過去の例としては、京浜急行電鉄(戦前、京浜電気鉄道時代の一時期、現在は標準軌)、京成電鉄(旧京成電気軌道 都営地下鉄浅草線《当時は1号線》・京急線と直通運転を行なうため標準軌に改軌する以前)、新京成電鉄(1067mm→馬車軌→標準軌と2回改軌している)、東急玉川線(大部分が廃止され、現存する東急世田谷線はその支線)・横浜市電(関東大震災により多大な被害を受けた横浜市電は急遽京王電気軌道より車両を譲り受け、車両を京王電気軌道→東京市電→京浜電気鉄道というルートで自力走行させて調達した[166])などがある。
その他の構造物など
電停標識(安全地帯用)
停留場安全地帯構造物の先端に設置されていたもの。
四角柱タイプ:戦前から設置されていたデザイン。四角柱の二面に停留場名(暗赤色地・白文字明朝体)、残り二面に地元企業・医療機関・商店などの広告が掲載されていた。上部には夜間照明用の電球を取り付ける石灯籠型のスペースがある[167]。この形態の模造品が新宿歴史博物館に5000形の模造品と共に設置されている。
安全地帯標識兼用タイプ:安全地帯を示す道路標識(英文付記タイプ)の下に停留場名称を横書きで示したデザイン。広告スペースなし、上部に電球2灯つき。自動車視認用として、軌道と垂直に設置されていた[168]。
時計つき電飾タイプ:薄緑色の棒状デザイン。上部に時計を搭載しているため先端が丸く、「しらゆり型」と称されるバス停留所標識に類似した形状。内部に蛍光灯を取り付けるスペースがあり、停留場名称(暗赤色地・白文字明朝体)および広告を記したアクリル板を内側から照射できる。時計部分も同様に蛍光灯で文字板を照らすことができる。四角柱タイプ・安全地帯標識兼用タイプからの交換などにより、都電撤去計画開始時点では安全地帯のある電停の多くに設置されていたが、荒川線のみの営業とされた後、ワンマン化に伴う電停改修で一旦姿を消した[注釈 28]。2007年に三ノ輪橋停留場のリニューアルに際して復元されたほか、2008年にリニューアルされた庚申塚停留場や、荒川車庫に隣接する「都電おもいで広場」、あらかわ遊園の6152号、江戸東京たてもの園の7514号周囲にもそれぞれ建てられている。
電停標識(電柱用)
安全地帯を有する停留場ではそこまで渡る横断歩道付近、安全地帯のない停留場では電車停止位置付近の歩道電柱に設置されていたもの。改称前の旧停留場名称や近隣の名所などを副名称として小さく併記する場合もあった。(例)大和町(富士見通)、上富士前町(六義園前)
電柱上部掲示用:暗赤色地・白文字明朝体の長方形板状標識。下部に広告掲載スペースを有する。
電柱下部掲示用:弘亜社製作による琺瑯製看板。白地に濃紺色文字。軌道に面して掲示するタイプ(乗客乗員視認用)は隣接停留場名称を左右に小さく表示して、赤色の短い矢印を隣接停留場名称の上に配していた。軌道と垂直に掲示するタイプ(歩行者視認用)は当該停留場名称のみを表示。全国主要都市(札幌市電、仙台市電、横浜市電、名古屋市電、京都市電、大阪市電、神戸市電、広島電鉄、西鉄福岡市内線など)で同形式の標識が採用されていた。このタイプの標識の下には広告・交通安全標語・乗降時の注意喚起・系統案内・乗車運賃案内・始発終車時刻などを掲載した小型の琺瑯板が併設される場合が多かった。
信号塔
分岐点などがある交差点角に設置された建物。中に分岐器の操作を行う装置が設けられ、テコとチェーンで結んで操作した。のち分岐器は架線に設置されたスイッチにビューゲルが接触して切り替えることで自動化されたが、多くの信号塔は廃線まで存置されていた。
都電が登場する作品
ドラマ
パパと呼ばないで(1972年) - 高橋線(23系統)沿線(中央区佃)が舞台。同線は放送期間中に廃止されており、第10話作中でこの件の描写がなされた。
水もれ甲介(1974年) - 荒川線沿線の鬼子母神前 - 雑司ヶ谷(現・都電雑司ヶ谷)間付近が舞台。
漫画
三丁目の夕日(夕焼けの詩、西岸良平) - 第17集「都電通り」、第47集「追憶」など。
映画 - ALWAYS 三丁目の夕日、ALWAYS 続・三丁目の夕日
こちら葛飾区亀有公園前派出所(秋本治) - 第26巻「ガンコ電車の巻」(荒川線)、第154巻「東京中に都電のいた頃の巻(上・下)」など。
名物!たびてつ友の会(山口よしのぶ) - 会報71「東京下町散歩」(荒川線)
でんしゃ通り一丁目(池田邦彦) - 昭和30年代の都電が舞台の作品。
サザエさん(長谷川町子) - 1968年9月20日『朝日新聞』朝刊社会面など。
テレビ映画
怪奇大作戦 セカンドファイル(2007年) - 第2話『昭和幻燈小路』で都電廃止によるサヨナラ運転の8ミリフィルムなどが登場している。
アニメ(テレビ)
BanG Dream! - 主人公たちの住むエリアである荒川二丁目 - 早稲田間が登場する
冴えない彼女の育てかた - オープニング映像に登場
さよなら絶望先生 - 第11話で6000形(旧塗装、上野線30系統)が2両登場。
アニメーション映画
うしろの正面だあれ - 太平洋戦争当時の東京・本所が舞台で、下町を走る市電・都電が描かれている。原作のエッセーでは、作者の海老名香葉子の家族が生活の足として利用している描写がところどころ出てくる。
人狼 JIN-ROH - パラレルワールドにおける東京が舞台だが、6000形が車内も含めて登場する。
NHK「みんなのうた」
おじいさんの電車(歌・藤田淑子、アニメーション・月岡貞夫)- 7000形(車号は7001)と面影橋停留場が登場する。
歌曲
風をあつめて(はっぴいえんど) - 明確に「都電」とは歌われていないが、歌詞の着想は都電であることがメンバーの書いたものから窺われる。同曲が収録されているアルバム「風街ろまん」ではレコードジャケットの内側見開きに、宮谷一彦の筆による6系統(新橋行き7520および渋谷駅行き6154)の絵が描かれている。フジテレビのフィラーで都電映像とこの曲の融合が試みられている。作詞した松本隆は太田裕美の「茶色の鞄」(赤いハイヒールのB面)でも「路面電車」を登場させており、都電が走っていた時代への愛着がうかがえる。
小説
坊っちゃん(夏目漱石) - 主人公の坊っちゃんは松山の中学校を退職した後に街鉄の技手になっている。
いつか王子駅で(堀江敏幸) - 荒川線沿線の街を舞台にしている。
絵本
けんちゃんでんしゃ(神戸淳吉〈文〉・太田大八〈絵〉) - 偕成社の「のりものストーリー」の一つで、都電に憧れた子どもが運転士となるまでが描かれる
ビデオクリップ
Hate tell a lie(華原朋美)- 荒川線の車内で撮影を行っている。
信じる力(Whiteberry) - 荒川線の車内で撮影を行っている。
女子かしまし物語(モーニング娘。) - 荒川線の車内で撮影を行っている。