本位貨幣
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政府及び民間人が旧金貨、外国金貨、あるいは金地金を造幣局に持ち込み金貨の鋳造を依頼すれば、一定の手数料の下本位金貨に鋳造され交付された[1]
イギリス

イギリスでは1816年に法的に世界で最初に金本位制が採用され、ソブリン金貨と呼ばれる本位金貨が鋳造され流通した。イギリスの金保有高はそれほど高くは無かったものの、当時の産業・金融はイギリスの一国優勢のもとにあり、多国間の金融決済機能がイギリスの首都ロンドンに集まっていたこと、広大な植民地から地金や各国通貨を集積する金融システムが確立していたために安定しており、20世紀初頭までに世界各国がイギリスとの取引を念頭に置いた金本位制を採用した。2度の世界大戦や世界恐慌による金本位制の一時中断を経て、第2次世界大戦後はIMFのもとでアメリカを中心としたブレトン・ウッズ体制と呼ばれる仕組を打ち立てたが、1971年ニクソンショックによって崩壊し、本位貨幣制度は崩壊して管理通貨制度変動相場制へと移行した。なお、ソブリン金貨は現在も発行されているが、もはや本位金貨としての役目は終え、地金型金貨としての発行である。
日本

日本では日米和親条約締結後に、大量の金流出問題が起きている。これは諸外国と日本の金銀の交換比率が異なる事が主な原因であるが、本位貨幣の概念が無かった当時の日本において、無理矢理本位貨幣の概念をあてはめて、日本貨幣と海外貨幣の交換比率を定めた事も原因である。やむなく幕府は貨幣の改鋳によって対処する事になる。

新貨条例により1871年から発行された旧金貨の1、2、5、10、20円と、貨幣法により金平価を半減した新金貨の5、10、20円がある。いずれも通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行に伴い1988年3月31日限りで廃止となった[2]

新貨条例では原貨である一円金貨幣の純金量は1.5メトリックガラムと規定され、貨幣法では「純金ノ量目二分(750ミリグラム)ヲ以テ価格ノ単位ト為シ之ヲ圓ト称ス」と金平価が明記された。

新貨条例において、「本位とは貨幣の主本にして他の準拠となるものなり。故に通用の際に制限を立るを要せす。尤も一円金を以て本位中の原貨と定むるとは、就中一円金を以て本位の基本を定め、他の四種の金貨も都て標準を一円金に取れはなり」と定義している[3]

また1878年5月27日の太政官布告では一円銀貨が本位金貨と等価に国内でも無制限通用が認められ、1898年4月1日限りで通用停止となるまで事実上の本位貨幣となった[4]
脚注
注釈^ 金本位制であれば金貨が、銀本位制であれば銀貨が本位貨幣すなわち正貨となるが、一般に「正貨」という語を用いる場合には、金本位制における金貨に対して用いられ、かつ貨幣の形態を取っていない金地金・金為替をも含んだ意味で用いられている。

参考文献^ 三上隆三 『江戸の貨幣物語』 東洋経済新報社、1996年
^ 造幣局125年史編集委員会編 『造幣局125年史』 造幣局、1997年
^ 『明治大正財政史(第13巻)通貨・預金部資金』 大蔵省編纂、1939年
^ 『造幣局百年史(資料編)』 大蔵省造幣局、1974年

関連項目

金本位制

銀本位制

ソブリン金貨


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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