なお、これはあくまでも上記農学書にしたがって掲載するものであって、通常の日本語でアーモンドや胡桃、カシューナッツなどの可食部を指して「果物」と呼ぶことはほぼない(意味が通じるかという観点から言えば「果物」と呼ぶのは語彙の誤用であるといって差し支えない)。これらを包括的に指す名称は通常「ナッツ」である。
アーモンド
イチョウ
カシューナッツ
クリ
クルミ(胡桃)
ペカン
アーモンドの実
クリの実
クルミの実
ペカンの実
その他[ソースを編集]
高木性[ソースを編集]
イチジク(無花果)
カキ
ポーポー(ポポー、ポウポウ、ポポウ)
ザクロ(柘榴、石榴)
低木性[ソースを編集]
カシス(クロスグリ)
キイチゴ(木苺)
グミ(頽子、胡頽子、茱萸)
クワ
クランベリー(オオミツルコケモモ)
コケモモ(苔桃、岩桃、はまなし、おかまりんご)
シーバックソーン(サジー、ヒッポファエ、シーベリー)
スグリ(酢塊、グーズベリー)
ニワウメ(庭梅、こうめ、いくり)
ハスカップ(クロミノウグイスカグラ)
ビルベリー
フサスグリ(房酸塊、レッドカラント)
ブラックベリー
ブルーベリー
ラズベリー
ユスラウメ
つる性[ソースを編集]
ブドウ(葡萄)
アケビ(木通)
キウイフルーツ(キウイ)
サルナシ(猿梨、シラクチズル、コクワ)
マツブサ
液果(berry)[ソースを編集]
ブドウ、キウイフルーツ、カキなどのように成熟すると果肉細胞がほぼ液胞で占められ多汁で軟らかくなる果実を液果(berry、ベリー)と呼ぶこともある。
常緑性果樹[ソースを編集]
柑橘類[ソースを編集]詳細は「柑橘類」を参照
ミカン科のミカン属、キンカン属、カラタチ属などに属する植物の総称。カラタチ以外は常緑性。
その他[ソースを編集]
オリーブ
ビワ(枇杷)
ヤマモモ(山桃、楊梅)
フェイジョア
熱帯果樹[ソースを編集]詳細は「熱帯果樹」を参照
トロピカルフルーツ。亜熱帯から熱帯に分布する常緑性の果樹。
種の状態による分類[ソースを編集]
英語圏ではプラム、アンズ(アプリコット)、モモのように種の部分が石のようにかたい果物をストーンフルーツという[4]。また、イチゴ、ラズベリー、ブルーベリー、スグリのように、かたい皮や大きな種のない果物をソフトフルーツという[4]。
栄養面や効能[ソースを編集]
果物の糖分の構成[ソースを編集]
甘みはフルクトース、グルコース、ショ糖などで構成されている。
癌予防の可能性[ソースを編集]
果物は、野菜とともに癌予防の可能性が大きいものとされている[5][6]。
高血圧の予防[ソースを編集]
腎臓に障害がなくカリウムを摂取しても問題がなければ、カリウムを豊富に含む野菜や果物の摂取を増やすことにより高血圧の降圧が期待できる[7][8]。
食用[ソースを編集]
果物は、栄養的には(植物の組織全般に比べて)果糖を含み、糖質(糖分)が多く、カロリーが高く、ビタミン類を多く含み、消化しやすい、という性質があり、味としては甘味と酸味を持つ。
保存食
果物には収穫期があり年間を通して収穫できるわけではないため、ジャムやコンポート、シロップなどの果物の加工食品がある[4]。
昔から病人に果物をあてがうことが行われており、病人のお見舞いには果物詰め合わせが定番である。
メロンやリンゴなどの水分量が多い果物は、生水の摂取が難しい時代や地域で飲料水の供給源となっている[9]。
生物学と果物[ソースを編集]
植物の繁殖戦略と果物[ソースを編集]鳥は果実を食べ、種子を遠くへ運ぶ役割を担う。
「果物」は動物が食べたがる果実である。「果物」と言われる果実は、生物学的な果実の分類の上ではいくつかの類型にまたがるが、いずれにしても、一般的な植物組織よりも柔らかく、糖分、ビタミンCなどを多く含む部分を持つ。また赤や黄色に着色する例が多い。
これは植物の繁殖に関する戦略として、動物に食べさせ、それによって種子散布を動物に担わせる、と言う方針によっている。植物は移動できないため、種子形成の際にこれが移動することは、花粉媒介と並んでその分布拡大や個体群の維持において極めて重要である。そのために様々な戦略をとる植物が存在するが、動物に運ばせるのはその代表的な方法の一つである。そのための具体的な方法の一つが種子およびその周辺に動物の食料として魅力的な性質を与えることで、動物がそれを食べ、あるいは食べる目的で輸送を担う、と言うものである。種子そのものを食料とする例(ドングリなど)もあるが、それよりは周辺部を可食としたほうが種子の犠牲は少ない。これが果物というあり方である。
植物の一般的な組織、例えば葉や茎は、生きた原形質を含むから、それなりにバランスの取れた食料であり得る。しかし細胞壁がセルロースという丈夫な成分で作られていること、セルロースそれ自体もカロリーは高いものの消化の困難なものであることなど、植物を餌とするのは難度が高く、専門的な食植者は様々な特異な適応的な形質を持つのが普通である(すりつぶす歯、複数に分かれた複雑な消化管など)。それに対して果物の可食部は一般的な植物組織より、遙かに動物に利用されやすくなっている。
(やや目的論的な説明としては)「果物に糖分が多いのも、消化酵素が含まれるのも、動物がそれを利用する場合の利便を図っている(=目的としている)ものであり、それによってより多くの動物を引き寄せることを目指している」と説明してもよい。また(目的論的な説明を避けて)「さまざまな性質の果実をもつ植物が(突然変異や さまざまな交配によって)生まれたが、自然選択の結果、動物が利用しやすい果実をもつ植物が、結果として、より多く生き残り、その形質 が/も 残った。」などと説明してもよい。「植物にとってはそのような果実を持つことはコストがかかり損失も生じるが、動物を誘引することで種子散布をより効率よく行うための投資である」と説明してもよい。果実が熟するに連れて赤や黄色などに着色するのも、動物にとって目立つようになり、食べ頃を知らせる信号の効果を持っている。
果物が「美味しい」と動物にとって感じられるのは、その味が動物全般の好みに合致していることによる。人類が果実を好むのも、植物のこの戦略に 乗せられたもの/乗ったもの と考えてもよい。
ビタミンC合成能を失った動物種との共生[ソースを編集]
L-グロノラクトンオキシダーゼ(ビタミンC合成酵素)遺伝子の活性は、いくつかの種の進化史のなかでそれぞれ独立に失われている。哺乳類ではテンジクネズミや霊長目の直鼻亜目がこの遺伝子の活性を失っており、そのためにビタミンCを合成できないが、その原因となった突然変異は別のものである。