東急田園都市線
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東海道新幹線以外の横浜市内を走る主要な鉄道路線の中では、ターミナル駅である横浜駅を経由しないことが特徴であり、沿線の横浜市青葉区などでは東京への通勤通学者の割合が横浜市内の他の区と比較して高い[1]

また、渋谷駅から二子玉川駅までの地下区間は路面電車玉川線(玉電)を継承する代替路線として建設された東急で初めての地下路線で、1977年4月7日の開業時から2000年8月5日までは「新玉川線」と呼ばれていた。山手線の駅に乗り入れる大手私鉄(東京メトロを除く)の主要路線の中では最も開業が遅いが、前身の玉川線は玉川電気鉄道によって明治時代の1907年(明治40年)に開業しており、東急の路線の中で最も早く山手線の駅に乗り入れていた。線路の直上にある国道246号および首都高速3号渋谷線の周囲はビル街となっているが、さらにその周囲は世田谷の閑静な住宅街となっており、この区間はこれらの地域の住民の足でもあるため、利用者が終日にわたり比較的多い。

現在の田園都市線は、純粋な通勤・通学路線としての性格が強い多摩田園都市地域を走行する溝の口駅以西の区間と、かつて新玉川線と呼ばれていた渋谷駅から二子玉川駅までの地下区間、そして両区間より以前からあった二子玉川駅から溝の口駅までの区間が一体となって形成されている。渋谷駅 - すずかけ台駅間はおおむね国道246号(玉川通り・厚木街道)に沿って建設されている。

多摩田園都市地域やあざみ野駅で接続する横浜市営地下鉄沿線である港北ニュータウン人口が増加するにつれて混雑が激しくなったため、朝ラッシュ時の混雑は東京圏の大手私鉄のなかでも高くなっている[2]。大井町線直通列車を除き、全列車が10両編成で運行される。

また、朝ラッシュ時間帯に痴漢防止対策として女性専用車両を設定しているほか、混雑緩和対策の一環として一部の列車に6ドア・座席格納車両を連結していたが、後者については2017年4月をもって廃止された[3](詳しくは「6ドア・座席格納車両」の節を参照)。
路線データ停車駅

路線距離(営業キロ):31.5km

建設主体:日本鉄道建設公団(現 独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備支援機構、渋谷 - 二子玉川間)

軌間:1067mm

駅数:27駅(起終点駅含む)

複線区間:

複々線:

二子玉川駅 - 溝の口駅間(内側を大井町線の車両、外側を田園都市線の車両が走行する方向別複々線


複線:

渋谷駅 - 二子玉川駅間、溝の口駅 - 中央林間駅間



電化区間:全線(直流1500V)

閉塞方式:車内信号閉塞式 (ATC-P)

最高速度:110km/h

沿線風景

田園都市線は全体として勾配の多い路線であるが、掘割隧道を多用しているため曲線は緩く、線形は比較的よい。また、1989年に田奈駅 - 長津田駅間の田奈1号踏切が廃止されたことで、2023年3月までは東急で唯一営業区間には踏切が一つも存在しない路線となっていた[注 2]。地上区間は急なカーブのある二子玉川駅東側 - 高津駅間、梶が谷駅江田駅鷺沼駅の西側および長津田駅の前後は徐行するものの、それ以外はほとんどの区間を100km/hで走行し、さらに藤が丘駅前後とつくし野駅以西は最高速度の110km/hで走行する。また、地下区間は最高90km/hで、急なカーブのある桜新町駅東側と渋谷駅西側はおおむね65km/h、および通過線の設けられていない池尻大橋駅三軒茶屋駅駒沢大学駅用賀駅の各駅は75km/hで走行する。

なお、田園都市線は東急の路線で唯一特別区または政令指定都市ではない地域も通る。
渋谷 - 二子玉川間

渋谷駅から二子玉川駅の手前までは武蔵野台地の地下を走る。この区間はかつて新玉川線という名称であった。また、同線の開業前は路面電車である玉川線が1969年まで運行されていたが、その敷地は田園都市線と首都高速3号渋谷線の建設用地に利用されている。

渋谷駅はJR線の駅の北側に建設され、道玄坂の下からは国道246号(玉川通り)と首都高速3号線の直下を進む。三軒茶屋駅ではかつての玉川線の支線だった世田谷線が接続するが、田園都市線は地下を走っているためにその姿は確認できない。 駒沢大学駅の先(西側)からは玉川通り旧道に沿って、玉川通りや首都高速の北側に迂回する。新玉川線内において急行列車は地下駅のプラットホームを通過するが、桜新町駅付近は上下2段構造であり、桜新町駅ではプラットホームと壁で仕切られた通過線を走行するため、急行列車の乗客は桜新町駅の姿をほぼ見ることなく同駅を通過する。用賀駅を過ぎ、環八通り・玉川通りが交差する瀬田交差点の直下で玉川通りのアンダーパス下を横切って南側(東側)に抜け、間もなく国分寺崖線を出口として行善寺坂付近で地上に出る。その後大井町線上り線をくぐり、二子玉川駅に進入する。
二子玉川 - 溝の口間多摩川の橋梁(二子玉川 - 二子新地間)

二子玉川駅のプラットホームは南側(先頭車両寄り)で多摩川の橋梁上にかかり、かつては併用軌道橋だった二子橋を右側(西側)に見ながら同川を渡る。渡ったすぐ先に二子新地駅があり、ここから溝の口駅までは多摩川の氾濫原を高架で進む。この区間の両側は二子から溝口にかけて比較的古くからの住宅地を貫いている。

この区間は1927年(昭和2年)に玉川電気鉄道溝ノ口線軌道線)として開業し[4]、後に東急玉川線、大井町線、田園都市線と改称・再編、東急大井町線の延伸などを経た(#歴史を参照)。この間、高架化(1966年)・複々線化(2009年完成)などが実施されたものの、軌道敷(溝の口駅付近を除く)と中間駅は開業時より現在まで引き継がれている。
溝の口 - 長津田間たまプラーザ駅を発車する電車
(2012年4月・手前が中央林間方面)

溝の口駅の南側にあるトンネルを皮切りに、起伏の多い多摩丘陵を貫通する。カーブ、トンネル、切り通しあるいは高架が連続し、地表を直線的に進む区間は少ない。列車から見ると、列車と地表の位置関係は目まぐるしく上下に変化しているように見える。この区間の沿線は田園都市線とともに建設された多摩田園都市地域にあたり、沿線は比較的新しいニュータウンの住宅地が広がっている。車窓の両側には丘という丘に住宅が建設されているのが見えるが、公園街路樹が多いため、建てられている住宅の数の割に緑を比較的多く感じることができる。

鷺沼駅の手前(北東側)には東京地下鉄鷺沼車両基地が設けられている。同駅からたまプラーザ駅の間でくぐる小さなトンネルが川崎市と横浜市の市境となり、そのすぐ先で東名高速道路が田園都市線の上を通る。首都高速3号渋谷線に接続する東名高速は田園都市線の沿線に沿って建設され、江田駅では駅の出入口のすぐ前を同高速が通り、市が尾駅藤が丘駅の間では、同高速および首都高速神奈川7号横浜北西線国道246号を結ぶ横浜青葉IC/出入口のランプウェイが田園都市線をまたいで建設されている。

田奈駅のすぐ先で鶴見川水系の恩田川を越えると周囲は平坦になり、宿場町として古くからの街並みも残る長津田地区に入る。左側にJR横浜線が近づくと長津田駅に到着する。


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