月世界旅行_(映画)
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無事にカプセルが月面に着陸すると天文学者たちは宇宙服などは装着せず、そのまま月面に降り立つ。遠くから地平線上に昇る地球を眺めた後、彼らは毛布を広げて眠る。この間に様々な天文事象がユーモラスに描写され、最後に月の女神フィービー(ポイべ)が三日月のブランコに座って現れる。フィービーが雪を降らせたことで天文学者たちは目を覚まし、洞窟の中へと避難する。そこで巨大なキノコを発見し、1人が傘を開くと巨大キノコに変わってしまい、一同は驚く。

ここで月の住民である地球外生命体(正式にはセレナイト(Selenite)と呼び、ギリシャ神話の月の女神セレーネにちなむ名前)が現れて襲ってくるが、強い力が加わると簡単に爆発してしまうため、天文学者たちは容易くこれを殺す。しかし、続けて多くの住民が現れたために抵抗できず、そのまま彼らの王宮に連れて行かれる。そこで玉座に座る月の王の前に引き立てられるが、天文学者の1人が王を玉座から引き離すと地面に叩きつけ殺してしまう。

王の死による混乱の隙を突いて天文学者たちは逃げ出し、追いかけてくる住民らに抵抗しながら崖上近くにあったカプセルに到着する。5人がカプセル内に入ると残る1人はカプセルに繋がったロープを引っ張り、これを崖から落とす。この時、月の住民の1人がカプセルにしがみつく。そのまま宇宙船は落下し続けて宇宙空間を通過し、地球の海へと落ちる。その後、天文学者たちはカプセルごと船舶に回収され、帰還を果たす。

最終シーンではLabor omnia vincit(ラテン語で「仕事はすべてを勝ち取る」の意[10])の標語が刻まれた記念像が除幕され、街をあげて天文学者たちの偉業を祝福するパレードが開かれる。そこではカプセルにしがみついて地球にやってきた月の住民が見世物にされている。
キャストジョルジュ・メリエス

本作の製作当時は、まだクレジットタイトルを付ける慣行がなかったため、出演者は匿名となっている[11]。以下の詳細なキャスト情報は入手可能な資料から作成している。
バルベンフィリ教授 - ジョルジュ・メリエス[1][12]
メリエスはマジシャンかつフランスの映画製作の先駆者であり、一般には物語映画の可能性を最初に見出した人物とされているが[13]、本作時点においてすでに『シンデレラ』(1899年)や『ジャンヌ・ダルク(英語版)』(1900年)などの物語映画で成功を収めていた[14]。監督、プロデューサー、脚本、デザイナー、技術、広報、編集、さらにしばしば俳優としてすべての作品に幅広く関わったことから、最初の映画作家の一人とも評される[15]
ポイベ(三日月に乗った女性) - ブルエット・ベルノン(フランス語版)
メリエスは1890年代にキャバレー「ランフェール」で歌手として活躍していたベルノンを見出し、自身の映画に出演させた。1899年の『シンデレラ』にも出演している[16]
海兵隊の将校 - フランソワ・ラルマン(Francois Lallement)
ラルマンは、スター・フィルムの従業員であるカメラ技師の一人である[16]
ロケット発射の大尉 - アンリ・ドラノワ(Henri Delannoy)[16]

パレードの隊長 - ジュール=ウジェーヌ・ルグリ(Jules-Eugene Legris)
ルグリは、メリエスが経営していたロベール=ウーダン劇場(英語版)のマジシャンである[17]
天文学者たち - ヴィクトル・アンドレ(Victor Andre)、デルピエール(Delpierre)、ファルジョー(Farjaux)、ケルム(Kelm)、ブルネ(Brunnet)
演じた者たちのうち、アンドレはクリュニー劇場(フランス語版)で働いていた人物で、それ以外の4人はフランスのミュージックホールの歌手である[18][19]

そのほか、シャトレ座のバレエ団員たちが星[18][19]や大砲の係員[8]として、またフォリー・ベルジェールの曲芸師がセレナイト役として出演している[18][19]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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