月経
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思春期開始から初潮の1年以上前は乳房の発達開始(Thelarche・乳頭期、後に乳輪[25])や外陰部の発達し始め[26]など、大人の体型へ変化し始めで、骨盤が前傾傾向(女児型)のままなど、まだ子供の体型に近いが、初潮を挟む前後1年間は乳房全体が膨らみ始め(第1乳房期、後に第2乳房期)、骨盤が前傾傾向から直立傾向(女児型から女性成人型)に転換し始めることからがまっすぐになり、臀部が大きくなり始めるなど急激に体型が変化し[27][28]、初潮の1年後以降になると骨盤が直立傾向(女性成人型)となり、大人の体型に近くなる(乳房は形成期)。乳房は途中で初潮を挟む約4年間で発達する[29][30]。初潮時は身長の伸びのピークが過ぎており、初潮後はあまり身長が伸びなくなる[23]
病気
初潮前後は脊椎側彎症の発症が多いとされている[31]
処置

月経期間中は、子宮から膣を経て体外に経血が排出される。経血の排出は当人のコントロール下にないため、排出される経血を吸収するために、ナプキンタンポン月経カップといった生理用品を使用する。

開発支援等では、「女性と思春期の女子が経血を吸収する清潔な生理用品を使い、それをプライバシーが確保される空間で月経期間中に必要なだけ交換でき、石鹸と水で必要な時に体を洗い、使用済みの生理用品を廃棄するための設備にアクセスできること」を月経衛生対処(英語版)(Menstrual hygiene management、MHM)と呼ぶ(WHO[32]

UNESCOは女子や女性をとりまく環境について、月経衛生対処には以下のことを整えていくことが必要だと示している(括弧内は大阪大学の杉田映理による追記)[33][32]。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}
正確で時宣を得た(月経に関する)知識

安全かつ手ごろな価格で、入手可能な生理用品

(安全かつ衛生的でプライバシーが確保された)トイレと(手や体を)洗うための設備

生理用品の安全で衛生的な廃棄

(月経に関する)知識を持ち安心できる(教員やヘルスワーカー等の)専門家

保健サービスへの紹介とアクセス

(月経に関する)ポジティブな社会規範

(月経に関する)アドボカシーと政策[33][32]
—UNESCO(2014年)

月経衛生に対する権利は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)と、国連の条約で定められた権利に基づいている[34]。貧困や周囲の不理解等により十分な生理用品が利用できないといった月経衛生対処が不十分な状態は、「生理の貧困」と呼ばれることもある。
月経異常

期間の異常、サイクルの異常、疼痛などがあり[4]、正常月経の範囲を逸脱したものと定義される[20]

日本産科婦人科学会定義による 正常月経[20]月経周期25 - 38日
出血持続日数3 - 7日
出血量20 - 140 ml
随伴症状日常生活に支障の無い軽度のもの


月経不順

月経が始まった頃は、月経周期は安定せず、数か月起こらなかったりすることもよくある。

月経周期 (menstrual cycle) の異常

頻発月経/経早/月経先期:月経周期が異常に短縮する(24日以下)

稀発月経/経遅/月経後期:月経周期が異常に長くなる(39日以上)

不正周期月経/経乱:月経周期が不定期なもの(毎回の変動が7日以上)


月経持続期間の異常

過短月経 (too short menstruation):出血期間が異常に短縮する(2日以下)

過長月経 (too long menstruation):出血期間が異常に長くなる(8日以上)


月経量の異常

過少月経 (hypomenorrhea):20ml未満

過多月経 (hypermenorrhea/menorrhagia):140ml以上



無排卵月経一見すると定期反復的な出血が見られるが、周期内に排卵を伴わないもの。基礎体温を測ると一相性になる。厳密な意味での月経とはいえず、特に短期間に繰り返す頻発月経だったり不正周期のランダムな出血だったり、あるいは月経とも呼べない程の過少月経だったりする場合は、不正出血の一種として扱うことも多い。

無月経 (amenorrhoea)

原発性無月経18歳の誕生日までに初潮を見ないこと。染色体異常性分化疾患内分泌器系の異常[35]などで起因することが多い。

二次性無月経または続発性無月経初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3か月以上なくなること。妊娠した場合には当然ながら続発性無月経となる。また過度なダイエット拒食症、過度のスポーツなどで栄養障害を起こした場合にしばしば起こりうる。スポーツに起因するものは運動性無月経と呼ばれる事がある[36]


月経発来異常

早発月経 (premature menstruation):10歳の誕生日より前に初経を迎える[35]

遅発月経 (delayed menstruation):16歳の誕生日より後に初経を迎える


月経困難症(生理痛 dysmenorrhea)。子宮筋が収縮し剥離・脱落した子宮内膜を腟へ排出する際に生じる収縮痛[4]。月経期間中に痙攣のような腹痛や腰が砕けそうな痛み、足の痺れ、身体の麻痺、下痢悪心など、日常生活に支障をきたすような不調が起こること。若い女性に多い。妊娠経験後、痙攣性の腹痛を感じなくなる場合も少なくない。

月経前症候群・PMS (premenstrual syndrome)多くの女性は月経前数日、様々な不快を感じる(個人差はある)。腰痛・腹痛・頭痛・むくみ・悪心・食欲不振・乳房の緊張など。また精神的に不安定になって、落ち込んだり怒りっぽくなったりすることも多い。黄体ホルモンの影響によると考えられる。
詳細は「月経前症候群」を参照
閉経

閉経とは、卵巣機能の低下による生理的または医原性の月経停止(無月経)であり、妊孕性がなくなる[37][38]。月経が来ない状態が1年以上続いた時に、1年前を振り返って閉経とする[39]。日本では「閉経」も漢方系の「血の道」もあまり使われておらず、医療でも一般でも「更年期」が使われることが多い[40]。動詞で「上がる」とも称する。

月経の周期が規則的であるためには、卵巣から十分なホルモン(エストロゲンプロゲステロン)が分泌される必要があり(月経周期を参照)、閉経は、加齢により卵巣からのホルモンの分泌が停止することで起こる[38]。閉経時期(更年期)を迎えると、女性の体はホルモン分泌が変わり、月経は不規則になり、卵巣の中に卵胞がなくなり排卵が終わることで、閉経に至る[41][42][43][38]。月経周期の変化は通常40代で始まり、周期の長さが変動する[37]。閉経時期は個人差が大きく、早い人は40歳台前半、遅い人は50歳台後半で、40 - 55歳の間に迎える閉経は正常とみなされる[38][39]。アメリカ人の平均閉経年齢は約52歳、日本人の平均閉経年齢は約50歳である[38][39]

日本産科婦人科学会定義による 月経異常の種類【閉止】と問題点[20]

種類と年令問題点
正常 50歳
早期閉経 40歳未満
(早期卵巣不全)[4]骨粗鬆症、動脈硬化
遅発閉経 55歳以上乳がん子宮体がん

閉経をはさむ前後5年ほどの時期を「更年期」と呼ぶ[4]。月経の停止以外に、ホルモンバランスの変化や心理影響によって色々な自覚症状を感じる女性もおり、更年期障害と呼ばれている。ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)は75 - 85%の女性が経験する[38]。閉経後はエストロゲンが分泌されなくなることで、骨密度が低下し、子宮等の内性器、外陰部、乳房などの萎縮が起こる[38][44]


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