日本国政府は、震災による直接的な被害額を16兆円から25兆円と試算している[58]。この額は、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県の県内総生産の合計に匹敵する(阪神・淡路大震災では兵庫県1県の県内総生産の半分ほどであった)。世界銀行の推計では、自然災害による経済損失額としては史上1位としている[59]。
死傷者「東日本大震災における死者・行方不明者の推移」も参照平成23年東北地方太平洋沖地震による都道府県別死者・行方不明者数(2011年7月17日現在)[60]都道府県別で犠牲者数が最多であった宮城県では火葬の限界を超えたため、仮埋葬(一時的な土葬)が行われた。(宮城県石巻市、2011年6月7日撮影)
警察庁は、2023年(令和5年)2月末時点で、死者は12都道県で1万5900人(岩手4675人、宮城9544人、福島1614人、茨城24人、千葉21人、東京7人など)、行方不明者は6県で2523人(岩手1110人、宮城1213人、福島196人など)、東北の被災3県でいまも身元のわからない遺体は53人(岩手47人、宮城6人)と発表している[61][62]。消防庁によると、負傷者は6242人[4]。日本国内で起きた自然災害で死者・行方不明者の合計が1万人を超えたのは第二次世界大戦後初めてであり[63]、明治以降でも関東大震災、明治三陸地震に次ぐ被害規模であった(震災関連死を除いた比較)[5]。岩手・宮城・福島の3県を中心に、1都1道10県で死者・行方不明者が、また1都1道18県で負傷者が発生した[60]。
人的被害 警察庁は2012年3月11日までに、岩手県、宮城県、福島県で検死された1万5786人の詳細を発表した。
(2023年3月10日 時点)[60]都道府県死亡行方不明負傷計
00/合計15,9002,5236,15724,582
01/北海道1-34
02/青森県30001112116
03/岩手県4,6751,1102135,999
04/宮城県9,5441,2134,14514,903
05/秋田県--1111
06/山形県2-2931
07/福島県1,61401961831,993
08/茨城県240001712737
09/栃木県4-133137
10/群馬県1-4243
11/埼玉県--4545
12/千葉県210002263286
13/東京都7-117125
14/神奈川県4-138142
15/新潟県--33
19/山梨県--22
20/長野県--11
22/静岡県--33
24/三重県--11
39/高知県--11
死者の内訳と死因
年齢
0 - 9歳:2.95%(496人)
10 - 19歳:2.65%(419人)
20 - 29歳:3.26%(515人)
30 - 39歳:5.37%(847人)
40 - 49歳:7.07%(1,116人)
50 - 59歳:11.93%(1,883人)
60 - 69歳:18.66%(2,945人)
70 - 79歳:23.81%(3,759人)
80歳以上:21.42%(3,381人)
年齢不詳:2.48%(392人)
男性【7,360人 (46.62%)】女性【8,363人 (52.98%)】性別不詳【63人 (0.40%)】
死因[64]
溺死:90.64%(14,308人)
圧死等:4.23%(667人)
焼死:0.92%(145人)
不詳:4.22%(666人)
この震災での犠牲者の死因のほとんどが、津波に巻き込まれたことによる水死であった。津波の中には、大量の砂や海底のヘドロ、港湾施設の重油などの有害物質などが含まれていた。砂などの異物が肺に入れば気管を詰まらせ、有害物質が肺に入れば身体を侵し、その場合ほとんど助からなかった。水死に至る経緯は、これらで呼吸困難になったり、がれきが当たり意識を失ったり、3月の雪の舞う中で低体温を伴ったりなど、様々な経緯もあったと考えられる。