年7月1日公開 - 女中・お秀
『水藻の花』 : 監督池田義信、サイレント映画、1923年7月1日公開 - 芸者
『剃刀』 : 監督島津保次郎、サイレント映画、1923年7月27日公開
『萩寺心中』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年8月21日公開
『村井長庵』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年8月31日公開
『地獄(焦熱地獄)』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1923年9月23日公開
『嬰児殺し』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1924年2月29日公開
『はたちの頃 第一篇』 : 監督池田義信、サイレント映画、1924年3月23日公開 ※縮刷版が現存(マツダ映画社所蔵[32])
『感じの好い映画集 《猫》』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1924年4月13日公開 - 竹本鶴嘉、どんどろのお弓
『美濃屋の娘』 : 監督小沢得二、サイレント映画、1924年5月1日公開
『日曜日』 : 監督島津保次郎、サイレント映画、1924年5月11日公開
『嘘』 : 監督野村芳亭・池田義信、サイレント映画、1924年5月16日公開
『水車小屋』 : 監督小沢得二、サイレント映画、1924年5月21日公開
『踊りの夜』 : 監督小沢得二、サイレント映画、1924年5月31日公開
『女殺油地獄』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1924年5月31日公開
『大和魂』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1924年6月21日公開
『大尉の娘』 : 監督野村芳亭、サイレント映画、1924年7月11日公開
『山男の恋』 : 監督清水宏、サイレント映画、1924年8月10日公開 - お静
『帰らぬ父』 : 監督小沢得二、サイレント映画、1924年9月2日公開
『村正小町』 : 監督重宗務、サイレント映画、1925年10月1日公開
『上野の鐘』 : 監督重宗務、サイレント映画、1925年11月7日公開
『正ちゃんの蒲田訪問』 : 監督蔦見丈夫、サイレント映画、1925年12月31日公開
『お初吉之助』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年1月21日公開
『お園』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年1月30日公開
『若き女の死』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年3月12日公開
『女坂崎』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年4月30日公開
『八百屋お七』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年6月10日公開
『五月雨の頃』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年7月1日公開
『お夏清十郎』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年10月29日公開
『侠妓美弥吉』 : 監督重宗務、サイレント映画、1926年12月11日公開 - 松葉屋 美弥吉 後に瀧夜叉お峰
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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