東南アジア諸国連合
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ベトナム戦争中の1967年8月ドミノ理論による東南アジア諸国の赤化を恐れたアメリカの支援のもと、タイの首都バンコクで東南アジア連合(ASA)を発展的に解消する形で現在の東南アジア諸国連合が設立された。ASEAN設立宣言(またはバンコク宣言)に共同署名を行った原加盟国は、東南アジア連合の3か国に加えて、インドネシアと独立後の新興都市国家シンガポールの計5か国であり、いずれも反共主義の立場をとる国であった。

1977年、インドネシアのアダム・マリク外相が日本が首脳会談に参加することを歓迎すると表明。理由としてASEANの経済発展に決定的な役割を担っていることを挙げている[7]。同年夏にマレーシアのクアラルンプールで開催されたASEAN首脳会議において、日本がASEAN+1として参加したことから、ASEANと日本との友好協力関係が構築された。

1984年ブルネイが加盟、冷戦終結後の1995年から1999年ベトナムラオスミャンマーカンボジアが加盟して現在の10か国体制となった。

アジア通貨危機を契機として、日本中国韓国の首脳がASEANに招待されて開催される会議をASEAN+3と称し、またASEAN加盟国に域外の1か国が参加して開催される会議は、一般的にASEAN+1と表記される。2007年、ASEAN共同体の構築に向けて、民主主義人権、法の支配、紛争の平和的解決等のASEAN諸原則を含む「ASEAN憲章」を採択した。

2009年以降、アメリカ合衆国中華人民共和国など50か国あまりがASEAN大使を任命し、ASEAN本部のあるジャカルタに常駐[8]日本2011年5月26日、ジャカルタに東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部を開設し、ASEAN大使を常駐させている[9]

第4回公式首脳会議(1992年開催)において採択された『シンガポール宣言』をもとに域内の市場統合を目的にASEAN自由貿易地域(AFTA)が創設された。2003年にはその対象を広げての自由化を目指し、ASEAN経済共同体(AEC)に発展させることに合意し、2015年12月31日に発足した[10]

域内の総人口は6億6,000万人(2020年)を超えており、4億4,000万人(2020年)の人口を抱える欧州連合(EU)よりも多く人口増加率も高い。2020年の加盟国の合計のGDP(購買力平価ベース)は9兆7,270億ドルであり、日本のGDP(5兆8,800億ドル)の約2倍の規模である。ASEANを一つの国家として見た場合、人口であれば世界3位、GDPであれば世界4位の規模を持つことになる。
加盟国

1967年に5か国で発足して以来、1984年にイギリスから独立して間もないブルネイが加わるまで新規加盟国は長い間現れなかった。これには冷戦期の反共主義が関連し、フィリピンやタイは反共軍事同盟である東南アジア条約機構(SEATO、1977年6月末解散)の加盟国としてベトナム戦争でアメリカを支援して南ベトナムベトナム共和国)へ派兵を行った。その後、1980年代以降にシンガポールやタイなどで高度経済成長が実現すると、徐々に総合地域開発など経済分野での重要性が増していった。

1990年代後半に同地域の北方にある4か国が順次加盟し、現在に至る10か国体制ができあがった。この10か国からなる拡大ASEANを「ASEAN-10」と呼ぶことがある。特に1995年、ベトナム共産党による一党独裁が続く社会主義国家のベトナム(ベトナム社会主義共和国)を迎え入れたことは、ASEANが反共政治同盟から東南アジアの地域共同体へと変質したことを示す象徴的な出来事となった。一方、ベトナムとしても、ASEAN発足時には北ベトナム(ベトナム民主共和国)としてアメリカやSEATO諸国などとベトナム戦争を戦い、その後もカンボジア内戦などでタイなどと激しく対立していた過去を払拭し、外交政策の転換と体制の安定化を完成させるためにASEAN加盟は必要だった。なお、最後の加盟国であるカンボジアは内政事情から加盟が遅れたもので、当初はミャンマーラオスとともに加盟する予定であった。ベトナムの影響力が強いラオスとカンボジアの相次ぐ加盟により、イデオロギー対立を超えた東南アジア地域統合体としての役割をさらに強く担うことになった。2013年には共産圏であるベトナム出身者から初めてASEAN事務総長が選ばれ、ASEAN共同体設立の舵取りを担った[11]

一方、アメリカや西ヨーロッパ諸国から軍事政権による強権統治が批判されているミャンマーの加盟を認め、ASEANはミャンマーの民主化問題で「建設的関与」というアプローチを取ることを明確にした。以後、ASEANは強硬な軍事政権批判を避け、首脳会談での議長声明などの形で民主化を求める提言を続けているが、ミャンマー軍事政権はこれを拒否、あるいは自分の計画に基づいた政策展開を崩さず、加盟国の内政に対するASEANの影響力には限界があることが示されている[注釈 1]

 ブルネイ

 カンボジア

 インドネシア

 ラオス

 マレーシア

 ミャンマー

 フィリピン

 シンガポール

 タイ

 ベトナム

加盟国の基礎データ


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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