杜預
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呉の都督や監軍で、生け捕られたり斬られた者は14人、牙門や郡太守では120人あまりに及んだ。江北に軍を駐屯させ、南郡を中心として各地に長吏を置いたため、荊州では治安が保たれた。

建業の間近に迫った時、軍議では「気候は温暖になり、長雨の降る時期でもありますから、疫病が流行るでしょう。冬を待って、再び攻め入るべきです」との意見が出された。杜預は答えた「楽毅は済水の一戦で燕を斉に比肩させた。今、兵威は振興し、譬えるなら竹を割くようなものだ(譬如破竹、譬えるに破竹の如し)。数節(=15日を一節と数えることと、竹の節をかける)も刀を入れれば、後は手を使うだけでよい」。こうして進軍は継続され、呉帝の孫晧は間もなく降伏した。この逸話がのちに、破竹之勢つまり『破竹の勢い』という故事成語となった。

武功の名高い杜預だが、彼自身は馬に乗ることができず、弓射も不得意であった。そのため、軍事を任せられると、居ながらにして将卒を率いたという。

なお『晋書』には次のような話を載せる。江陵の守備側が、杜預のがあったことから、犬の頸に瘤に見立てた瓢を括り付けたり、木の瘤を「杜預頸」と称してからかった。杜預は城を攻め落とすと、その住民を皆殺しにしたという。

の史館が選んだ中国六十四名将の一人に選ばれている(武廟六十四将)。
『春秋左氏伝』の研究

杜預は種々の経典を広く修め、特に『春秋』の左氏伝を好んだ。彼は、馬の目利きに優れた王済と蓄財を好んだ和?を評して「済に馬癖有り、?に銭癖有り」と言っていたが、武帝から「そなたには何癖があるのだ」と尋ねられ、「臣には左伝癖有り」と答えたとの逸話が残る。

『春秋』の三伝のうち、『春秋左氏伝』は充分に著者左丘明の考えを究めておらず、また『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』は詭弁によって解釈を混乱させていると考えた。そこで『春秋』の微言を交錯させながら『春秋経伝集解』を書き著した。また、諸家の説を参酌考察し、それを『釈例』と名づけた。そして、『盟会図』と『春秋長暦』を書き、独自の学問を作り上げた。

『春秋』の注釈で、君主を弑した(殺した)実行犯の名前が記録されていない場合は君主が悪く、実行犯が記されていれば実行犯である家臣が悪いという説を唱えた。臣下が悪くない事例では、実行犯の名前を記録しなかったという解釈である。また、無道の君主は殺害してもよいということでもあり、渡邉義浩は、司馬昭の曹髦殺害を正当化するための学説だったと推測している[1]

なお、彼の字「元凱」とは、『春秋左氏伝』文公十八年の条にある??の八人の王子(八元)と帝?の八人の王子(八凱)に由来する。

ケ艾は江由へ下って行ったとき、田続が進もうとしなかったため、斬ろうとしたが、あとで見逃してやった。衛?は田続を(ケ艾を捕縛するために)派遣するとき、彼に向って「江由の屈辱に報復するがよかろう」と言った。杜預はケ艾を尊敬していたので、人々に向かって

「伯玉(衛?の字)は死を免れないであろう。身は名士に列し、高い地位と人望を具えながら、よい評判を立てられることがないうえに、正義によって部下を統御することもしない。これは小人(器量の小さい人間のこと)のくせに君子の皮を被っているためだ。一体どうやってその責務を果たそうというのか」

と言った。衛?はこの発言を伝え聞くと、車の支度も待たずに駆けつけて陳謝したという。晋書では衛?が後に誅殺されたのは、杜預の発言の通りであったと記載されている。杜預の発言は最初の一句が『左氏伝』そのままであるうえ、全体にわたって『左氏伝』を思わせるような内容・表現である。
脚注^ 渡邉義浩『西晉「儒教国家」と貴族制』、汲古書院、2010年10月28日初版、ISBN 9784762928826










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