最後の決闘裁判
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『最後の決闘裁判』(さいごのけっとうさいばん、原題:The Last Duel)は、2021年に公開されたイギリスアメリカ合衆国合作による歴史映画リドリー・スコットが監督、ニコール・ホロフセナーベン・アフレックマット・デイモンが共同脚本を務めている。主要キャストとしてマット・デイモン、アダム・ドライバージョディ・カマー、ベン・アフレックが出演している。1386年フランス王国パリにおける最後の決闘裁判の顛末をエリック・ジェイガー(英語版)のノンフィクション『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル(英語版)』を基に描いている[注釈 1][8][9][10]
ストーリー

1386年、ノルマンディー騎士ジャン・ド・カルージュの妻マルグリットは、従騎士で夫の親友でもあるジャック・ル・グリに強姦されたと訴える。カルージュはル・グリを重罪犯として処刑することを望むが、ル・グリは無罪を主張し、さらに領主のピエール伯もル・グリに肩入れしたため、彼を裁判で追い込むことは不可能だった。そこでカルージュは国王シャルル6世に決闘での決着を直訴し、カルージュとル・グリは決闘裁判に臨む。
ジャン・ド・カルージュの真実

カルージュはかつて優れた従騎士だったものの気性が荒いことが欠点で、百年戦争に従軍した際にはイングランド軍の挑発に乗り、父カルージュ3世やル・グリの制止を振り切って戦端を開いた結果、リモージュを奪われてしまう。戦闘終結後、新たな領主としてシャルル6世の従兄弟ピエール伯が赴任し、カルージュとル・グリは彼に忠誠を誓う。後日、ピエール伯の命を受けたル・グリがカルージュの元を訪れ、戦費調達のために地代を支払うように告げる。カルージュは不作が続き地代が払えないことを伝え、ル・グリはピエール伯に寛大な措置を求めることを約束する。

カルージュは資産を確保するため、かつてイングランドに寝返った経験を持つロベール・ド・ティボヴィルの娘マルグリットと婚約し、豊かな土地を含む多額の持参金を手に入れる。マルグリットは献身的に仕え、カルージュとの仲は円満なものだった。彼女は子供が生まれないことを気にかけていたが、カルージュは「子供が授かるかは神の手に委ねられている」と語り、妻を慰めた。そんな中、持参金として得た土地をピエール伯が接収してル・グリに与えるという事件が起こり、カルージュはシャルル6世に訴えて土地を取り戻そうとするが、国王は彼の訴えを却下する。面子を傷つけられたピエール伯は、カルージュ3世の死に伴い空席となった城塞の長官職をル・グリに与えてしまう。祖父の代から任されてきた長官職まで奪われたカルージュは激怒し、ル・グリが自分を裏切ったのではないかと疑うようになる。

スコットランド遠征中にカルージュは騎士に任じられる。帰国後、彼は給金を得るためにパリに向かうが、その間にマルグリットがル・グリに強姦される事件が起きる。マルグリットからその件を聞かされたカルージュは極刑を望むが、裁判を取り仕切るピエール伯がル・グリに肩入れしていることを知る。カルージュは事態を打開するためシャルル6世に直訴し、決闘裁判で決着を付けようと画策する。
ジャック・ル・グリの真実

ル・グリは修道士の道を諦めた後に従騎士となり、豊富な知識を生かしてピエール伯の財政を立て直し、また騎士たちから地代を徴収して信頼を獲得してピエール伯の側近に取り立てられる。彼は地位を利用してピエール伯と対立するカルージュを助けようとするが、カルージュはピエール伯のお気に入りになったル・グリを公然と罵倒するようになり、次第にピエール伯の家臣たちからも嘲笑されるようになってしまう。騎士仲間のパーティーでマルグリットと出会ったル・グリは一目惚れし、ル・グリは彼女が「学がなく世継ぎを得る手段としか見ていないカルージュを愛していないのでは」と考える。一方、マルグリットは友人たちとの会話で、ル・グリが魅力的な男性であるが、夫は彼を信用していないと語る。ル・グリは文学や言語知識に関する会話を通して、マルグリットへの想いを募らせていく。

カルージュがパリに赴いているころ、彼の母ニコルは用事を済ませるために使用人たちを連れて屋敷を離れ、マルグリットだけが取り残される。そんな中、ル・グリの従僕ルヴェルがマルグリットの元を訪れ、「馬の蹄鉄を直す間、屋敷の中で暖を取らせて欲しい」と申し出る。マルグリットはルヴェルを屋敷に迎え入れるが、そこにル・グリが現れて彼女に想いを告げる。ル・グリの告白に対して、マルグリットは2人に出て行くように告げるが、ル・グリがルヴェルを外に出して彼女に詰め寄り、逃げる彼女を寝室まで追いかけて強姦する。ル・グリは、「マルグリットは自分のことを愛しており、人妻という立場上嫌がっているフリをしているだけ」と考えており、去り際に「夫には秘密にするように」と忠告する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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