そして、やはり師プラトンの考えを継承する格好で、こうした「人間というものの(最高)善」(ト・アントローピノン・アガトン)を達成していくには、「国制/法律による指導」が不可欠であると結論され、冒頭で予告された通り、「政治」(ヘー・ポリティケー)の問題へと移行する形で、話が締め括られる[8]。
こうして「最高善」の概念とその実践は、続く著作『政治学』にも引き継がれ、その冒頭で、「人類の最高の共同体である国家の目的は最高善」である旨が、再度言及・確認される。
なお、こうして師プラトンの思想を概ね継承しているアリストテレスだが、「善のイデア」(を含むイデア論)に関しては、否定的な立場を採っている点は、注意が必要[9]。
脚注・出典^ 『ニコマコス倫理学』 第1巻
^ a b c 『ニコマコス倫理学』 第1巻 第2章
^ 『ニコマコス倫理学』 第1巻 第3章
^ 『ニコマコス倫理学』 第1巻 第4章・第7章
^ 『ニコマコス倫理学』 第1巻 第7章
^ 『ニコマコス倫理学』 第10巻 第7章
^ 『ニコマコス倫理学』 第10巻 第8章
^ 『ニコマコス倫理学』 第10巻 第9章
^ 『ニコマコス倫理学』 第1巻 第6章
関連項目
善のイデア
ニコマコス倫理学
目的論
幸福主義
政治学 (アリストテレス)