最高裁判所規則で制定しうる事項は国会の立法によっても制定しうるというのが判例・通説である[2]。
裁判手続の大枠は国の統治機構の基本構造であるから法律で定めるべきという考え方に基づき、各種手続法(民事訴訟法・刑事訴訟法[注釈 1]・行政事件訴訟法など)が制定されており[2]、各分野における最高裁判所規則は対応する手続法の委任を受けて制定されている。
国会と最高裁判所が重複して立法権を有する領域が存在することになるため、法律と規則の内容が相互に矛盾・抵触することがありうる。このような場合には、憲法第31条・第41条を根拠に法律が優先されると解するのが一応の通説的見解である[2]。ただし、裁判所法10条と最高裁判所裁判事務処理規則第9条の改正規定との間に齟齬が生じた事案(最高裁判所が、特定の条件を満たす違憲審査事案について小法廷で審議ができるように事務処理規則を改正したことにより、裁判所法10条の規定との間に齟齬が生じた事案)について、国会は後に事務処理規則の改正内容に沿うように裁判所法10条の改正を行った実例が有り、実務は、単純に法律優位説によっているというわけではない点に注意が必要である[6]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 憲法第31条との兼ね合いから、刑事手続については特に法律によって定める必要がある[2]。
出典^ 渋谷秀樹 2017, p. 658.
^ a b c d e f 渋谷秀樹 2017, p. 660.
^ “各種委員会