東北地方
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野蒜築港が台風によって破壊された後も修復や代わりの港の建設はされず、鉄道のうち最初に敷設された東北本線は官営による国家計画としては行われなかった[注釈 9]

大蔵卿・松方正義による松方デフレは、農産物の価格下落をもたらし、全国的に小作農の比率を上昇(小作農率の全国平均38%→47%)させた。その影響によって、全国的には富裕層による地主所有の寡占化が進み、また産業化(生糸産業・造船業など)が進んでいた関東の都市部などは経済が好調となった一方、常磐炭田周辺などを除き工業化の遅れていた東北地方は更なる経済的ダメージを蒙ることとなった。そのため多くの者が女工や各種労働者として都市部などへと働きに出ざるを得なかった。

さらに、日清・日露戦争後に顕著となった日本の対外進出指向は、日本内地の開発の軽視につながり、地方の近代化を遅らせる結果を招いた。特に1910年(明治43年)の韓国併合後は、朝鮮半島から廉価な米が流入したために米価の低下を招き、東北地方にとっては大きな痛手となった。
昭和時代

昭和になってからは、農家の次男・三男などを中心に満洲などへの移民が活発化した。1930年(昭和5年)には昭和東北大凶作が発生し、身売りや欠食児童が続出、二・二六事件を起こす要因の一つとなった。
現代
戦後

第二次世界大戦後は農地改革により、従来の封建的な地主小作関係は過去のものとなった。工業化も進み始め、品種改良により寒冷地に強い農作物も開発され、その生活水準は顕著な向上を見せたが、一方では再投資の進む太平洋ベルト地域の著しい発展に取り残され、経済力の弱さがより目立つ形ともなった。高度経済成長時代に入ってもそれは変わることなく、インフラ整備の遅れ、東京方面への出稼ぎ集団就職などによる人材流出、それに伴う深刻な過疎化、東北内でも仙台一極集中といった新たな問題が認識されるようになった。

2011年には東日本大震災が発生し、岩手、宮城、福島を中心に甚大な被害を受けた。
方言

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出典検索?: "東北地方" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2011年9月)
詳細は「東北方言」を参照

東北地方の方言、いわゆる東北弁は、方言学では東日本方言に区分されている。太平洋側では関東方言(特に東関東方言)との共通点が多くみられるほか、日本海側では近世の北前船の交易による関西方言の影響もみられる。アクセントは、太平洋側南部(宮城県南部・山形県内陸と福島県)の無アクセント、南部日本海側から北部の大半にかけて分布する北奥羽式アクセント(外輪東京式アクセントの亜種)、三陸海岸北部の外輪東京式アクセントに大きく分かれる[18]

かつては聞き取りにくい・理解しにくい方言の代表として鹿児島弁とともに挙げられることが多く、他の地方と比べて開発が遅れていたこともあり暗いイメージや否定的な印象を持たれることもあったが、現代においては、温かい人情や素朴さの象徴とする肯定的な見方も生まれた。しかし、方言話者自身にとっては「勝手なイメージ付け」に過ぎない点で従来の否定的な評価と何ら変わらず、必ずしも好意的に受け取られるとは限らない。現代では東北地方でも若い世代では共通語化が進んでいる一方、従来の古いイメージに最初から囚われない人も増えてきている。

なお、「一般的に東北弁と思われている特徴」としては、

シとス、ジとズの混同(中舌母音、いわゆるズーズー弁

イとエの混同

「んだ(=そうだ)」「だべ(=だろう)」などの語尾(後者は関東方言の特徴でもある)

「べこ(=牛)」「めんこい(=可愛い)」などの語彙

などがある。しかし、これらの特徴が当てはまる方言と当てはまらない方言がそれぞれ存在する。

東北地方以外で東北方言を聞ける場所の代表として、かつては上野駅(厳密にはJR東日本=旧国鉄の上野駅。特に長距離列車が多く発着した地上ホーム)がよくいわれた。実際に石川啄木の短歌や、高度成長期の望郷ものの流行歌にも登場していたが、東北新幹線の東京駅への乗り入れ(1991年)などによって上野駅と東北地方との結びつきは劇的に弱まり、すでに過去のイメージとなりつつある。
人口
県別人口

全国順位県名人口人口密度
14宮城県2,301,996316.1人/km2
21福島県1,833,152133.0人/km2
31青森県1,237,984128.4人/km2
32岩手県1,210,53479.2人/km2
36山形県1,068,027114.6人/km2
38秋田県959,50282.4人/km2
東北地方8,611,195128.6人/km2

※2020年国勢調査確定値

人口では多い順に宮城県、福島県、青森県、岩手県、山形県、秋田県となり、人口密度では高い順に宮城県、福島県、青森県、山形県、秋田県、岩手県となっている。
東北地方6県の主要都市

東北地方の主要都市


仙台市

いわき市
#都市名県名人口#都市名県名人口


郡山市

秋田市

1仙台市宮城県1096091人11石巻市宮城県132523人
2いわき市福島県318961人12大崎市宮城県121763人
3郡山市福島県319905人13鶴岡市山形県115787人
4秋田市秋田県297312人14会津若松市福島県111635人
5盛岡市岩手県281722人15奥州市岩手県106759人
6福島市福島県273306人16一関市岩手県104634人
7青森市青森県261306人17酒田市山形県94735人
8山形市山形県240626人18北上市岩手県92058人
9八戸市青森県213919人19花巻市岩手県89111人
10弘前市青森県159675人20横手市秋田県79395人

人口推移東北地方の人口の推移(国勢調査

東北地方全体としての人口動向を見てみると、戦後は自然増(第一次ベビーブーム)を中心に人口増の時代となり、1960年には東北地方全体で約970万人に達した。1960年代の高度経済成長時代には、「金の卵」の名の下に、主に京浜方面に集団就職したり出稼ぎに出たりするようになり、民族移動にも似た人口減(社会減)の時代に入る。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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