村上春樹
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1987年発表の『ノルウェイの森』は2009年時点で上下巻1000万部を売るベストセラーとなり[2]、これをきっかけに村上春樹ブームが起きる。その他の主な作品に『羊をめぐる冒険』、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』、『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』などがある[3]。それらの作品は、50ヵ国語以上で翻訳されている。

日本国外でも人気が高く、柴田元幸は村上を現代アメリカでも大きな影響力をもつ作家の一人と評している[4]2006年フランツ・カフカ賞をアジア圏で初めて受賞し[5]、以後日本の作家の中でノーベル文学賞の最有力候補と見なされている[注 1]。デビュー以来、翻訳も精力的に行い、スコット・フィッツジェラルドレイモンド・カーヴァートルーマン・カポーティレイモンド・チャンドラーほか多数の作家の作品を訳している。また、随筆紀行文ノンフィクション等も出版している[6]
来歴
生い立ち

1949年京都府京都市伏見区に出生する。父親の村上千秋[7]甲陽学院中学校の教師として赴任したため、まもなく兵庫県西宮市夙川に転居。父は京都府京都市蹴上安養寺住職村上弁識の二男であり[8]、仏教系の西山専門学校を経て京都帝国大学文学部[9]、学業の途中で日中戦争に巻き込まれ、それによって深くトラウマを負った[10]。母は大阪船場商家の娘であった[11]。また両親ともに高校の国語教師であり、本好きの親の影響を受け読書家に育つ[12]。1955年に西宮市立浜脇小学校入学。4年生の頃から、急に本が好きになり、[13]ジュール・ヴェルヌや、デュマの小説、ホームズシリーズルパンシリーズを読むようになった。また、娯楽がなかったため、父・千秋に連れられ、西部劇戦争映画を見た。西宮市立香櫨園小学校卒業[14]芦屋市立精道中学校卒業[15]

1964年に兵庫県立神戸高等学校に進学。この頃から、国語教師であった父に『枕草子』や『平家物語』といった古典文学を暗唱させられ、その反動で海外文学に興味を移す[16]。最初に読んだ長編小説は、ショーロホフの『静かなドン』だった。この頃は、ツケで本が買え、[17]親が購読していた河出書房の『世界文学全集』と中央公論社の『世界の文学』を一冊一冊読み上げながら10代を過ごした。また中学時代から中央公論社の全集『世界の歴史』を繰り返し読む[注 2]。在学中には新聞委員会に所属し、2年生の時には編集長も務めた。また、初めてロス・マクドナルドの『わが名はアーチャー』をペーパーバックで読む。

1年の浪人生活ののち、1968年早稲田大学第一文学部に入学、演劇専修へ進む[注 3]。在学中は演劇博物館で映画の脚本を読みふけり、映画脚本家を目指してシナリオを執筆するなどしていたが[20]、大学へはほとんど行かず、新宿でレコード屋のアルバイトなどをしながら、歌舞伎町東映でほとんど毎週ヤクザ映画を観た[21]。また歌舞伎町のジャズ喫茶に入り浸る日々を送る。1970年代初め、東京都千代田区水道橋にあったジャズ喫茶「水道橋スウィング」の従業員となった[22]
結婚とジャズ喫茶開業

1971年10月、高橋陽子と学生結婚したが、子供は持たないようにした[23]。一時文京区で寝具店を営む妻の家に間借りする。二人は昼はレコード店、夜は喫茶店でアルバイトをして250万円を貯め、さらに両方の親と銀行から借金をして総額500万円を開業資金とした[24][25]。大学在学中の1974年、国分寺駅南口にあるビルの地下でジャズ喫茶「ピーター・キャット」を開店(場所は殿ヶ谷戸庭園のすぐ近く)[26]。店名は以前飼っていた猫の名前から。夜間はジャズバーとなり、週末は生演奏を行った[注 4]

1975年、7年間在学した早稲田大学を卒業。卒業論文は「アメリカ映画における「旅」の思想」でアメリカン・ニューシネマと『イージー・ライダー』を論じた。指導教授は印南高一(印南喬)[注 5][20]。1977年、ビルの持ち主から増築を理由に立ち退くように言われ、「ピーター・キャット」を千駄ヶ谷に移す[29]

1978年4月1日明治神宮野球場プロ野球開幕戦、ヤクルト×広島を外野席の芝生に寝そべり、ビールを飲みながら観戦中に小説を書くことを思い立つ[30]。それは1回裏、ヤクルトの先頭打者のデイブ・ヒルトンが左中間に二塁打を打った瞬間のことだったという[30][31][32]。それからはジャズ喫茶を経営する傍ら、毎晩キッチンテーブルで書き続けた[33]
デビュー、人気作家となる

1979年4月、『群像』に応募した『風の歌を聴け』が第22回群像新人文学賞を受賞。


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