東海林さだお
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作風・評価
取材活動・アイデア

「僕の商売道具というのはユーモアです
[13]」「役に立たないとか、非建設的ということこそ大切なんじゃないか[4]」と自負している。

東海林は平日は仕事場としている東京・西荻窪のマンションに泊まり込み、週末のたびに八王子市の自宅に帰る生活を続けている[4]。東海林はサラリーマンを主役にした漫画作品を多数描いているが、サラリーマンとしての勤務経験がないため、自宅と仕事場を行き来する電車の中での人物観察を作品に生かし、経験不足をカバーしているという。

アイデアの書き留めや取材のために、ケント紙をノート状に製本したものを文具店に特注している[4][16]

普段から取材メモとともに、「顔だけファイル[16]」と称する、似顔絵や「いかにも実在しそうな一般人の顔」のストックノートをつけており、漫画やエッセイに活用しているという。

エッセイの対象が食べ物、生活観察、旅行などが中心なのに対し、漫画では社会的事件、政治問題など時事問題を頻繁に取り上げており、はっきりとジャンルの線引きがなされている。音楽についてははっきり「関心がない[要出典]」と述べている。

エッセイのイラストならびに漫画の中で、東海林本人が出てくることはめったにない。自画像については『ショージ君の旅行鞄』等に掲載されたことがあるが、極めて少ない。

漫画

力をこめずに急いで書いたようなタッチが特徴。枠線を除いて、
効果線や建物の描写において定規が用いられた形跡はほとんど見られない。スクリーントーンもほとんど用いない。

ふきだしは楕円形ではなく、指示部の両端が大きくくぼんだ形状をした多角形で描く。ふきだし内の文字は版下を用いず、ペンによる手書きのままのことがほとんどである。

「グヤジー」「ユルジデ」など、カタカナや濁音を活用したセリフ回しを多用する。

山藤章二は東海林の画風を、読者との距離を縮めるためにあえて技巧を捨てたと捉え、「ミスター・ヘタウマ」と評している[17]

平凡社マイペディア』においては「ナンセンスを交えてサラリーマンの悲哀を描いた[1]」と評され、講談社『日本人名大辞典』においては「サラリーマンのペーソスをえがいて人気を博す[1]」と評されている。東海林はサラリーマン漫画において「役職では計れない人間の本質を描いている[要出典]」とコメントしている。

ペン入れ中、仕事場のテレビをつけっぱなしにし、次作以降のアイデアに備えている[4][18]

エッセイ

東海林は日本におけるユーモアエッセイの一人横綱的存在とされ、
擬声語の多用や、句点のたびに改行を重ねるなど軽薄でスムーズな感じを抱かせる独特な文体(昭和軽薄体)が知られる。この文体を使う理由として、東海林は「エッセイに論理はあまりいらないんじゃないか。論理を繋げていくより、漢詩みたいにいいリズムがあればそれでいいような気がしてる[13]」と語っている。

エッセイでは、旅行記、体験記を除いては仕事場での泊まり込み生活(自炊、外食、買い物など)が中心に描かれるため、一見独身生活者風である。家族(妻、子)は、ごく初期のエッセイに娘の幼い頃が描かれたほかはあまり登場しない。

高島俊男も東海林の文章を「二十世紀日本の文章の天才をたった一人あげろ、と言われたらわたくしは、『太宰治』と答えるに躊躇しない者であるが、それにつぐのはあるいは東海林さだおではないか、と思っている[19]」と、激賞している。東海林と対談集の共著を上梓している椎名誠も、「丸かじりシリーズ」を高く評価している。

かつて、小説家の金井美恵子も「小林秀雄朝日新聞にはせこい繊細さがあり、東海林さだおには繊細なせこさがある、両者は天と地ほどちがう」といったことを発言した。

作品
連載

刊行作品は後述
漫画


おませなルミちゃん(美しい十代
1960年9月号 - 1961年3月号)

イッコちゃんとボク(美しい十代 1962年2月号 - 1962年6月号)

新漫画文学全集(週刊漫画TIMES 1967年 - 1978年) - 1988年の文藝春秋による単行本化以降「漫画文学全集」に改題(後述)。

ショージ君(漫画サンデー 1967年 - 1975年)

タンマ君週刊文春 1968年 - )

サラリーマン専科週刊現代 1969年 - ) - 1995年に実写映画化(サラリーマン専科#映画を参照)。

アサッテ君毎日新聞 1974年 - 2014年)

エッセイ


あれも食いたいこれも食いたい週刊朝日 1987年 - 2023年)
単行本化の際「○○の丸かじり」と改題されて刊行される(上記リンク先参照)。

男の分別学(オール讀物 1980年 - )

著書

書名(共著の場合は括弧内に共著者)、初版発行日(単行本、文庫版の順。特記なき場合はすべて単行本は文藝春秋発行、文庫版は文春文庫所収。)
漫画
新漫画文学全集・漫画文学全集


単行本

漫画文学全集 1 - 1988年5月15日

漫画文学全集 2 - 1988年6月15日

漫画文学全集 3 - 1988年8月20日


文庫

立風漫画文庫

新漫画文学全集 1 - 1976年

新漫画文学全集 2 - 1976年

新漫画文学全集 3 - 1976年

新漫画文学全集 4 - 1976年

続新漫画文学全集 1 - 1976年12月

続新漫画文学全集 2 - 1977年3月

続新漫画文学全集 3 - 1977年4月

続新漫画文学全集 4 - 1978年7月

続新漫画文学全集 5 - 1978年10月

完結編新漫画文学全集 - 1979年1月

大完結新漫画文学全集 - 1979年4月


文春文庫

漫画文学全集 1 - 1994年1月10日

漫画文学全集 2 - 1994年1月10日

漫画文学全集 3 - 1994年2月10日

漫画文学全集 4 - 1994年2月10日

漫画文学全集 5 - 1995年2月10日

漫画文学全集 6 - 1995年2月10日

ショージ君の漫画文学全集110選 - 2004年9月15日


ちくま文庫

新漫画文学全集 1 感動篇 - 1994年7月

新漫画文学全集 2 珠玉篇 - 1994年7月

新漫画文学全集 3 衝撃篇 - 1994年8月

新漫画文学全集 4 怒涛篇 - 1994年8月

新漫画文学全集 5 渾身篇 - 1994年9月

新漫画文学全集 6 落涙篇 - 1994年9月

新漫画文学全集 7 情熱篇 - 1994年10月

新漫画文学全集 8 慟哭篇 - 1994年10月



ショージ君


立風漫画文庫

ショージ君 1 - 1976年

ショージ君 2 - 1976年

ショージ君 3 - 1976年

ショージ君 4 - 1976年

続ショージ君 1 - 1976年

続ショージ君 2 - 1977年

続ショージ君 3 - 1978年


ちくま文庫

ショージ君全集 1 - 1993年7月

ショージ君全集 2 - 1993年7月

ショージ君全集 3 - 1993年8月

ショージ君全集 4 - 1993年9月


ショージ君不滅の100名作 - 2000年12月(マガジンハウス)、文庫未刊行

タンマ君


立風漫画文庫

タンマ君 花も嵐もの巻 - 1977年10月

タンマ君 照る日曇る日の巻 - 1978年4月

タンマ君 朝な夕なにの巻 - 1980年7月

タンマ君 楽あれば苦ありの巻 - 1981年5月


文春文庫

タンマ君 1 純情編 - 1985年7月25日

タンマ君 2 歓喜編 - 1985年7月25日

タンマ君 3 激辛篇 - 1996年2月10日

タンマ君 4 純愛篇 - 1996年2月10日

タンマ君 5 妄烈篇 - 1996年3月10日

タンマ君 6 清貧篇 - 1996年3月10日

タンマ君 7 希望篇 - 2000年3月10日


文春ムック 週刊文春お正月スペシャル号 丸ごと1冊タンマ君! - 2015年1月1日、文庫未刊行

アサッテ君

アサッテ君#刊行リスト参照。
サラリーマン専科

サラリーマン専科#単行本リスト参照。
作品集


現代漫画 第1期11 東海林さだお集 - 1969年(筑摩書房

東海林さだお傑作集(立風書房)

1 ショージ君

2 新漫画文学全集


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