未成年者
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営業の内容が商業でない場合には、許可や取消し・制限の公示の方法がないので善意第三者にも対抗しうるものと解されている[13]
身分行為

婚姻
婚姻適齢については18歳以上でなければならない。これに反する婚姻届は受理されず、誤って受理された場合でも各当事者、その親族又は
検察官からその取消しを家庭裁判所に請求することができる(744条1項本文)。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、婚姻の取消しを請求することができない(744条1項ただし書)。婚姻適齢に達していない者の婚姻は不適法な婚姻として民法744条によって取り消されるまでは一応有効なのであって、当然無効となるわけではないので不適齢者が婚姻適齢に達したときには取消しを請求することができなくなる(745条1項)。ただ、婚姻した不適齢者は、適齢に達した後、なお3ヶ月間はその婚姻の取消しを請求できるが(745条2項本文)、適齢に達した後に追認したときは、もはや不適齢を理由として取り消すことはできない(745条2項ただし書)。なお、2022年(令和4年)3月31日以前は、男性は18歳以上、女性は16歳以上で婚姻適齢となり、未成年者でも婚姻は可能であったが、未成年者の婚姻には婚姻の一般的要件(重婚の禁止など)のほかに、婚姻適齢に達していること(731条)及び父母の同意(737条)が必要だった。父母の一方が同意しないとき、父母の一方が知れないとき、父母の一方が意思を表示することができないときは他の一方の同意だけで足りる(737条ただし書)。ただ、民法737条については実親と養親がいる場合はどうなるのか、離婚や親権喪失の宣告などによって父母の一方あるいは両方が親権を喪失している場合はどうなるのかといった問題点をめぐり学説が複雑に対立し、父母ではなく親権者あるいは未成年の後見人の同意または家庭裁判所の許可とすべきといった議論もなされた[14]。民法737条に反する婚姻届は受理されないが、誤って受理された場合にはもはや取り消すことはできない(民法744条が不適法な婚姻の取消原因として民法737条(父母の同意)を加えていないことに注意)。なお、生年月日が2006年(平成18年)4月1日とそれ以前の女性は、民法の改正施行より前に婚姻適齢に達するため[注 4]、引き続き満16歳以上で婚姻ができる[7][15]。また、2022年(令和4年)3月31日までに適法に婚姻し成年擬制された者は、4月1日以降も引き続き成年擬制の扱いを受けると解される(下記)。

生年月日と、婚姻可能年齢の組み合わせ婚姻の日付[注 5]生年月日・性別婚姻可能年齢父母の一方の同意成年擬制
2022年(令和4年)3月31日まで男性18歳以上要あり[注 6]
女性16歳以上
2022年(令和4年)4月1日以降男性18歳以上成年のため不要-
2006年(平成18年)4月1日までの女性16歳以上要あり[注 6]
2006年(平成18年)4月2日以降の女性18歳以上成年のため不要-
前述の成年擬制の効果は民法などの私法領域のみに限られ、公法領域にその効果は及ばないと解される(二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律などの法律、その他の国家資格要件などには適用されない)[16]。2022年(令和4年)4月1日に婚姻適齢と成年が同一年齢となったため、成年擬制は原則としてなくなったが、2022年(令和4年)3月31日までに適法に婚姻し成年擬制された者が遡及して未成年に復帰はしないと解される(改正民法)[注 7]。成年擬制を受けた者が年齢20歳に達しないうちに婚姻を解消した場合には、当事者や法律行為の相手方などの社会的影響を考慮して未成年には復帰しないとするのが通説である[17]

未成年者の認知
未成年者は嫡出でない子の認知をすることができる。法定代理人の同意は不要である(780条)。

未成年者の養子縁組

未成年者を養子とする場合

未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者直系卑属を養子とする場合は、この限りでない(798条)。

配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない(795条本文)。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合または配偶者がその意思を表示することができない場合はこの限りでない(795条ただし書)。

養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人がこれに代わって縁組の承諾をすることができる(797条1項)。法定代理人がこの承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない(797条2項)。


未成年者が養親となる場合

民法は「20歳に達した者は、養子をすることができる」と規定しており(792条)、この反対解釈から20歳未満の者は養親となることができない。753条により婚姻によって成年に達したものと擬制を受けた者については法律実務上養親となることができることとされているが、この点については議論がある[18]

未成年者の遺言
15歳に達した者は、遺言することができる(961条)。法定代理人の同意は不要である(962条)。
民法以外の法律

各法令における年齢の計算については、民法の場合と同様に、年齢計算ニ関スル法律(明治35年12月2日法律第50号)による。具体的に要件を満たす事となる日または時刻は、原則として、年齢計算ニ関スル法律に基づく。
民事訴訟法
未成年者は法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができないが、未成年者が独立して法律行為をすることができる場合には法定代理人によらずに訴訟行為をすることができる(民事訴訟法第31条)。なお、訴訟能力の項目も参照。
刑法
刑事未成年者14歳に満たない者の行為は罰しない(第41条)。詳しくは、責任能力の項目を参照。なお、少年法の項目も参照。なお、未成年者略取誘拐罪(224条)、未成年者買受罪(226条の2第2項)、準詐欺罪(248条)の「未成年者」の具体的年齢については、民法の成人年齢引き下げと連動していて18歳未満となる。[19]
労働基準法
第6章「年少者」において、未成年者(後述)、年少者(18歳未満の者)、児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者)に区分して、それぞれの年齢に対応した法規制を行っている。本法上の「未成年者」については、令和4年改正施行民法に即した厚生労働省の通達等は確認されていないが、同省では民法4条の未成年者によるものとしている[20][21]


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