東京弁
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また、戦前においては足立区・江戸川区・葛飾区で埼玉・千葉両県と接する外縁部に埼玉東部特殊アクセントが分布していた[7]。
表現
伝統的な関東方言、東北方言では意思・同意・推量の語尾は「べ(え)」であり、「行くべ」や「これだべ」「これだんべ」「これだっぺ」などと言うが、東京方言では「行こう」や「これだろ(う)」と言う。「う・よう」の使用が広まる以前は江戸でも「べ(え)」を多用し、当時上方の人間から「関東べい」と呼ばれていた。
方向を示す格助詞は関西方言などと共通する「へ」であり、東北方言に多い「さ」とは異なる。
ラ行五段活用の否定形が「?んない」になる、例 「知らない」→「知んない」など
「怖い」「ふすま」「うろこ」「じゅうやく(ドクダミ)」「つゆ(梅雨)」「塩辛い」「つらら」「けむり」「しあさって」など、語彙の面でも関西方言から輸入されたとみられるものが複数ある[8]。
謙譲語「おる」、丁寧な否定形「ません」、「ごきげんよう」や「お寒うございます」のような形容詞ウ音便など、敬語表現は京都方言の影響が強く残っている。
尊敬の助動詞「れる、られる」の使用頻度が、東京都区部では他地域にくらべて低い[9]。
否定の助動詞は「ない」または「ねえ」が一般的であるが、近世には西日本的な「ぬ」または「ん」も多用され、その名残りとして格言や慣用句では現在も「ぬ」または「ん」が使われる。
「してしまう」が「しちまう」「しちゃう」になる。どちらも明治になって東京近郊の方言から取り入れられたとされる。
間投助詞として「ね」「さ」「よ」を多用する。(例)あのさ、こんなこと言っちゃあなんだけどさ。
明治以降、「わ」「こと」「てよ」など独自の女性語が発達した(てよだわ言葉)。
近年、東京周辺の方言が若者言葉として東京で広まることが増えている。例えば甲州街道・東海道経由で中部地方(静岡・山梨・三河方面)から伝わり、長年多摩でも使われてきた「?じゃん・じゃんか(?じゃないか)」、北関東方面から伝わった「ちがかった(違った)」「?よか(用言に接続して:?するしか、体言に接続して:?よりも)」、東北方面から伝わった「?みたく(?みたいに)」「?した時ある(?したことある)」など。
現状山の手と下町の曖昧化、関東大震災や東京大空襲による旧来住民の減少、地方出身者の大量流入(特に戦後高度経済成長期)などにより、東京における言語事情はかなり変質してきている。江戸言葉はもちろん、明治時代の標準語成立に大きな影響を与えた山の手言葉も消滅寸前となっている。現在の東京では、学校教育による共通語の普及により、共通語を基盤に関東各地の方言が混合した首都圏方言が主流になっている。
出典^ ダニエル・ロング「 ⇒方言認知地図を通して地元方言のアイデンティティを探る」、『日本語研究』21号、TMU日本語・日本語教育研究会、2002年。
^ リイド社『べらんめぇ大江戸講座』緒方鏡
著、武光誠監修
^ a b c d e f g h i j k 玉川大学出版部『金田一春彦著作集 第9巻』「移りつく東京アクセント」
^ a b 玉川大学出版部『金田一春彦著作集 第9巻』「東京語アクセントの再検討」
^ 国立国語研究所『東京方言および各地方言の調査』
^ 江端義夫著「最新ひと目でわかる全国方言一覧辞典」
^ 玉川大学出版部『金田一春彦著作集 第9巻』「埼玉県下に分布する特殊アクセントの考察」
^ 飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学1 ―方言概説―』国書刊行会、1998年、166頁。
^ 文化審議会『敬語の指針(文化審議会答申)』(PDF)文化庁、2007年2月2日。https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/sokai/sokai_6/pdf/keigo_tousin.pdf。 51頁。
参考文献
飛田良文 (1992)『東京語成立史の研究』(東京堂出版)
飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学1 ―方言概説―』国書刊行会、1998年
外部リンク
東京のことば 研究者インタビュー、国立国語研究所
東京語アクセント資料、国立国語研究所
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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