東映
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

1960年代半ばから映画の斜陽化が顕著になると、岡田は「いまの世情では純情度の高いものはダメで、俳優でも純情スターより不良性感度の強いものでなければ時代おくれだ」[78]「不良性感度のある映画しか観客は見ないんだ」[16]等と発言し、テレビに取り込まれない客層を狙い[16][18]ヤクザ映画や、実録ヤクザもの[23]、エログロもの(東映ポルノ)を量産した[16][17][23][25][26][68][90][91][92][93]。岡田は「路線は少しづつ変わってもいいが、野性味を失ったら、東映という会社はダメになってしまうんだ」と述べていた[35]。岡田の社長就任で大手映画会社で東映は唯一、実質オーナーのいない会社になり[94]、結果的に岡田が長く居座ったが、役員の中に自分が次期社長になれるかもしれないと仕事のやる気も上がった[94]

1970年7月で直営館を含めた東映作品しか上映しない専門館が全国で250?260館、東映がイニシアチブを執る割番専門館を合わせると340?350館[95]。当時の地方の映画館の中には、東映と松竹の映画を一緒に上映したり、劇場主が勝手にプログラムを決めるような小屋があり[95]、これを実態のつかみにくいフラット館と呼ぶが[95]、この小屋も東映作品を掛けるため、当時東映のフィルムを掛ける映画館は全国で1100?1200館あった[95]。第二東映は失敗したが、そのとき増えた専門館のシステムは残った[95]

1973年の『仁義なき戦いシリーズ』でヤクザ映画を実録ものに切り替える[17][23][25][43][68][73][96][97]。1973年から1975年の三年間は実録映画が会社総製作本数のほぼ30%を占めたが[18]、1976年からは大幅に減少した[18]。格闘映画では千葉真一と志穂美悦子の作品がブレイクし、千葉の格闘映画は海外でも大ヒットした[17][98][99][100][101]プログラムピクチャーとしてのヤクザ映画路線は1977年に終了した[102][103]。正統的教養主義と闘うカウンターカルチャーが世界中で沸騰した1970年前後[104]、日本の娯楽映画の拠点は東映にあった[43][104][105][106]。1975年(昭和50年)に新たなジャンルであるパニック映画新幹線大爆破』を公開したが、日本ではヒットしなかったものの、海外では大ヒットした。同年の『トラック野郎』は『新幹線大爆破』よりヒットしたため、シリーズ化された[23]

映画部門が斜陽となってからは、アニメ部門テレビ事業部ビデオ部、不動産部門などが、映画製作を支えて行く[17][107][108][109][注 6]。1988年4月?1999年3月期決算で映画会社単独として初の年間売上げ1000億円を達成した[118]。映画不況といわれた1980年代は、東映、東宝、松竹の大手三社はリスクの大きい映画製作に注力したわけではなく[108]、ビデオや不動産を中心とした多角経営戦略で利益自体は上げていた[108]。1990年代は渋谷を始め、船橋、福岡、仙台、広島など、全国の劇場再開発を手掛けた[109][118][119]1972年東映洋画を設立し[25]、洋ピンと呼ばれる欧米のポルノ映画を配給したのを手始めに[7][120]1975年の『ドラゴンへの道』や1979年の『ドランクモンキー 酔拳』などブルース・リージャッキー・チェンといった香港映画を中心に配給[25][121]。東映洋画部ではその他にも1977年から『宇宙戦艦ヤマト』シリーズなどアニメ映画を配給して[19][122][123]、邦画部門の不振を補ったほか、劇場用映画以外にテレビ映画の制作にも積極的に取り組んだ。時代劇が斜陽になったことから1975年(昭和50年)に京都撮影所のオープンセットの維持を画して、一部を東映太秦映画村とした[25][61]

多くの映像作家を生み出した『ぴあフィルムフェスティバル』(PFF)は、1977年12月に東映東京撮影所で開催された『第一回ぴあ展』を起源としている[124][125]

1978年正月公開の『柳生一族の陰謀』から従来の量産体制による2本立て興行に代わって、大作映画1本立て長期興行路線が定着[126]。それとともに、子会社に東映セントラルフィルムを設立して同年に『最も危険な遊戯』を第1作として公開[127]。1988年に解散するまで本社の大作路線を補完する中小規模予算のプログラムピクチャーの製作会社として、あるいは外注したピンク映画の配給会社として活動した[128][129][130]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:357 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef