未来少年コナン
[Wikipedia|▼Menu]
また、インダストリアやハイハーバーは登場するが、のこされ島に当たる島はなく、コナンは何もない岩に一人で流れ着いて数年以上サバイバル生活をする[6]ところから始まり、そしてインダストリアは終盤地殻が壊れて崩壊し、事前にこれを危惧したロア(アニメ版のラオ)から教えられてこの津波からハイハーバーの人たちを助けるため[注 2]にたどり着いたコナンたちがオーロやダイスに妨害されるも強引に皆を高台に逃がし、逃げ遅れたオーロと共に間一髪で津波から助かる場面で終了している。

日本アニメーションがNHKにアニメ企画を提示した中の1本だったというが、本命企画ではなく、宮崎に日本アニメーションから監督依頼があったときもその本命の別作品の監督依頼だったという[7]

中島順三プロデューサーによれば、NHK初のテレビアニメシリーズということで企画に応募した当初、日本アニメーションが手がけてきた世界名作劇場同様「家族で見られるようなものを」と考え、フランシス・ホジソン・バーネットの『秘密の花園』をアニメ化しようと思っていた[注 3]。しかし、中島は折からのアニメブームを考慮して「小学校5、6年生に向けた冒険活劇にしよう」と考えを変更し、幾つか提示した作品の中からNHK側が『残された人々』を選んだ。中島が監督に抜擢した宮崎は最初こそ「こんなものアニメにならないよ」と難色を示したが、後述のように設定やストーリーを大きく変更すること、作画監督に大塚を起用することを条件に監督を引き受けた[8]

原作は冷戦中の東西対決を背景とした、イデオロギー色の強いペシミスティックな内容であり、宮崎はこれをそのまま子供たちに見せることを嫌がったため[9]、ストーリー及び登場人物については大幅に改変・脚色が加えられている。舞台は架空の最終戦争から20年経過した世界に変更されているほか、例えば、主人公のコナンはアメリカ的自由主義社会を背負ったハイティーンの少年から豊かな自然の中で育ったプレティーンの自然児に、敵役の登場人物はロシア人を思わせる人名で社会主義国の官僚的な人物像のマンスキーやレプコから戦災孤児という背景を背負って成長したモンスリーとレプカに、それぞれ変更されている。そのため宮崎は、ハイハーバーをアメリカ、インダストリアをソ連とする原作に立ち戻っての見方には不快感を表明している[2]
本作の影響

本作を見たことでアニメ業界を志したクリエイターも多い。本郷みつる[10]摩砂雪[11]井上俊之[12]田中達之[13]舘野仁美等。スタジオジブリ作品の常連となったアニメーターの高坂希太郎も高校時代に本作を見て、宮崎駿と仕事ができる可能性のあった作画スタジオのOH!プロダクションに入社したという[14]平松禎史にとっては、絵を動かすことの面白さを教えられた作品であり、パラパラマンガを描くようになったという、いわばアニメーターとしての原点となっている[15]

本作に絵コンテで参加した富野由悠季は、『戦闘メカ ザブングル』を監督するに当たって、本作を模倣する所から始めたと語っている[16]。また、当時新人だった押井守は、本作の絵コンテ集によってレイアウトを学び、高畑勲絵コンテでのラオ博士の扱いでキャラクターを立たせる「戦略的な演出」を理解したという[17]

初めてTVシリーズアニメの監督をした宮崎自身も本作を通じ、改めてアニメの良さを感じたという[18]

1995年に公開されたアメリカ映画ウォーターワールド』が本作の影響を受けているのではないかという指摘がある[19][20]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:184 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef