震災によって道路・線路などの交通網が被害を受けたことから、郵便や運送などにも大きな影響が出ている。 震災の影響により、東北・北関東太平洋岸に立地する2製油所(JX日鉱日石エネルギー仙台製油所、鹿島石油鹿島製油所)および16油槽所のすべてが稼働停止または出荷不可能状態となり、京浜・千葉地区においても7製油所の内4製油所が稼働を停止し、国内原油処理能力(約450万BD)が約3割(約140万BD)減少した。加えて、東北6県でサービスステーション約220箇所が被災により営業困難となり、また、石油製品輸送用タンクローリー約150台被災するなど多大な被害が発生した[135]ことで、被災地は深刻な燃料不足に陥った。 政府は当初石油の生産量の方に気を取られており、石油の物流の問題への対応が遅れた[136]。3月17日になり海江田万里経済産業大臣は「タンクローリーを西日本から300台移す」と発表。同日、JR貨物によりJX日鉱日石エネルギー根岸製油所から日本海側の鉄道路線を利用し盛岡貨物ターミナル駅への石油列車の運行が行われる。3月23日には国鉄DD51形ディーゼル機関車二重連での磐越西線経由による郡山オイルターミナルへの石油輸送も行われた[137]。3月19日には仙台港に入港した海上自衛隊の輸送艦おおすみが灯油入りドラム缶70本(14kl)を輸送したほか、3月21日には仙台塩釜港塩釜港区の油槽所にオイルタンカーの第一船が入港している。また3月23日までに被災10港で暫定の航路が確保され、海上からの緊急物資の搬入が可能となった[138]。 震災直後は、宮城・岩手・福島・茨城の4県を中心に北海道から愛知県まで広範囲にわたり、17道県の少なくとも約140万戸で断水が発生した。各地の水道事業者などで作る日本水道協会は、全国の応急給水車約210台に、東北・関東両地方の被災地への派遣を要請[139]。中部、近畿、中国、四国、九州の主に西日本側の自治体の給水車が被災地へと派遣された。 東北地方を中心に100局以上の郵便局に建物全壊や浸水などの大きな被害が出ており、また長野県北部地震によるものや被害規模の小さいものも含め約600局の郵便局に被害が出た[140][141]。
石油
水道
物流配送停止により商品が激減したコンビニエンスストア(2011年3月11日、東京都足立区で撮影)