韓国と北朝鮮の言葉の違いに関しては朝鮮語の南北差を参照。
方言小倉進平による方言区分(1940)詳細は「朝鮮語の方言」を参照
朝鮮語の方言は大きく本土方言と済州方言に分けられ、そのうちの本土方言は西北方言(平安道方言)、東北方言(咸鏡道方言)、中部方言(黄海道、江原道、京畿道、忠清道方言)、西南方言(全羅道方言)、東南方言(慶尚道方言)の5つに分類される。韓国の標準語の基礎になったソウル方言は中部方言に属し、日本においても比較的知られている釜山方言や大邱方言は東南方言に属する。
本土方言
西北方言(平安道方言)
東北方言(咸鏡道方言)
中部方言(黄海道、江原道、京畿道、忠清道方言)body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}
ソウル方言
嶺東方言
忠清方言
西南方言(全羅道方言)
東南方言(慶尚道方言)
釜山方言
大邱方言
済州方言
他言語との接触によって生じた朝鮮語の変種
在日朝鮮語
在日韓国・朝鮮人が家庭内や仲間内で用いる朝鮮語。語彙や発音の面で日本語の影響を強く受けている。したがって、日本人の朝鮮語学習者と同じような発音となる傾向が非常に多く、また日本語からの借用語が極めて多い。また、在日朝鮮語を使用するのはオールドカマーである特別永住者が中心で慶尚道・全羅道・済州道などの南部地方出身者が多いため、中部方言であるソウル方言とは相違がある場合が多い。
在米朝鮮語
韓国系アメリカ人がコリアン・スクール等で習う韓国語。こちらは英語なまりの韓国語になる場合が多く、英語からの借用語を多く使う傾向がある。
中国朝鮮語
中国に居住する朝鮮族の間で使用される朝鮮語。
コリョマル
高麗人(旧ソ連、中央アジアに住む朝鮮民族)が用いる朝鮮語。中国朝鮮語同様、ベースは近代化以前の地方方言であり、音韻・語彙・統語全ての面でロシア語の影響を強く受けている。現在では若年層が習得することのほとんど無い、絶滅危機に瀕した言語変種である。
音韻詳細は「朝鮮語の音韻」を参照
朝鮮語の音節は (C) V (C) の構造を持つ。
短母音は本土方言 /a/、/?/、/e/、/i/、/?/、/o/、/u/、/?/ の八つであり、ソウル方言では /?/ と /e/ の区別はなくなり(融合・合流)、母音音素が7つになっている。二重母音は/?i/のみである。母音調和は中期朝鮮語には存在したが、現代語ではその痕跡を残すだけにとどまる。
子音は破裂音 /p/、/p?/、/p?/、/t/、/t?/、/t?/、/k/、/k?/、/k?/、破擦音 /?, ??, ??/、摩擦音/s/、/s?/、/h/、鼻音 /m/、/n/、/?/、流音 /l/ が存在する。破裂音及び破擦音は平音、濃音、激音が対立し、摩擦音の /s/ は平音、濃音が対立する。
語頭においては /l/、/?/ が立つことができず、/i/、/j/ の前に /n/ が立つこともできない(外来語は除外)。音節末においては平音/濃音/激音の対立が中和され、また破擦音及び摩擦音が /t/ に中和されるため、/p/、/t/、/k/、/m/、/n/、/?/、/l/ しか現れることがない。また音節末の破裂音 /p/、/t/、/k/ は内破音(無開放閉鎖音)として発音され、多くの日本語母語話者にとって聴き取りの難しいものである。
また、さまざまな同化規則が存在する。
表記詳細は「朝鮮語の正書法」および「ハングル」を参照「朝鮮漢字」も参照
朝鮮半島に漢字が伝えられて以来、吏読や郷札、口訣など漢字の音や訓を用いて朝鮮語を表記する方法がいくつか試みられた。しかし朝鮮語と中国語の言語構造の違いや朝鮮語音韻の複雑さから普及度は小さかった。本格的な表記が始まったのは1443年の訓民正音制定以降である。最初期の表記法は一部の例外を除いて文字を発音通りに綴る表音主義的な表記法であった。16世紀からは形態主義的な表記法も徐々に取り入れられ始めたが、知識人の書く文章では形態主義的綴り、庶民の書く文章では表音主義的綴りが多く見られた。
19世紀末期には福沢諭吉の発案によって日本語の漢字かな交じり表記と似た漢字ハングル交じりで書かれた朝鮮語が文言(漢文)と並ぶ行政語の地位を獲得し、1883年に井上角五郎が創刊した漢城旬報が1886年に漢城周報に紙名を改名した後に採用した。
正書法も徐々に固まりつつあったが、それらが根付く前に朝鮮は日本統治時代へと突入することになる。漢字ハングル交じり表記は後の時代にも新聞の見出しや書物の表題、序文などに見られるが、それによって本文が書かれた書物[注 3]はほとんど存在しない。
日韓合邦後に、金沢庄三郎と小倉進平の両博士を中心とする日本人言語学者は、近代朝鮮語の表記を科学的に体系化して言語として完成させた。
小倉博士の「朝鮮語学史」によれば、朝鮮が清の文化から離脱し独自性を強調するために国学・国文の使用を鼓舞しハングルを奨励しはじめたのは、1897年の日清戦争後からで、朝鮮が大韓帝国として清から独立してからであった[27]。
朝鮮総督府は併合初期の1911年に、「諺文綴字法研究会」を発足させて、1912年に「普通学校用諺文綴字法」を定めたが、これはそれまでの民間の慣習的表記法を整理し成文化したものである。
正書法は「朝鮮語綴字法統一案」(1933年)など更に数度の修正を経て、2008年現在、韓国では「ハングル正書法」(1988年)、北朝鮮では「朝鮮語規範集」(1966年制定、1987年改正)が用いられている。南北の正書法共通の最大の特徴は、形態主義を採ることと分かち書きをすることである。
朝鮮語には連音や同化などの音韻規則が豊富であり、一つの形態素が音韻的な環境によって別々の音声として現れることが多々ある。音声が異なっていても同じ形態素であれば、可能な限り同じ文字で表記しようというのが形態主義である。分かち書きの単位は日本語における文節に近いが、南北の現行の正書法では分かち書きの規定が互いに若干異なる。概して南は分かち書きを多用する傾向にあり、北は分かち書きが少ない傾向にある。
また、朝鮮語をラテン文字で表記する方法については朝鮮語のローマ字表記法を参照。 インド・ヨーロッパ語族やアフロ・アジア語族に見られる性・数の概念はなく、性・数・格の一致の概念もない。
文法詳細は「朝鮮語の文法」を参照
形態論
名詞の格は格助詞によって表される。話し言葉では格を明示しなくても文脈上明らかであれば省略する。
一つの名詞が複数の格助詞をとることができる。二つの格助詞が組み合わさって新しい意味を持つこともある。
動詞は語幹のみでは文節を形成することができず、必ず終結語尾を必要とする。
動詞と終結語尾の間には時制やアスペクト、主体敬語を表す先語末語尾を挿入することができる。
形容詞は動詞とほぼ同じ活用をする。また、日本語と異なり形容詞と形容動詞の分化はない。
冠形詞は名詞を修飾する不変化詞で、日本語の連体詞に相当する。
敬語には対者敬語、主体敬語、客体敬語の三つがあり、日本語の丁寧語、謙譲語、尊敬語にほぼ相当する。
名詞、助詞、動詞には敬語を表す特別な語彙(補充形)があり、敬語を表す名詞接尾辞、敬語を表す動詞(主体敬語を表す語尾先語末語尾と対者敬語を表す終結語尾)がある。