柔道の当身技において、極の形の居取の技「横打」では居取りから肩固で制し倒した受けに対し肘当を水月(みぞおち)に当てる技となっており、居取の技「後取」では座した状態の投げで巻き込み倒した受けに対し拳当を釣鐘(股間の急所)に当てる技となっている。立合の技「後取」では立った状態からの投げで倒した受けに手刀当を烏兎(眉間)に当てる技となっている。[36]
また、精力善用国民体育の単独動作・第二類の当身技・腕当の拳当「下突」(「左右交互下突」「両手下突」「前下突」)は下方・倒れた相手への突き技を想定した動作を体育的に行う運動となっている。[36]
また、当身技・足当の踵当「足踏」は、講道館護身術・徒手の部・組み付かれた場合・「抱取」(かかえどり)で使用される際には、踵で足の甲を踏みつける技となる[37][38]が、応用として倒れた相手への止めの踏みつけの技ともなる。[39] 柔道には固技だけでなくブラジリアン柔術や総合格闘技で言うところのパスガード、スイープの寝技技術が豊富にある。パスガードは抑込技でのスコアにつながるので、あっても不思議はないが、スイープについてはブラジリアン柔術のようにポイントも得られない「スイープ」のような総称、概念もあまりないにもかかわらず豊富にある。UFC以前からパスガード、スイープの技術がある格闘技は珍しく、他にはブラジリアン柔術、前田光世が指導員をしながら技術を吸収したロンドンの日本柔術学校の不遷流の流れをくむ柔術、着衣総合格闘技の柔術ファイティングシステムなどがある。創立当初、寝技はあまり重視されておらず、草創期に他流柔術家たちの寝技への対処に苦しめられた歴史がある。 講道館の設立当初においては、天神真楊流や起倒流の形がそのままの修行され、当身技の技法、概念もそこから継承され修行されていた[40][41][42]。その後、乱取り技や真剣勝負の技など目的ごとに整備分類され技も追加され、大日本武徳会における形制定委員会などを通して古流柔術諸流派との議論・研究の元、「実地に就いて研究の結果、遂に全員の一致を見るに至」[43]り、各流派の技も追加されていき、のちの形の姿になっていった。 嘉納治五郎は次のように書き残している。「従来の柔術諸派の形は、大別して見ると、起倒流、扱心流等を以て代表せしめ得る鎧組打系統の形と、楊心流、天神真楊流等を以て代表せしめる当身、捕縛術系統の形とに大別することが出来る。乱取の形の中、投の形は前者に属し、固の形と極の形は後者に属するものである。かくして出来た極の形も、未だ完全のものと認むることは出来ぬが、今日の儘でも、従来の柔術諸派の形に比して一段優れたものであるということはこれを明言し得る所であるー。」[43] 講道館柔道は形(かた)、乱取(らんどり)によって技術を修行するように示されている。しかし競技大会における「柔道」とはほぼ乱取を意味するものであり、形については国民の認識も薄い。 このことから1990年代以降は「形」の競技化が進められ、次項で説明する形競技も行われるようになった。 形の競技化、試合も始まっている。 日本国内では、1997年(平成7年)には講道館と全柔連が全日本柔道形競技大会
寝技
柔道形詳細は「柔道形」を参照
柔道競技
試合
形試合詳細は「柔道形」を参照
2008年11月には、国際柔道連盟がIJF形ワールドカップ
をパリで開催したが、投の形では優勝を逃している。2009年10月には第1回世界形選手権大会がマルタで行われ、こちらは5種目とも日本勢が優勝した。第2回世界形選手権大会は2010年5月、ブダペストで行われ、日本チームは全5種類の形で優勝した。 講道館柔道の試合は、通常、年齢と体重によって制限されており、男女も別である。年齢には下記のように制限がある。
大会
大会のレベル
マスターズ:30歳以上
シニア
ジュニア:15歳以上21歳未満