東部丘陵線
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名古屋市営地下鉄の駅構内の路線図には、名古屋臨海高速鉄道あおなみ線名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス志段味線ゆとりーとライン)と共に、当路線も記載されている。

愛・地球博記念公園駅の駅構内表記。
「catraca(改札口)」「saida(出口)」がポルトガル語である。

各駅に設定されたシンボルマーク

当路線が掲載されている名古屋市交通局の路線図

HSST

HSSTのインフラ整備にかかる投資額は、従来の中量輸送の代表ともいえるモノレールAGTより低廉なものとなっている。

これまでの鉄道システムとは異なり、車輪を用いないため、レールと車輪の接触による騒音・振動がなく、また、推進力は車輪とレールの接触による粘着力に依存しないリニアモーターによるため、加・減速や登坂性能に優れ[注釈 5]ゴムタイヤ式よりもさらに静かで乗り心地がよく、最高速度も上回る、などの多くの利点を持つ。反面、走行にかかる電力消費が大きい[注釈 6]

車両は常に浮いており、停車中は機械式ブレーキにより静止させている。扉が閉まり発車する時に床下より発生する「ドン」という音は、機械式ブレーキ解除の際に発する音である。通常は車輪を使用しないが、非常時には車輪で走行可能である[3]
路線データ

路線距離(
営業キロ):8.9 km(建設キロ:9.15 km)

方式:常電導吸引型磁気浮上式 (HSST)

駅数:9駅(起終点駅含む)

複線区間:全線

電気方式直流1500 V

最高速度:100 km/h[2]

最急勾配:60 [1]

最小曲線:75 m[1]

運行形態

最高速度は約100 km/hで、藤が丘 - 八草間の所要時間は約17分。最終列車として藤が丘0:05発の愛・地球博記念公園行きがあるほかは、藤が丘 - 八草間の全線運転である。年度初めは臨時列車が運行されることもある。2013年3月16日のダイヤ改正で、平日ダイヤが大学開講期間(4 - 7・10 - 1月)の平日に適用する平日第1ダイヤ、大学休講期間(2・3・8・9月)の平日に適用する平日第2ダイヤに分けられた[4]。運転間隔は、平日朝ラッシュ時は6分間隔、大学開講期間はラッシュ以降も7 - 8分間隔、平日夕は7 - 8分間隔、平日昼間・土曜休日は10分間隔。2013年3月15日までは、平日朝ラッシュ時は7分間隔、夕方も10分間隔の運行体系だった。

2016年12月4日には、イオンモール長久手の開業に伴うダイヤ改正が実施され、土休日ダイヤと平日第2ダイヤを同時刻として平日第2・土休日ダイヤとし、平日・土休日の昼間の運転間隔が10分間隔から8分間隔に短縮されている[5]

2019年8月3日に、藤が丘駅で幼児が車両とホームドア間の約35センチメートルの隙間に取り残され、そのまま列車が発車したことで、幼児が軌道に転落する事故が発生した[6]。このため全列車に係員を添乗させることになり、その要員確保のため、同年8月10日から9月30日まで朝時間帯10分間隔、日中 - 夜間帯12分間隔の臨時ダイヤとした。監視カメラ増設などによる安全対策を行って解除した[7][8][9]
愛知万博開催時の運行形態

2005年3月6日の開業時から9月26日まで、愛知万博輸送を前提とした運行体系が採られた。東部丘陵線(リニモ)との乗換駅となる愛知環状鉄道の八草駅は2004年10月10日から2005年9月30日の間、「万博八草」駅と改称されていた。リニモの八草駅は開業時から2006年3月31日まで「万博八草」駅だった。また愛・地球博記念公園駅も開業時から2006年3月31日まで「万博会場」駅だった。

運転間隔は朝と夜が6 - 15分間隔、昼間が5 - 7分間隔だった。3月19日から万博終了までの土曜・休日には昼間8 - 10時台と夜20 - 23時台に藤が丘 - 万博会場間と万博八草 - 万博会場間に区間列車が運行された[注釈 7]
使用車両

100形2005年の開業時から使用。2005年度グッドデザイン賞[10] と2006年度ローレル賞をそれぞれ受賞した。

建設の経緯

東部丘陵地域が「あいち学術研究開発ゾーン」として学術研究施設や公園、宅地開発が進められることになり、輸送需要の増加に対応でき、交通渋滞に悩まされない軌道系交通機関が求められることになり、元来あった藤が丘 - 長久手間に地下鉄1号線(東山線)を延伸する計画を発展させる形で東部丘陵線の構想が生まれた。

1992年(平成4年)、運輸政策審議会答申第12号で「2008年までに中量軌道系の交通システムとして整備することが適当」とされた。その後「東部丘陵線導入機種選定委員会」が跨座式モノレール新交通システム、磁気浮上システムの中から、

建設予定地が60‰もの急勾配が続く丘陵地であること[注釈 8]

システム自体の先進性

などの理由で磁気浮上システムを選定し[11]、方式としては、日本航空が開発し、中部HSST開発によって名鉄築港線沿いにあった大江実験線で走行試験が重ねられて来た常電導吸引型 (HSST) が採用された。

また、愛知万博が長久手町(当時)の愛知青少年公園などを会場として開催されることが決まり、その鉄道系のアクセス路線の一つとして位置付けられた。

2000年に運営主体として愛知高速交通株式会社が設立され、2002年に着工された。2004年から完成した本線で試運転が重ねられ、2005年3月6日に開業を迎えた。

総事業費は約997億円、このうち愛知高速交通施工分は約356億円である[注釈 9]
歴史

2001年(平成13年)10月3日:藤が丘 - 八草間の浮上式鉄道に軌道法による特許[12]

2002年(平成14年)11月12日:路線愛称を「リニモ (Linimo)」と決定[13]

2003年(平成15年)12月24日:駅名を決定[14]

2005年(平成17年)3月6日:藤が丘 - 万博八草間が開業[12][15]。当初よりトランパスに対応。

2006年(平成18年)4月1日:万博会場駅を愛・地球博記念公園駅、万博八草駅を八草駅に改称。

2013年(平成25年)3月16日:平日ダイヤを大学開講期間の平日に適用する平日第1ダイヤ、大学休講期間の平日に適用する平日第2ダイヤに分ける[4]

2016年(平成28年)

3月12日:ICカード乗車券manacaを導入[16]。同時に交通系ICカード全国相互利用サービスにも対応[17]

7月1日身体障害者および知的障害者に適用していた割引運賃を、精神障害者にも適用開始[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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