柔道
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〈頭部〉(前頭部および後頭部):前頭当[31]、後頭当[32]
上記は嘉納治五郎『柔道教本』(1931年)、〈〉は「活法と当て身」(『世界柔道史』1965年)、*は講道館『決定版 講道館柔道』(1995年)、「講道館柔道の技名称一覧」(日本武道館編『日本の武道』2007年)、※は精力善用国民体育、の分類による。当身技の大部分は、腕や脚でもって掛けられるが、頭部もときに使われる[33]。前頭部および後頭部を力点として使う[34]。相手に抱きつかれたとき、前からならば前額部で、後ろからならば後頭部で相手の顔面を攻撃する[35]。当て身技を使うときは、敏捷軽快であると同時に、冷静沈着にして、正確に当てなければならないが、当てたあとは、当てた時の早さと同じ速度で(むしろそれ以上速く)、後ろに引き、直ちに次の動作にうつる構えをしなければならない。ゆえに打てば必ず引くことを、合わせて練習しなければならない[34]
急所
急所は、天神真楊流の名称を踏襲している。天倒、霞、鳥兎、獨鈷、人中、三日月、松風、村雨、秘中、タン中、水月、雁下、明星、月影、電光、稲妻、臍下丹田、釣鐘(金的)、肘詰、伏兎、向骨。当身技は形のなかで教授されるが、のちには昇級・昇段審査においても行われることがまれであるため、柔道修行者でもその存在を知らないことも多く、また指導者も少なくなった。
寝技・寝姿勢に関連する当身技

柔道の当身技において、極の形の居取の技「横打」では居取りから肩固で制し倒した受けに対し肘当を水月(みぞおち)に当てる技となっており、居取の技「後取」では座した状態の投げで巻き込み倒した受けに対し拳当を釣鐘(股間の急所)に当てる技となっている。立合の技「後取」では立った状態からの投げで倒した受けに手刀当烏兎(眉間)に当てる技となっている。[36]

また、精力善用国民体育の単独動作・第二類の当身技・腕当の拳当「下突」(「左右交互下突」「両手下突」「前下突」)は下方・倒れた相手への突き技を想定した動作を体育的に行う運動となっている。[36]

また、当身技・足当の踵当「足踏」は、講道館護身術・徒手の部・組み付かれた場合・「抱取」(かかえどり)で使用される際には、踵で足の甲を踏みつける技となる[37][38]が、応用として倒れた相手への止めの踏みつけの技ともなる。[39]
寝技

柔道には固技だけでなくブラジリアン柔術総合格闘技で言うところのパスガード、スイープの寝技技術が豊富にある。パスガードは抑込技でのスコアにつながるので、あっても不思議はないが、スイープについてはブラジリアン柔術のようにポイントも得られない「スイープ」のような総称、概念もあまりないにもかかわらず豊富にある。UFC以前からパスガード、スイープの技術がある格闘技は珍しく、他にはブラジリアン柔術、前田光世が指導員をしながら技術を吸収したロンドンの日本柔術学校の不遷流の流れをくむ柔術、着衣総合格闘技柔術ファイティングシステムなどがある。創立当初、寝技はあまり重視されておらず、草創期に他流柔術家たちの寝技への対処に苦しめられた歴史がある。
柔道形詳細は「柔道形」を参照

講道館の設立当初においては、天神真楊流起倒流の形がそのままの修行され、当身技の技法、概念もそこから継承され修行されていた[40][41][42]。その後、乱取り技や真剣勝負の技など目的ごとに整備分類され技も追加され、大日本武徳会における形制定委員会などを通して古流柔術諸流派との議論・研究の元、「実地に就いて研究の結果、遂に全員の一致を見るに至」[43]り、各流派の技も追加されていき、のちの形の姿になっていった。

嘉納治五郎は次のように書き残している。「従来の柔術諸派の形は、大別して見ると、起倒流扱心流等を以て代表せしめ得る鎧組打系統の形と、楊心流天神真楊流等を以て代表せしめる当身捕縛術系統の形とに大別することが出来る。乱取の形の中、投の形は前者に属し、固の形と極の形は後者に属するものである。かくして出来た極の形も、未だ完全のものと認むることは出来ぬが、今日の儘でも、従来の柔術諸派の形に比して一段優れたものであるということはこれを明言し得る所であるー。」[43]
柔道競技
試合

講道館柔道は(かた)、乱取(らんどり)によって技術を修行するように示されている。しかし競技大会における「柔道」とはほぼ乱取を意味するものであり、形については国民の認識も薄い。

このことから1990年代以降は「形」の競技化が進められ、次項で説明する形競技も行われるようになった。
形試合詳細は「柔道形」を参照

形の競技化、試合も始まっている。

日本国内では、1997年(平成7年)には講道館と全柔連が全日本柔道形競技大会を開催したことで、形の競技化が始まった。10回(10年)の国内選手権大会を経てからは、形の国際大会開催の機運が高まり、第1回講道館柔道「形」国際大会が2007年に講道館大道場で開催された。ここでは講道館講道館護身術、五の形、古式の形を除く、4種類の形が採用されたが、すべて日本チームが優勝した。ヨーロッパでは2005年(平成17年)に欧州柔道連盟が第1回欧州柔道「形」選手権大会をロンドン郊外で開催した。さらに東南アジア地区のSEA (South East Asia) Gamesでは、2007年から投の形と柔の形が実施されている。

2008年11月には、国際柔道連盟がIJF形ワールドカップをパリで開催したが、投の形では優勝を逃している。

2009年10月には第1回世界形選手権大会マルタで行われ、こちらは5種目とも日本勢が優勝した。第2回世界形選手権大会は2010年5月、ブダペストで行われ、日本チームは全5種類の形で優勝した。
大会
大会のレベル

講道館柔道の試合は、通常、年齢と体重によって制限されており、男女も別である。年齢には下記のように制限がある。
マスターズ:30歳以上

シニア

ジュニア:15歳以上21歳未満


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