また、家庭と同様に閉鎖的な共同体である宗教団体(既成、新興に限らず)の一部でも暴力がおこなわれている場合がある[注釈 7]。また、企業の内部でも、弱い立場の従業員に対して、陰に陽にさまざまな暴力がおこなわれていることがあり、それらの中には、最近では「パワーハラスメント」という用語でとらえられるものもある(→ 雇用主、上司、ブラック企業)。 歴史的にみれば、今日、他人を暴力によって支配しようという傾向は正常な状態ではないとされる傾向にある。たとえば、現在の日本では、身体的・心理的暴力は、傷害罪などの罪に問われる場合がある(詳細は、後述の日本の関連法規を参照のこと) また近年の研究によって、暴力の行使は、行使された側(被害者)にPTSDなどの心理的ダメージを後々まで残し得ることが知られるようになってきた。 前述のように、非暴力が規範として示されるようになってきているが、それでもその規範が守られず、心理的暴力や身体的暴力がふるわれることがある。 暴力にいかに対処するかが問題になってくる。『現代哲学辞典』によると、暴力への対抗は、「暴力と非暴力」や「善悪」の対立ではありえない、と言う。暴力に実質的に対抗できるのは同等の暴力だけだ、と同辞典では説明されている[3]。「暴力を統制するためにはより強力な暴力、すなわち組織化された暴力が社会の中で準備されなければならない。」と言う。社会学者のマックス・ウェーバーは「国家の成立にあたっては軍隊、警察といった暴力を行使できる組織を正統的に独占することが必須である」とした(暴力の独占)。 マハトマ・ガンジーは、暴力に暴力で対抗するのではなく、非暴力で対応することを説いた。 異民族間の紛争では、暴力に暴力で応酬している限り、次第に暴力が過激化するばかりで収拾がつかなくなることも多い。そうなると、双方にとって深刻な被害や悲劇的な結果をもたらす。そのような場合、見かねた第三国・国際機関・宗教者などが調停に乗り出すことがあり、相方の代表に対話を促すように働きかけを行い、第三者として対話の場に同席することもある。対話が成功し、紛争が沈静化することもあるが、なかなか対話が進まないこともある。経済平和研究所によると、暴力によって世界経済がどれだけの損失損害を被ったかを算出することも可能である。具体的には、2019年に14.4兆米ドル(2019年時点で約1,550兆円)である[4]。 暴力をいくらか生産的な面に転じるはたらきを昇華という。攻撃衝動は昇華としてスポーツにむけられるし、芸術の分野ではハードボイルド小説やミステリー、ロマン主義の一部などがあげられる。 ただ、わいせつなど性描写とならんで表現の自由に絡みがちな面はあり、規制には賛否をひきおこしやすい。過度の規制はつつしむべきだというのが良識的な意見だが、どこまで規制できるかはしばしば裁判で争われる。 暴力の行使は刑法では、傷害罪、暴行罪、強要罪、強盗罪、恐喝罪、器物損壊罪などとして処罰される可能性がある。刑法以外では、暴力行為等処罰ニ関スル法律、航空機の強取等の処罰に関する法律、迷惑防止条例などがある。 暴力(ぼうりょく)[ 日本大百科全書(小学館) ]ヘルプviolence昔の古い何の権威もない本に、暴力という文字がのっているだけで、それを書き写したのをyahoo百科事典の暴力の項目にして新しい権威に見せかけている。 暴力的な政治的活動が行使されない状態、争いがなく穏やかな状態などを一般に平和と呼ぶ。 日本では警察や自衛隊による外国との戦争が行われない状態が続き、一般に平和と呼ばれる状態が続いている。 平和ボケした警察や自衛隊、病院が、利用者に対する虐待やゲームをして、長年、利用者に暴力をふるい続けて裁かれないのが現実。
暴力に対する評価や対処
昇華
日本の関連法規
暴力の無い状態:平和
日本では外国との戦争の無い状態が平和と通称される。暴力とは無関係。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ アーレントは、人間は個人として力をもっており、権力は他者の同意にもとづいてくわえられる力だが、暴力は他者の意志に反して加えられる力だと位置づけている。
^ 物理的に犯罪者の生命を破壊する事で再び同様の犯罪が起きないようにするという側面もあるが、日本で合憲と認められた死刑の目的は、犯罪者予備軍への見せしめによる新たな犯罪発生の予防のみである。
^ 近年の国家間によるものではないテロリズムなどに関して、そのような意見対立がおおくみられる。また、パレスチナ問題でも同様の問題がみられる。
^ その当時は実態や規模が把握されておらず、現在も正確な数は不明であるが、後の諸研究によると、実は数百万人単位の人間が殺されていたとされている(把握しやすい数字、すなわち短期間に限定した統計的な記録で、直接的に殺したと判明している人数だけでも約130万人とされており、更に期間をひろげ、かつ社会的抑圧や飢饉(「構造的暴力」も参照)で死亡した人数までふくめれば、その数は数倍にふくれあがるともされているため)。
^ テロリズムには、特定の権力者に直接にむけられるもの、体制全体に心理的圧迫をあたえて何らかの政策をやめさせるために無差別に人を狙うものなどのタイプがある(テロリズム、テロ事件の一覧を参照)。近年になると、国家といったような明確な対象をもたない暴力もめだってきており、いわゆる"環境テロ"といったものもあげられる。
^ 例えば、東京都の平成24年度の統計(総件数3,705件)で、虐待者の66.2%が実母である。実父は21.9%にすぎない。
^ マインドコントロールのためにおこなわれている場合もある。
出典^ 中山元『思考の用語辞典…生きた哲学のために』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉(原著2007年2月)、450,454頁。
^ R・E・ニスベット、D・コーエン『名誉と暴力:アメリカ南部の文化と心理』石井敬子、結城雅樹(編訳) 北大路書房 2009年 ISBN 9784762826733 pp.91-114.
^ 山崎正一・市川浩 『現代哲学辞典』 講談社、1970年、559頁。
^ Pandit, Puja (2022年1月12日). “The Economic Impact of Violence Comes with a Hefty Price Tag
関連項目
平和学
非暴力
暴力の独占
暴力装置
暴力論
家庭内暴力
配偶者による暴力(ドメスティック・バイオレンス)
スパルタ教育
虐待 - 性的虐待 - 強姦(レイプ)
児童虐待 - 児童性的虐待
兄弟姉妹間の虐待
高齢者虐待(老人虐待)
構造的暴力
数の暴力
言葉の暴力
行政対象暴力
民事介入暴力
校内暴力(スクールバイオレンス)
体罰
いじめ
私刑(リンチ)
詭弁
パワーハラスメント
動物虐待
暴力団
警察の暴力
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