木材
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木材が含む水分量のめやすとなる含水率(細胞壁の重さに対する水の重さの比率) u {\displaystyle \mathrm {u} } は、以下の式で求められる[19]

u = M − M o M o 100 {\displaystyle \mathrm {u} ={\frac {\mathrm {M} -{\mathrm {M} _{o}}}{\mathrm {M} _{o}}}100} (%)

ただし、

u {\displaystyle \mathrm {u} } は、含水率

M {\displaystyle \mathrm {M} } は、含水率を測定する木材の質量

M o {\displaystyle \mathrm {M} _{o}} は、全乾状態の木材の質量

伐採後、乾燥工程を経ていない木材は「生材」と呼ばれ、その含水率は樹種にもよるが、40 - 300%以上の広きにわたる。針葉樹の辺材になるとどの品種でも軒並み100%を超え、広葉樹でも70%前後となる[2- 1]。十分に乾燥されていない木材は重く、腐りやすく、収縮・変形し強度も乾燥材に劣る。

生木を乾燥させていくと含水率30%前後(繊維飽和点)で収縮が始まり、変形となって現れる[20]。しかもそれは、表面が先行して乾燥するため、内部との歪みが生じ表面割れが生じる。その後内部乾燥が進むと今度は逆向きの力が内部に加わり、内部割れを起こす原因となる[20]。その他にも、不均一な乾燥はそりや変色などを引き起こす[20]

木材を一定の温度・湿度に調節された環境に放置すると、ある含水率に達した時点で木材の吸湿と放湿が同じスピードになり、見かけ上木材が吸放湿を行わなくなる。こうなると木材の収縮・変形は収まる。この平衡に達する含水率は温度と湿度によって一意に定まり、平衡含水率と言う[19]。この状態にある木材は「気乾材」と呼ばれる[19]。日本の場合、外気の平衡含水率は季節や地域によって異なるが、おおむね12 - 16%程度[注 2]であり、建築用材であれば20%まで乾燥してから用いるのがよいとされている。また、空調設備の整った屋内での使用が基本となる家具用材などでは7%、ビル内装で8%、フローリングで9%、集成材のラミナで10%程度の含水率まで乾燥した材が用いられる[20]。これは、木材が一定以下の含水率になった後、湿気を吸いにくくなるという性質を利用するためである。なお、木材の表面だけが乾燥して内部の含水率が高いと出荷後に製品に狂いが生じるので、乾燥工程の終了時には十分な養生期間を設けて、木材内の含水率をできるだけ均一にすることが望ましい。
方法

木材の乾燥方法には大きく分けて「天然乾燥」と「人工乾燥」の2通りの乾燥方法がある。天然乾燥は直接降雨が当たらないよう簡単な屋根を設けた風通しの良い場所に桟積みして自然の力(太陽光)のみで乾燥が行われる。自然エネルギーだけを用いる点は有利だが、環境を制御しないために含水率15%程度まで乾燥させようとすると非常に長い期間がかかり、経済的効率が悪い[20]

人工乾燥は、乾燥室内に木材を置いて各種条件をコントロールしながら行う。その方法は、蒸気を熱源に熱風を送る蒸気式内部送風機型(IF型)乾燥室が主流であり、その他に50℃以下で除湿する「除湿乾燥」、100℃以上の熱風を用いる「高温乾燥」、減圧下では平衡含水率が下がることを利用し50?70トルの減圧釜を使う「減圧乾燥」、高周波を発生する電極に木材を挟んで行う「高周波乾燥」、有機溶剤などを加熱した薬剤に接触させる「薬品乾燥」がある[20]。人工乾燥は短期間で行えることや均一な木材に仕上がる点がメリットに挙げられ、デメリットとしては乾燥に際し二酸化炭素放出やエネルギー消費が伴う点がある。この他にも、パラフィン液相乾燥、遠赤外線乾燥、加圧下での乾燥、マイクロ波乾燥なども検討・開発されている[21]

実際の乾燥は、木の種類や形状・寸法、またはどの程度まで損傷を許容するかを勘案し、天然乾燥で30%程度まで含水率を下げた上で人工乾燥を組み合わせ行う手法が一般的である。これはそれぞれの国や地域、およびメーカーが積み上げたノウハウに基づいている。楽器など特殊な用途ではあえて数年以上の天然乾燥を行い、長期間の平衡含水率状態で木材の吸排湿を繰り返す手段を用いる。これによって高い寸法安定性を持たせ、かつ振動特性を向上させる狙いがある[20]。また、製材後に黒筋となるのアクを抜くため、雨水にさらしながら乾燥させる「雨打たし」という技法もある[22]
製材品と木質材料

大きな一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したものを、製材(より正確には製材品)あるいは無垢材と呼び、木の小さな破片や薄い板(いずれも原木そのものについては小径木とは限らない)を集め、接着剤で貼りつけて大きな寸法の部材としたものを、用途などの状況によって木質材料[23]、木質製品、木質建材、木質素材などと呼ぶ。なお、後者の生産において接着剤は必須ではない。木材に含まれているリグニンは、高温にさらされると自己溶着性をもつので、高温処理を伴うプレス加工により、接着剤なしでも、ハードボードと称されるやや密度の高い木質材料(ファイバーボードの一種)を作ることが可能であり、かつてはテレビなどの家電製品に多用された。現在も、木造建築物の耐力壁などに使われている。なお、その言葉の持つ好印象から、製材品については、商業的にはしばしば無垢材という言葉で呼ばれるが、原木から所定のサイズの材を切り出すという製材作業を経ているものは製材品と呼ぶのが正しい。JASにおいても「製材の日本農林規格」[24]の第一条で、言葉の定義として「原木等を切削加工して寸法を調整した一般材(中略)を製材と総称する」と記している。木質材料については、おもな種類として、集成材LVL(単板積層材)、合板パーティクルボード (PB)、ファイバーボードOSBなどがある。
製材および製材品

から伐り出した原木を丸太のまま利用する事は少ない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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