朝鮮語
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そのほか、「コリア語」[14]「韓国朝鮮語」[15]などの呼称が存在する[16]。また、本来ハングルは文字の名前であり言語の名前ではないが、言語名として「ハングル」を用いることもあり、日本放送協会(NHK)は「ハングル講座」を放送している。ハングル能力検定試験協会は「『韓国・朝鮮語』を統括する意味で『ハングル』を用いて」いると説明している[17]

一方、韓国では「韓国語」に相当する「???(韓國語、(ハングゴ)」「???(韓國?、(ハングンマル)」という呼称が用いられており、北朝鮮においては「朝鮮語」に相当する「???(朝鮮?、(チョソンマル)」「???(朝鮮語、(チョソノ)」という呼称が用いられている。この他に朝鮮民族どうしの表現として「国語」に相当する「??(國語、クゴ)」や、朝鮮語の固有語で「我々の言葉」を意味する「???(ウリマル)」という表現も用いられる。

また、中国では、1949年の建国から社会主義陣営に所属しており、当初から北朝鮮を朝鮮半島全体の唯一の正統政府としていた立場から、朝鮮民族の国家、民族や言語、文化に冠する呼称に「朝鮮」(簡体字で「朝?」)を使用し、中国の国民を構成する朝鮮系の集団やその言語に対してもこの名称を用いて、「朝鮮族」や「朝鮮語」と呼称してきた。

しかし、1992年に韓国と中国が国交を樹立してからは、韓国との直接交流が進展し、韓国資本の裏付けにより、韓国式の語彙や文字配列をそのまま移植した語学テキストや辞典類が「韓国語」の名称を冠して発行されるようになった。その結果、韓国の朝鮮語を指す「韓国語」「韓語」は、中国の延辺朝鮮語や北朝鮮の朝鮮語を指す「朝鮮語」とともに併用されるようになってきている。

日本外務省および中華人民共和国外交部の公式ウェブサイトにおいては国に応じて別の呼称を使用している(韓国の公用語は韓国語[18][19]、北朝鮮の公用語は朝鮮語とされる[20][21])。

中国本土を除く中華圏香港[22]マカオ[23]台湾[24])では政治的な理由で「韓語」としか呼ばない。

また、中央アジアの朝鮮人の間では「高麗語」(???、高麗?、Корё маль、コリョマル)という呼称が用いられている。多くのヨーロッパ言語では高麗に由来する Korean (英語)などの名称を用いており、中立性の問題は提起されていない。
系統

一般的には分類上アルタイ諸語孤立した言語と見なされるが、済州語を別の言語として、両者を朝鮮語族にまとめることもある。

アルタイ諸語との関係、また日本語との関係もしばしば議論の的となる。学者によっては、日本語と共にアルタイ諸語に含める場合もある。
日本語との比較「日本語と朝鮮語の比較」も参照

統語面では、基本語順SOV型であり、日本語と類型論的に同じ語順を持つ(なお、語順はそれ単独では同一系統の言語であることを示す証拠にはなり得ない。なぜなら、SOV型は世界の言語の約50%が属す普遍的な語順であり、また同一系統であっても言語によって、更には同一言語であっても時代によって基本語順が異なることがあるため)。否定の表現では逆位となる場合やいわゆる「かばん語」によって否定表現が一語となっているものがある。助詞主題を表示する点は日本語と共通している。

音韻的な面では、古い時代では語頭に流音(ラ行)・有声阻害音(濁音)が立たない点、母音調和が見られる点、母音連続を避ける点などが日本語と共通する。これらはアルタイ諸語に共通して見られる特徴でもあり、朝鮮語及び日本語がアルタイ語族であるという論拠の一つになっている。但し朝鮮語の音節が閉音節(CVC)を基本としているのに対し、日本語は開音節(CV)を基本としているなど、相違点も見られる。

その一方で語彙は、漢字語あるいは字音語を除き、一定の音韻対応によって系統的に同一の祖形に当てはまるものは見出されていない。

江戸時代から、様々な側面から日本語と朝鮮語の類似性を指摘する研究者はたびたび現れている(金澤庄三郎など)。小倉進平対馬方言と朝鮮語の関係を研究したが、対馬方言への朝鮮語の借用以上のものは見出していない。漢字呉音は古くは「対馬音」と呼ばれ、研究者の中には朝鮮字音から直接輸入されたと考える者もあったが、河野六郎の研究などによりその重層性が明らかにされていった。

かつてのような単純な説は出されることはなくなったが、現在でも様々な資料と方法によって親族関係を見出そうとする研究が続けられている。共通点については言語連合(Sprachbund, language union、例:バルカン言語連合)の可能性もある。
アルタイ語族

朝鮮語が孤立した言語でないとしたらアルタイ語族に属すであろうという意見もある。ただし、テュルク語群、モンゴル語群、ツングース語群には文法的に非常に似ていて類似性があるものの、それらが共通の祖語を持つアルタイ語族であるということは今のところ証明されるめどは立っていない。

歴史学の見地から考えると、百済、新羅、高句麗では言語体系が異なるという説もある。しかし、日本で大和民族の政権が支配層として続いているように百済、新羅、高句麗から高麗王朝と朝鮮王朝まで朝鮮民族の王朝がずっと支配層として続いており、昔と現代の言語体系はほとんど変わっていないという説もある[25]。朝鮮語はアルタイ語のうち、ツングース語族との関係が最も深いと考えられており、唯一まとまった文字資料をもつ満州語との比較研究が行われている。
方言・変種
標準語

朝鮮語を公用語と定めている韓国と北朝鮮は、それぞれ別々の標準変種を規定している。韓国における標準変種は「標準語」(???)であり、「ソウル教養ある人々が使用する言語」と規定される。また、北朝鮮における標準変種は「文化語」(???)であり、「平壌労働者階級が使用する言語」と規定される。ただし、北朝鮮の標準語も実際には伝来のソウル方言を基礎としており、元来の南北の方言差に由来する標準語の差異は、皆無ではないもののかなり限定的である。また、中国領内の延辺朝鮮語は、基本的に北朝鮮の標準語を規範としている。

日本統治前は、朝鮮半島南部と北部出身者が会話した場合に地域間の訛音差から話が通じないことがあった。学校教育推進のために一定の指針となる標準語を求めた朝鮮総督府は、普通学校における標準語の規範を永く首都とされてきた京城府(現ソウル特別市)の中流階級が使用する言語とした[26]。これにより南北双方の言語とも20世紀前半のソウル方言が基礎となったが、韓国と北朝鮮がそれぞれ独自の言語政策に基づいて標準語を発展させていった結果、語彙・正書法・辞典における文字配列の順序などで、韓国における「???」「???」と北朝鮮における「???」「???」の間に相異が出ている[注 2]。たとえば韓国と北朝鮮では、独立後に漢字表記の廃止と日本語語彙の置き換えが着手されたが、それぞれが個別に行った結果、韓国における「韓国語」と北朝鮮における「朝鮮語」の相違を拡大することになった。

韓国と北朝鮮の言葉の違いに関しては朝鮮語の南北差を参照。
方言小倉進平による方言区分(1940)詳細は「朝鮮語の方言」を参照

朝鮮語の方言は大きく本土方言と済州方言に分けられ、そのうちの本土方言は西北方言(平安道方言)、東北方言(咸鏡道方言)、中部方言(黄海道、江原道、京畿道、忠清道方言)、西南方言(全羅道方言)、東南方言(慶尚道方言)の5つに分類される。韓国の標準語の基礎になったソウル方言は中部方言に属し、日本においても比較的知られている釜山方言や大邱方言は東南方言に属する。

本土方言

西北方言(平安道方言)

東北方言(咸鏡道方言)

中部方言黄海道江原道京畿道忠清道方言)body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}

ソウル方言

嶺東方言

忠清方言


西南方言(全羅道方言)

東南方言慶尚道方言)

釜山方言

大邱方言




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