これらは、実質的に見れば有限責任原理を回避して株主から債権を回収することになる。
また、事前の手配として、より直接的に出資者の責任を問う方法としては、株主であり経営者である者と、あらかじめ会社債務に関する連帯保証契約を結んでおくことが金融機関による融資の場面などを中心に行われており、いわゆるオーナー経営者が有限責任の利益を必ずしも原則どおり享受できるとは限らない。 例えば株式会社の設立時や新株発行時に株式を取得して株主になろうとする場合、その者は会社に対してその発行価額を払い込む。その後、その会社が多額の負債を抱えて倒産した場合でも株主は会社の債務について責任を負わない(支払う義務がない)。株主は株式を得る対価として支払った金額を失うことになるが、それ以上の損失を迫られることはない。これを間接責任という。上で説明してきた有限責任は同時に間接責任でもある(間接有限責任)。 これに対して合名会社の社員や合資会社の無限責任社員・有限責任社員は、会社の債務について会社財産をもってしても完済できなかった場合には自己の財産をその弁済に充てることを迫られる。これを間接責任と対比して直接責任という。無限責任社員と有限責任社員とは、責任を負うべき額に文字通り限度があるかないかという点で違いがある。株式会社の株主や合同会社の社員が間接有限責任を負うに過ぎないのに対し、合資会社の有限責任社員は、直接有限責任を負っているのである。ただし、会社に対し出資を履行していれば、その価額の分については間接責任となる。 無限責任とは、出資者が「出資の範囲を超えてまで」企業の債務返済を果たすべき責任である。その出資者を無限責任社員という。 有限責任では、出資者は自らの「出資額の範囲内」で企業の債務返済を果たす。有限責任を負う出資者を有限責任社員という。 個人企業の経営者は無限責任社員である。個人企業は上場していないので、キャピタルゲインはしないし、儲かった場合の配当金といっても、自分がすべてもらうだけである。逆に損失が出れば、すべて自分で償わなければならない。 自己資本100万円を投資して、200万円の赤字が出た場合、その経営者が償うのは自己資本の100万円だけでいいということはなく、200万円すべてを経営者が負担しなければならない。すなわちこの場合、経営者が負担する責任は出資額にかかわらず、その企業の負担額全額である。 無限責任を負う出資者のみで構成される集団企業を合名会社という。 先程の100万円を出資する経営者は、同じ100万円を出資してくれて完全に対等に経営してくれる人をもう一人見付ければ、2人の共同経営者、自己資本200万円の集団企業となる。利益が出れば2人で山分けとなるが、もし大きな損失を出せば、2人の経営者は自らの出資金100万円に関係なく、企業の損失全額を負担する無限責任を負う。 無限責任社員に加えて、有限責任社員を含めて自己資本を構成する集団企業を合資企業という。 有限責任社員は、無限責任社員を探すより、ずっと楽であり、資本を集めやすい。 「100万円は出せないけど、10万なら出す、儲かったらそれに応じて分け前を要求するが、もし損害を出しても10万円までは負担するがそれ以上は責任を負わない。」というものである。
間接責任と直接責任
無限責任の会社[1]
脚注[脚注の使い方]^ Shinka suru nihon no keiei : Shakai toppu senryaku soshiki.
関連項目
ノンリコースローン
典拠管理データベース: 国立図書館
ドイツ
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