独立行政法人国立文化財機構法第3条は同法人の目的を「博物館を設置して、有形文化財(中略)を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、文化財(中略)に関する調査及び研究等を行うことにより、貴重な国民的財産である文化財の保存及び活用を図ること」であるとしている。文化財の収集・展示とともに、調査研究活動が国立博物館の主要な活動であることがここに明示されている。
東京国立博物館には、館長、副館長のもとに営業開発部(渉外、経理など)、事業部(情報管理、教育普及事業、出版事業、特別展の企画など)、文化財部(展示、文化財の修復保存など)の3部が置かれている。 平成館開館以前は年2回程度、以後は5,6回開催。特別展には館が独自に企画・主催するものと、新聞社・テレビ局などと共催のものとがある。後者には「ベルリンの至宝展」のように海外の美術館の所蔵品を紹介するもの、「国宝 興福寺展」のように、社寺の宝物を一堂に公開するものなどがある。博物館では館内における特別展のほか、館の所蔵品を広く紹介するための巡回展を、日本国内・国外の美術館で開催している。また、特別展より小規模なものとして「特別企画」が随時行われている。 平成館内の大講堂では月例講演会のほか、特別展開催時などに記念講演会が実施されている。「ギャラリートーク」は展示室において、実際の展示を見ながら専門家の解説を聞くもので、月2回程度開催されている。このほか「スクールプログラム」「一般向けプログラム」「ファミリー・子供向けプログラム」などとして、ボランティアによるガイドツアー、ワークショップなどが随時開催されている。博物館学芸員を目指す学生向けには「インターンシップ」、大学の教員・学生向けに「キャンパスメンバーズ」制度が設けられている。また、コンサート、落語、茶会などの催し物、台東区の他の社会教育施設などとの連携事業が随時開催されている。2007年(平成19年)4月には教育普及スペース「みどりのライオン」がオープンし、現在は本館1階の第20室を中心に教育普及活動を広げている[39]。 2012年(平成24年)には開館140周年を記念して、「トーハクくん」と「ユリノキちゃん」を公式キャラクターとして策定し、広報大使として活用している。トーハクくんは館所蔵の埴輪 踊る人々を、ユリノキちゃんは1881年(明治14年)から本館前に存在するユリノキの樹木をそれぞれモチーフしたものである[40]。 機関紙「東京国立博物館ニュース」(旧「国立博物館ニュース」)は1947年にタブロイド紙として創刊されたもので、現在は隔月発行となり、展示と催し物案内を主としている。 研究誌「MUSEUM」は、1951年に創刊された月刊誌で、館内外の研究者による論文を毎号3?4本ほど掲載している。 『東京国立博物館図版目録』博物館の膨大な所蔵品のジャンル別写真入り目録で、1960年に「浮世絵版画編 上」が刊行されて以来、刊行が継続されている。 上記のほか、名品図録、紀要、所蔵品の調査研究報告書などが刊行されている。 ミュージアムグッズは、日本を含む東洋の諸地域にわたる古美術および考古遺物などの文化財をもとにデザインされた布製品、文具・絵葉書等で、博物館内のミュージアムショップにて販売されている。また、日本各地の美術館や博物館で販売されているオリジナルグッズの先駆け的存在とも言われている。 東京国立博物館の収蔵品(館の用語では「列品」という)は約12万件[41]。これはあくまでも「点数」ではなく「件数」であって、考古資料などには1つの遺跡の出土品数百点が一括で「1件」と数えられている場合もあり、収蔵品の「点数」はさらに膨大なものとなる。館の収蔵品のほかに社寺、個人所蔵家などからの寄託品も2,500件程度ある[41]。収蔵品の入手経緯は、(1)明治初期以来、博物館の予算で購入してきたもの、(2)個人や団体からの寄贈品、(3)第二次世界大戦後に文化財保護委員会(のち文化庁)から管理換えされたものなどに分けられる。なお、いわゆる法隆寺献納宝物は1878年(明治11年)、法隆寺から当時の皇室に献納され、宮内省が管轄していたが、1947年(昭和22年)に国立博物館に移管されたものである。これらのうち平常展で展示されているのは約3,000件で[2]、展示替えも含めた年間総展示件数は約9,000件[4]。 収蔵品は、地域的には日本およびアジア諸国、時代的には先史時代からおおむね第二次世界大戦終戦頃までのものを収集・展示の対象としている。なお、日本の地域で制作されたもののうち、アイヌの人々の美術と琉球美術については独立した展示室があてられている。東洋美術は、日本と地理的に近く、文化的にも影響の大きい中国および朝鮮半島の美術に力点が置かれているが、他にエジプト、インド、東南アジア(ベトナム、タイ、クメールなど)、中近東(メソポタミアなど)、中央アジアなどの美術品が見られる。このほか、南太平洋諸島の民族美術、西洋近代の陶磁器やガラス製品なども収蔵されているが、通常は展示されていない。 いわゆる美術品の範疇に属するもの以外に、歴史資料、図書、写真資料も多く収蔵されている。収蔵する歴史資料の代表的なものとしては長崎奉行所キリシタン関係資料、江戸幕府が作成した絵地図(道中図)である「五海道其外分間延絵図並見取絵図」(ごかいどうそのほかぶんけんのべえず ならびに みとりえず)全80巻、伊能忠敬の測量図、日本初の文化財調査である壬申検査の関係資料、旧江戸城写真帖などがある。博物館構内西側に位置する資料館には、図書資料、江戸時代のものを中心とする古文献資料、拓本、絵図、地図などの歴史資料、写真やマイクロフィルムなどが収蔵され、研究者には閲覧の便が図られている。このほか、通常は陳列されていないが、帝室博物館時代に収集された世界の郵便切手も日本有数のコレクションである。 博物館の予算による列品の購入は、明治時代の博物館創設期から開始されている。考古部門の代表的収蔵品の1つである、熊本県江田船山古墳出土品一括(国宝)は、館創設の翌年である1873年(明治6年)に当時の白川県(現・熊本県)から購入したものである。また、平安絵画の名品とされる普賢菩薩像(国宝)、尾形光琳作の八橋蒔絵手箱(国宝)、本阿弥光悦作の舟橋蒔絵硯箱(国宝)は、博物館が現在地の上野公園に移る以前の1878?79年(明治11?12年)に購入されたものである。 館蔵品の充実には個人所蔵家の寄贈も大きく寄与している。中でも中国書画の高島コレクション(高嶋菊次郎寄贈)、中国陶磁の横河コレクション(横河民輔寄贈)、中国陶磁と茶道具が中心の広田コレクション(広田松繁寄贈)、朝鮮美術の小倉コレクション(小倉武之助収集、財団法人小倉コレクション保存会寄贈)などが著名である。寄贈品ではないが、松方幸次郎(西洋美術のコレクターとして知られる、1865-1950)の浮世絵コレクション約8,000点は一括して東京国立博物館に入っている[42]。
館長
銭谷真美
特別展
教育普及事業「トーハクくん」(中央左)と「ユリノキちゃん」(同右)
出版事業
ミュージアムグッズ
展示会図録・図書など
文具・絵はがき
バラエティーグッズ
布製品
キッズコレクション
アクセサリー
天馬ネクタイ - 東京国立博物館に所蔵されている竜首水瓶に描かれている天馬を用いて作成されたネクタイ
コレクション普賢菩薩像 平安時代(国宝)伝・周文筆 竹斎読書図(国宝)片輪車蒔絵螺鈿手箱(国宝)元永本古今和歌集 平安時代(国宝)遮光器型土偶 青森県亀ヶ岡遺跡出土(重文)色絵月梅図茶壺 野々村仁清作 江戸時代(重文)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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