東京都電車
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1876年(明治9年)には乗合馬車は170台、人力車は2万4000台以上が活躍していた[3]

一方、東京の人口は1873年(明治6年)の60万人から1881年(明治14年)には114万人に増加していた[3][4]。そこでより大量輸送に適した交通機関として馬車鉄道の計画が持ち上がり、1880年(明治13年)2月、元薩摩藩士の谷元道之、種田誠一らによって新橋から日本橋本町上野浅草を経て再び本町に至る全長10マイル(約16km)の循環線敷設が出願された[5][4]。谷元らの出願は同年12月28日付で認可され、日本最初の私鉄[注釈 1]となる東京馬車鉄道株式会社資本金30万円、本社芝区汐留町二丁目[6])が設立された。

馬車鉄道の営業は1年半後の1882年(明治15年)年6月25日にまず新橋 - 日本橋間で開始され、同年10月1日には循環線が全線開業した[4]。開業当初こそ失業を恐れた人力車夫たちの反対運動に遭ったものの、東京市の人口増加や上野・浅草方面への行楽輸送を背景に馬車鉄道は大きな成功を収め、開業20年目の1902年(明治35年)度には年収140万円、客車300両と馬匹2000頭を擁し、多客時には1時間に60 - 70台もの高頻度運転を行うほどの盛況ぶりとなった[4]。また1897年(明治30年)12月には品川八ツ山下 - 新橋間に品川馬車鉄道が開業したが、1899年(明治32年)に東京馬車鉄道に吸収合併された[4]

しかし馬車鉄道は東京市民の生活を便利にした反面、課題も少なくなかった。経営的にはウマの飼育に莫大な費用がかかること[7]、乗客の増加に対し運転回数が限界に達していてこれ以上の需要拡大に対応できないことが課題であった[8]。またウマのによって路面が損傷し、馬糞混じりの砂塵が飛び散ることへの沿線住民の苦情は跡を絶たなかった[4][8]
電車開業までの経緯

そこでより近代的な交通機関として路面電車が計画されるようになり、1889年(明治22年)には大倉喜八郎藤岡市助東京電燈関係者や実業家の立川勇次郎らが政府に敷設計画を出願した[4]。だが当時は電気鉄道そのものがまだ誕生して間もない技術であり[注釈 2]、これらの出願は時期尚早とみられ認可されなかった[4]。そこで翌1890年(明治23年)に東京・上野公園第三回内国勧業博覧会が開催されると、東京電燈は同社技師長であった藤岡市助主導のもと会場内に170(約300m)の軌道を敷設し、藤岡らが米国視察の折購入した電車のデモ運転を行った[4][9]。入場料3銭に試乗料2銭と決して安くはなかったが、電車の静粛さや物珍しさも手伝ってデモ運転はたちまち大評判となり、内国博をきっかけに電車敷設の動きは本格的なものとなった[4][9]。こうした経緯を経て、1895年(明治28年)に開業した京都電気鉄道[注釈 3] を皮切りに名古屋電気鉄道[注釈 4]大師電気鉄道[注釈 5]小田原電気鉄道[注釈 6] など、全国各地で電気鉄道が続々と開業していった[4][10]

ところが東京では1893年(明治26年)から1899年(明治32年)の6年間で35社もの出願が相次ぎ、特許権獲得をめぐって対立しあっていた[10][11][12]。特に有力な出願者だった東京馬車鉄道、雨宮敬次郎らの東京電車鉄道、藤山雷太らの東京電気鉄道、利光鶴松らの東京自動鉄道の4社の対立は激しく、許認可が自由党進歩党の政争の具にされたり、電車を民営とするか市営とするかで東京市会市参事会が紛糾するなど、大きな混乱が生じた[10][11][12][13]。また当時東京市内の都市計画を担っていた東京市区改正委員会が電気鉄道の敷設条件について介入[注釈 7]したことも混乱に拍車をかけた[10][11][12]。デモ運転から10年が過ぎた1900年(明治33年)、紆余曲折の末内務省は東京電車鉄道、東京電気鉄道、東京自動鉄道の3派が合同して組織した東京市街鉄道、岡田治衛武[注釈 8]らが四谷信濃町 - 青山 - 渋谷 - 池上 - 川崎間などの路線を計画して設立した川崎電気鉄道、そして既設の東京馬車鉄道の3社に対して特許を与えた[10][11][12][13]
東京市電の誕生

3社のうちまず最初に開業したのは東京馬車鉄道から改称した東京電車鉄道(通称:電車[15]、東電[15]、電鉄[16]。前節の東京電車鉄道とは別会社)で、1903年(明治36年)8月22日に馬車鉄道線のうち品川 - 新橋間を電化して三重県宮川電気[注釈 9] に次ぐ日本8番目の電気鉄道となった[4][13]。運転未熟と軌道に石が入るなどで終点まで約1時間30分を要し(3銭。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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