林子平
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しかし、19世紀に日米間で小笠原諸島の領有権を争った事実はなく、日米両国にそういった記録は存在していない[注釈 1]。『三国通覧図説』が小笠原諸島領有における日米交渉に使われたという話は『河北新報』に掲載された林子平を題材とする新聞小説が元ネタであるとされている(若松正志「小笠原諸島の領有と林子平恩人説の展開」『日本史研究』536,2007.4,p.103)[3]

林子平が『三国通覧図説』の中に描いた「三国接壤之図」には、主にロシア、朝鮮、日本が描かれていて、朝鮮のすぐ東に島が一つ、そして日本海の中央に竹嶋と記された島とその横に小さな島が描かれていて、この3島はすべて朝鮮と同じ黄色で塗られ、日本領ではないと区別されている。中央の2島の横には「朝鮮之持也」と記されていて、竹嶋(鬱陵島)とそのすぐ東にある小島が朝鮮領であると表示している。この小島を日本側は鬱陵島から約2kmの距離にある竹嶼だというが、保坂祐二はこの小島が松島(独島)であり、朝鮮領となっているとする。その理由として、『三国通覧図説』の日本図の部分は長久保赤水の地図に拠ったとした点を挙げている[4]

これに対して日本側からは、この「竹島」は、鬱陵島から約2kmの距離にある竹嶼だと反論されている。なぜならこの記述は、1711年に朴錫昌が提出した「欝陵島図形」の系統を引くもので、「その竹嶋には、「此嶋ヨリ隠州ヲ望/朝鮮ヲモ見ル」と記されたもう一つの付記がある。これは林子平が「三国接壌図」を作図する際、その中心に置いた長久保の『日本輿地路程全図』に由来する文言で、齋藤豊仙の『隠州視聴合記』からの引用文である。そこに林子平が改めて「朝鮮ノ持也」と注記したのは、『日本輿地路程全図』では欝陵島を日本領として認識していたからで、注記の対象は欝陵島だけになるから」である[5]
系譜

父:岡村良道

母:不詳

養父:林従吾(林道明)

姉:なよ

姉:なお(きよ)仙台藩5代藩主
伊達吉村の侍女として仕え、のちに仙台藩6代藩主伊達宗村の側室となりお清の方と呼ばれた。

兄:林友諒(林嘉善)

妹:多智


脚注[脚注の使い方]
注釈^ 一般的に、民間人による私文書は領有権の証拠にはならない。領有権主張のためには公文書の相互提示が原則である。

出典^ 岡本綺堂『綺堂むかし語り』旺文社文庫、1978年、116頁。 
^ 田尻佐 編『贈位諸賢伝 増補版 上』(近藤出版社、1975年)特旨贈位年表 p.2
^ Web竹島問題研究所 島根県ホームページ
^ 保坂祐二『〈独島・竹島〉の日韓史』、pp. 271-273
^ Web竹島問題研究所 島根県ホームページ

全集

『新編林子平全集』全5巻 
山岸徳平,佐野正巳共編 第一書房 1978年-1980年

『林子平全集』全2巻 山本饒編 生活社 1943年-1944年

林子平が登場する作品

みなもと太郎風雲児たち

Lederer, Friedrich (Transl.,Ed.), Diskurs uber die Wehrhaftigkeit einer Seenation (Kaikoku Heidan), Munich, Iudicium, 2003 (First translation of this work in a foreign language)

植松三十里『彫残二人』中央公論新社 2008年 中山義秀文学賞受賞作品

関連書籍

平重道『林子平 その人と思想』宝文館出版、1977年

永田衡吉編『林子平』大日本雄辯會講談社 1943年

中居光男『先哲林子平先生の生涯』林子平先生二〇〇年顕彰実行委員会 1992年

『林子平展 その生涯と思想 企画展図録』仙台市博物館 1992年

備考・エピソード

ハヤシライスを発明した人物は、子平の家系(子平の姉の子孫)である、とする説もある。

子平の号六無斎にあやかって、五無斎(保科百助)、八無斎(原田大六)と号した人物がいる。

古今亭志ん生 (5代目)は、りん夫人との縁談話に対し、「かせぎもないし、財産もないし、着るもんだってありゃァしないよ。江戸時代にいた林子平てえ人の親戚みてえなもンだよ」と念を押した。[1]

関連項目

海防論

須原屋市兵衛

河野通有

外部リンク

林子平伝(斎藤竹堂)現代語訳

iudicium verlag, Munchen

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^ 古今亭志ん生『びんぼう自慢』


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