月_(暦)
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閏月 (Merdedonius[9]) や閏日を挿入して対応したが、やがて貴族神官らが勝手に置閏を行うようになり、暦は不統一でばらばらな状態に陥った[17]

ガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)はローマ内戦で逃れたグナエウス・ポンペイウスを追ってエジプトに遠征し、クレオパトラ7世と協調して勝利を収めた。この際、彼はソシゲネスから暦を学びローマに持ち帰った。これを基礎に紀元前47年に制定された、一年を太陽暦365日(閏年は366日)とし、新年冬至に近いJanuarius の初日からとした暦がユリウス暦である。1か月は30日または31日が交互になるよう定め、超過分はヌマ暦で最終月だったFebruarius(2月)を29日(閏年は30日)と少なくして調整した。この際、元老院はシーザーを称え「第5の月」(Quintilis) の呼称を「ユリウス」 (Julius)へ改訂する決議をした[5]

その後、ローマ帝国初代皇帝となったアウグストゥスは支配下の元老院を操作して、誕生月であった[9]「第6の月」 (Sextilis) を自らの名 (Augustus) に改称させた。この際、Julius より日数が少ないことを嫌って Februarius から1日を移して31日とし、以後の各月を30日と31日が交互に来るよう変更を施した。このような流れから、7月と8月に「大の月」が続くこと、「8」の接頭辞OCTを持つ月が10月という様に意味が2か月ずれた4つの月(9・10・11・12月)、そして2月の日数が少なく閏の調整に使われるという現在に通じるそれぞれの「月」が定まった[4][5]

月ロームルス暦
由来(日数)ヌマ暦
由来(日数)ユリウス暦
(日数)アウグストゥス
改訂 (日数)英語フランス語スペイン語イタリア語ドイツ語
1月Januarius
ヤーヌス(29)←(31)←(31)January (Jan.)janvierenerogennaioJanuar
2月Februarius
フェブルウス(28)←(29/閏30)←(28/閏29)February (Feb.)fevrierfebrerofebbraioFebruar
3月Martius
マルス(31)←(31)←(31)←(31)March (Mar.)marsmarzomarzoMarz
4月Aprilis
アプリリス(30)←(29)←(30)←(30)April (Apr.)avrilabrilaprileApril
5月Maius
マイア(31)←(31)←(31)←(31)MaymaimayomaggioMai
6月Junius
ユーノー(30)←(29)←(30)←(30)June (Jun.)juinjuniogiugnoJuni
7月Quintilis
第5の月(31)←(31)Julius(31)←(31)July (Jul.)juilletjulioluglioJuli
8月Sextilis
第6の月(30)←(29)←(30)Augustus(31)August (Aug.)aoutagostoagostoAugust
9月September
第7の月(30)←(29)←(31)←(30)September (Sep.)septembreseptiembresettembreSeptember
10月October
第8の月(31)←(31)←(30)←(31)October (Oct.)octobreoctubreottobreOktober
11月November
第9の月(30)←(29)←(31)←(30)November (Nov.)novembrenoviembrenovembreNovember
12月December
第10の月(30)←(29)←(30)←(31)December (Dec.)decembrediciembredicembreDezember

なお、皇帝の名前を「月」の名称とする慣例はその後も行われ、皇帝ネロがAprilis(4月)を「ネロネウス」へ、皇帝ドミティアヌスが September (9月)を「ゲルマニクス」(カリグラとして有名な皇帝)、October(10月)を自らの名とする変名が行われた。しかしこれらは皇帝の死後元に戻された。一方、2代皇帝ティベリウスはSeptember(9月)をその名に変えようとする元老院の決定を「皇帝が13人になったらどうする」と覆したことが知られる[5]
世界の暦における様々な月の名称
季節や生活のサイクルに基づく名称

農耕や狩猟などに大きく依存する原始的社会では、必ずしも月の満ち欠けに倣わない暦も作られた。例えばフィリピンルソン島のボントク・イゴロット族の暦では、農作業に応じた不定期の8つの月が定められていた[18]

ボントク・イゴロット族の月意味期間
イナナ稲作の作業が無い期間3か月
ラトゥプ初期の収穫期間4週間
チョオク本格的にを収穫する期間4週間
リバスパレイの収穫を終える期間10-15日
バリリングキャモーツを植え付け期間6週間
サガンマ稲作の苗床を作る期間2か月
パチョング種まきの期間5-6週間
サマ苗の植え付け期間7週間

北海道アイヌが用いた暦が、1892年刊行の『あいぬ風俗略志』(村尾元長 著)に記録された。旧暦の3月から始まる一年に不定期の閏月を設けていた点から、素朴な太陰太陽暦と考えられる[19]。自然現象や生活行動に基づく各月の名や、日照時間が長くなり始める月から一年が始まる特徴は、アメリカイロコイ族が用いた暦にも共通する[20]

旧暦の月北海道アイヌ暦意味
3月イノミ チュブ
トエンタンネ チュプ祝いの日[19]
日照時間が長くなり始める月[19]
4月ハプラプ チュプが来て鳴く月[19]、あるいは木の葉の開く月[21]
5月モ キウタ チュプヒメイズイ(ユリ科の植物[22])を採り始める月[19]、あるいはオオウバユリを採り始める月[21]
6月シ キウタ チュプヒメイズイが盛んに採れる月[19]、あるいはオオウバユリを盛んに採る月[21]
7月モ マウ タ チュプハマナスを採り始める月[19]
8月シ マウ タ チュプハマナスが盛んに採れる月[19]
9月モ ニヨラプ チュプ落葉が始まる月[19]
10月シ ニヨラプ チュプ落葉が盛んな月 または サケが来る月[19]
11月ウンボク チュプ足の裏が冷たくなる月[19]
12月シュナン チュプたいまつ漁撈をする月[19]
1月ク エ カイが折れるほどに狩猟を行う月[19]、あるいは弓が折れるほど寒い月[21]
2月チウ ルプ チュプ凍結する月[19]
閏月ホルカバ後戻りする月[19]

より寒冷な樺太に住む樺太アイヌの暦は、北海道アイヌとは微妙に異なる。

旧暦の月樺太アイヌ暦
3月日脚の長くなる月[21]
4月小鳥の来る月[21]
5月オオウバユリを掘る月(気候の関係で、実際には掘れない)[21]
6月キュウリウオが登る月[21]
7月鱒が登る月[21]
8月鱒の焼き乾しを作る月[21]
9月木の葉が落ちる月[21]
10月罠をかける月[21]
11月罠を集める月[21]
12月雪が降る月[21]
1月寒い月[21]
2月融ける月[21]


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