東京都庁舎
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第一本庁舎のデザインとは対照的に、議事堂前の円形広場はバチカンサン・ピエトロ広場から直接インスピレーションを得ている[1]

ファサードは当初ゴシック建築のベイ・ウィンドウ(英語版)のような縦長窓を採用したデザインが検討されたが、その完成度は容易に満足のいくものにならず難航する。コンペの締切が迫る中、一度は決定したデザインを練り直すため、丹下事務所チーフの中村弘道のもと豊福藝也と堀越英嗣が日本的なイメージを求めて事務所の蔵書を当たったところ、アメリカ人のノーマン・F・カーヴァ・Jrが50年代に著した「日本建築の形と空間」に辿り着く。訳者の浜口隆一は丹下の大学時代以来の親友であり、前川國男事務所時代は同僚でもあった。文中で転載・白黒反転されていた大阪の古民家・吉村家住宅の格子状の天井見上げ図にアール・デコ建築の傑作クライスラー・ビルディングに通じるパターンを見い出し、それをコピーしたものを徹夜で模型に貼り付け、翌朝丹下のゴーサインを得ることに成功。後に丹下は江戸の町屋虫籠窓やICチップなどの集積回路を表現したと語るようになるが、元は大坂の役の兵火を被った直後に再建されたと考えられている豪農の屋敷の天井にあった[2]

奇しくも吉村家住宅の所在する旧河内国丹比郡羽曳野市は、中世に近江源氏の丹下氏の本拠があった土地で一族のルーツであり[5]、域内には旧丹下郷や丹下城跡の河内大塚山古墳などが点在する。代官格の大庄屋を務めた吉村氏も天正期に城を降りて帰農し、吉村姓に改めるまでは丹下城の主であった[6][7]応仁の乱の頃に河内から伊予国へ渡った丹下氏の一部は、江戸期に藩士として今治藩に仕えた[5]。丹下健三はその11代目に当たり、遠祖を辿ると丹下城主に繋がるという[8]。「吉村家住宅」も参照
施設

第一本庁舎は高さ243 mで、完工時にサンシャイン60を抜き、日本一の高さを誇った。その後、日本一の座を横浜ランドマークタワー(1993年完工、296m)に、東京一の座を赤坂 (東京都港区)ミッドタウン・タワー(2007年完工、248m)に譲った。都道府県庁舎としては、大阪府咲洲庁舎(1995年竣工、256m)に次ぐ高さを誇る。着工から完工当時の東京都知事鈴木俊一バブル景気の最中に計画された当時日本一の超高層ビルであり、「バベルの塔」をもじって「バブルの塔」、また投入された税金から「タックス・タワー」と揶揄されることもあるが、反面、東京の観光名所の一つとして、展望室に訪れる人が絶えない。夜間はライトアップされる。

展望室は、第一本庁舎45階(地上202m[9])にあり、「南展望室」と「北展望室」に分かれている。両展望室へはそれぞれ1階から直通エレベーターがあり55秒で到着する(出口は2階または1階)。入室料はいずれも無料だが、開室時間・休室日は異なる。バー喫茶店や土産店も併設されている。この建物は地上48階まであるが43・44・46?48階は機械室となっており一般利用者の立ち入りはできない(ただし44階のトイレは利用可能)。

第一本庁舎32階および、第二本庁舎4階には外部委託業者(東京ケータリング、西洋フードシステムズ)2社による職員食堂があり、来庁者は誰でもセルフ方式で利用できる。ただし施設の性質上、営業は平日の8:00?17:00(ランチメニューは11:30?14:00のみで、それ以外はカフェメニューのみ)のみである。後述の通り都庁関係者以外は入館手続きが必要だが、眺めがよく、値段も手ごろなので人気度は高い。また、第一本庁舎32階と第二本庁舎4階にはウエルシア薬局が出店しており、第一類医薬品を含む医薬品の販売を行っている(ウエルシア薬局のホームページから検索が可能で、ウエルシア各店で利用可能なTポイントや各種電子マネーにも対応している)。

たとえ1階にいなくても自分のいる階からエレベーターで16・24・25階に上がれば(第二本庁舎は10・17・25階に降りれば4階)32階へのエレベータに乗り継げる(なお第一本庁舎は24階は非常時以外は中低層C?Fバンクのみ停止する。地下駐車場へは1階で専用エレベーターを利用する必要がある。また45階展望台へは1階へ戻り、展望室専用エレベーターに乗り換えなければならない)。

竣工当時、第一本庁舎に、指定金融機関である旧富士銀行が本店東京都庁出張所(5F)、第二本庁舎には、東京都交通局出納取扱金融機関などを担当している富士銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所、旧第一勧業銀行本店第二本庁舎出張所、旧三菱銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所(いずれも5F)が設置されていたが、現在は、

みずほ銀行東京中央支店東京都庁出張所(第一本庁舎1F、店番号777)

みずほ銀行東京営業部東京都庁公営企業出張所(第二本庁舎1F、店番号001)

三菱UFJ銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所(第二本庁舎1F、店番号099)

に集約されている。上記の3店舗は窓口・ATMとも東京都庁と無関係な一般客でも利用可能であるが、三菱UFJ銀行本店東京都庁第二本庁舎出張所は企業内店舗の扱いとなっているため、三菱UFJ銀行の店舗案内 ⇒[1]では一切公表されていない。その他、第一本庁舎内に東京都庁郵便局(第一本庁舎1F)、およびその他の各金融機関の店舗外ATMなどが設置されている。
エレベーター

第一本庁舎のエレベーターは北側21基が三菱電機製、南側21基が日立製、地下駐車場用2基は東芝(開業当時は三菱)製である。また、第二本庁舎のエレベーターは北側13基と地下駐車場用2基は東芝(後者の開業当時はフジテック)製、南側16基(非常用も含む)は三菱電機製、非常用残り2基はフジテック製である。さらに、屋外にあるエレベーターも東芝(開業当時は日本エレベーター製造)製である。なお、第一本庁舎24階は非常時以外中低層用しか停止しない。全42基(第二本庁舎は33基)のエレベーターおよびエスカレーターは2012年度から順次リニューアル工事が行われ、2014年3月中に全て完了した。

第一本庁舎 ()内は通常不停止階設定階。大会議場開催時のみ5階にも停車。

北低層用Cバンク(三菱電機製、16階止まり・車椅子対応機は3号機)

(1号機)  :B1 - 15・16・(24 - 25・31 - 32)

(2号機)  :1 - 15・16・(24 - 25・31)

(3・4号機):1 - 15・16・(24 - 25・31 - 32)


北中低層用Dバンク(三菱電機製、25階止まり・車椅子対応機は7号機)

(5・7 - 8号機):1 - 3・5・16 - 23・24・25・(32)

(6号機)    :B1 - 3・5・16 - 23・24・25・(32)


北中高層用Bバンク(三菱電機製・車椅子対応機は9号機)

(9 - 10号機):1 - 3・5・16・(24)・25 - 31・32

(11号機)  :B1 - 3・5・16・(24)・25 - 31・32

(12号機)  :1 - 3・5・16・(24)・25 - 31


北高層用Aバンク(三菱電機製・車椅子対応機は13号機)

(13 - 15号機):1 - 3・5・16・(24) - 25・32 - 42

(16号機)   :B1 - 3・5・16・(24) - 25・32 - 42


南低層用Fバンク(日立製、16階止まり・車椅子対応機は19号機)

(17号機)   :B1 - 15・16・(24 - 25・31 - 32)

(18号機)   :1 - 15・16・(24 - 25・31)

(19 - 20号機):1 - 15・16・(24 - 25・31 - 32)


南中低層用Eバンク(日立製、25階止まり・車椅子対応機は23号機)

(21・23 - 24号機):1 - 3・5・16 - 23・24・25・(32)

(22号機)     :B1 - 3・5・16 - 23・24・25・(32)


南中高層用Gバンク(日立製・車椅子対応機は25号機)

(25 - 26号機):1 - 3・5・16・(24)・25 - 31・32

(27号機)   :B1 - 3・5・16・(24)・25 - 31・32

(28号機)   :1 - 3・5・16・(24)・25 - 31


南高層用Hバンク(日立製・車椅子対応機は29号機)

(29 - 31号機):1 - 3・5・16・(24) - 25・32 - 42

(32号機)   :B1 - 3・5・16・(24) - 25・32 - 42


北展望室用バンク(三菱電機製・車椅子対応機は34号機)

(33・34号機):1 - 2・(44) - 45


南展望室用バンク(日立製・車椅子対応機は35号機)

(35・36号機):(B1)・1 - 2・(3・5 - 7・9・42・44) - 45


地下駐車場用(開業当時は三菱電機製で、車椅子対応機が38号機のみだったが、現在はリニューアルにより東芝製となっており、37号機もまた車椅子対応機になった)

(37・38号機):B3 - 1


非常用(39号機が北側青梅街道中央線快速中央・総武緩行線西武新宿線寄りの三菱製であり、40号機が南側甲州街道首都高速4号新宿線京王線小田急小田原線寄りの日立製)

(39・40号機):B3 - 32・U32・33 - 45


北保守用(三菱電機製、一般客は利用できない)


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