嘉納治五郎は次のように書き残している。「従来の柔術諸派の形は、大別して見ると、起倒流、扱心流等を以て代表せしめ得る鎧組打系統の形と、楊心流、天神真楊流等を以て代表せしめる当身、捕縛術系統の形とに大別することが出来る。乱取の形の中、投の形は前者に属し、固の形と極の形は後者に属するものである。かくして出来た極の形も、未だ完全のものと認むることは出来ぬが、今日の儘でも、従来の柔術諸派の形に比して一段優れたものであるということはこれを明言し得る所であるー。」[43] 講道館柔道は形(かた)、乱取(らんどり)によって技術を修行するように示されている。しかし競技大会における「柔道」とはほぼ乱取を意味するものであり、形については国民の認識も薄い。 このことから1990年代以降は「形」の競技化が進められ、次項で説明する形競技も行われるようになった。 形の競技化、試合も始まっている。 日本国内では、1997年(平成7年)には講道館と全柔連が全日本柔道形競技大会
柔道競技
試合
形試合詳細は「柔道形」を参照
2008年11月には、国際柔道連盟がIJF形ワールドカップをパリで開催したが、投の形では優勝を逃している。
2009年10月には第1回世界形選手権大会がマルタで行われ、こちらは5種目とも日本勢が優勝した。第2回世界形選手権大会は2010年5月、ブダペストで行われ、日本チームは全5種類の形で優勝した。 講道館柔道の試合は、通常、年齢と体重によって制限されており、男女も別である。年齢には下記のように制限がある。
大会
大会のレベル
マスターズ:30歳以上
シニア
ジュニア:15歳以上21歳未満
ユース
カデ:15歳以上18歳未満
主な大会
オリンピックの柔道競技
世界柔道選手権大会
全日本柔道選手権大会
全日本選抜柔道体重別選手権大会
嘉納治五郎杯東京国際柔道大会(2008年をもって終了、グランドスラムに引き継がれる)
全日本ジュニア柔道体重別選手権大会
講道館杯全日本柔道体重別選手権大会
皇后盃全日本女子柔道選手権大会
都道府県対抗全日本女子柔道大会(2009年をもって終了)
福岡国際女子柔道選手権大会(2006年をもって終了)
国民体育大会
全日本学生柔道優勝大会
全日本学生柔道体重別選手権大会
全国高等学校柔道選手権大会
金鷲旗高校柔道大会
全国青年大会
全日本柔道形競技大会
そのほか柔道の大会も参照のこと
体重別階級詳細は「オリンピック柔道競技#実施階級」を参照
柔道は本来無差別で争われるべきという考えにもとづいていたため、講道館柔道では無差別を除くと段別・年齢別がその区分の中心であった。しかし、東京オリンピック開催を機に、体重による区分を軽量級、中量級、重量級の3階級設けたのが最初である。講道館柔道ではのちに8つの階級に分かたが、主催者や競技者の年齢によって異なることがある。国際大会では、シニア、ジュニア、カデなどで制限が異なる。 男子 男子 大会開催年の12月31日時点で年齢15歳以上21歳未満。 男子
シニアの個人戦
60 kg 以下60 ? 66 kg66 ? 73 kg73 ? 81 kg81 ? 90 kg90 ? 100 kg100 kg 超無差別
女子
48 kg 以下48 ? 52 kg52 ? 57 kg57 ? 63 kg63 ? 70 kg70 ? 78 kg78 kg 超無差別
シニアの団体戦
66 kg 以下66 ? 73 kg73 ? 81 kg81 ? 90 kg90 kg 超
女子
52 kg 以下52 ? 57 kg57 ? 63 kg63 ? 70 kg70 kg 超
世界ジュニア
55 kg 以下55 ? 60 kg60 ? 66 kg66 ? 73 kg73 ? 81 kg81 ? 90 kg90 ? 100 kg100 kg 超
女子
44 kg 以下44 ? 48 kg48 ? 52 kg52 ? 57 kg57 ? 63 kg63 ? 70 kg70 ? 78 kg78 kg 超
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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