国内法と国際法の関係については二元論や一元論などが主張されている[3]。 国際法のうち、英米法の国では慣習国際法については国内措置をとらなくても国内法としての効力を認めており、日本でも「確立された国際法規」(日本国憲法第98条2項)は特別の変型手続が無くても国内法としての法的拘束力を認める[3]。 これに対し、一般の条約の国内法秩序への編入方式には、国際法に直接的な国内的効力を認めず国内法での別個の立法措置を必要とする変型方式(イギリス、カナダなど)と、国際法にそのまま直接的な国内的効力を認める一般的受容方式(アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、オランダ、日本など)がある[3]。 日本国憲法第73条第1項第3号は、条約を締結することを内閣の職務としており、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とするとしている。日本国憲法第73条第1項第3号にいう条約(国会承認条約)とは、法律事項を含むもの、財政事項を含むもの、その他政治的に重要であり、それ故に発効のために批准を必要とすることが締約国の間で合意されている国際約束をいう[9][1]。また、日本国憲法第98条は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」としている。日本国憲法第98条第2項にいう「条約」は、日本国憲法第73条第1項第3号にいう「条約」よりも広く、日本が締結した全ての国際約束をいう[9]。締結した条約は、天皇が国事行為として公布を行う(憲法第7条)。 国内法秩序における条約の優劣は各国で異なる。
二元論(dualism)二元論はドイツのトリーペルやイタリアのアンツィロッティが主張した理論で、国内法と国際法とは次元の異なる別個の法体系であり抵触する関係にはないとする立場[3]。二元論では条約が国内的効力をもつには国内法として置き換える手続が必要と解する[3]。
一元論(monism)一元論は国際法は国内的にも適用される法規範であるとする立場[3]。
国内法優位論国内法は国際法に優位するとする立場。
国際法優位論国際法は国内法に優位するとする立場。
等位理論国際法と国内法は等位の関係にあり、各国は義務の抵触を調整する義務を負っており、その解決は各国の裁判所等に委ねられているとする立場[3]。
条約の国内的効力
条約の優劣
一部の条約に憲法に優位する効力を認めている国(オランダ、オーストリア)[3]
条約に憲法に対しては劣位、法律に対しては優位する効力を認めている国(日本、フランスなど)[3]
条約を法律と等位の効力とする国(アメリカ、スイス、韓国など)[3][10]
条約は憲法や議会制定法に抵触しない限り国法上の効力を有するとする国(ナミビア、南アフリカ)[3]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 条約法に関するウィーン条約を「条約法条約」、国と国際機関との間又は国際機関相互の間の条約についての法に関するウィーン条約を「国際機関条約法条約」、条約についての国家承継に関するウィーン条約を「条約承継条約」とそれぞれ表記するのが一般的である(国際法事例研究会(2001)v頁)。
^ 英: executive agreement、administrative arrangement
^ 英: conventional agreement
出典^ a b 長谷部恭男(2008)395頁。
^ a b c d e 經塚(2004)
^ a b c d e f g h i j k l m “「憲法と国際法(特に、人権の国際的保障)」に関する基礎的資料