暴力
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暴力があらわれる場面・暴力をふるうもの

歴史的に見て、暴力はいつの時代にも存在していたといえよう。

人類の歴史をみると(一部の例外的な地域・時期はあるにしても)、概して、戦争は絶えたことがない。歴史的にみて、兵士が兵士に対して暴力をふるうだけでなく、一般の住民(非戦闘員)の財産・金品を略奪したり、必然性もなく殺したり(殺人)、婦女暴行強姦を行っていたりする事例は枚挙に暇がない(大量虐殺も参照)(→ 戦士武士兵士軍人などが行為主)。

国家の政治権力を掌握している側の者が国内の人々に対して暴力をふるうことがある。そのような暴力としては人権蹂躙抑圧などといったタイプのものから、殺人・大量殺戮(さつりく)といった過激なタイプのものまでさまざまなバリエーションがある。過激な方の例としては粛清があげられる。最大規模のものはスターリンによる大粛清である[注釈 4]恐怖政治(暗黒政治)ではしばしば権力者が国民に対して様々な暴力を振るっている。(→ 国家元首権力者役人官僚行政政府などが行為主)。

また、既成権力に属していない側の者、権力による暴力を受けてきたと受け止めている側(体制側からみた場合のいわゆる"反体制勢力")によっても報復的あるいは防御的に暴力がおこなわれることがあり、顕著な例では革命独立戦争テロリズム[注釈 5]などとなってあらわれる(→普通の人々、民衆、一般国民、一般市民、極右極左テロリストなど)。

他人の財産を奪おうとする者による暴力の存在は古今東西かわらない(→ 強盗など)。世界的にはマフィア、日本では暴力団のように、さまざまなかたちで暴力行為を常態的におこなっている組織も存在する(→ マフィア暴力団)。

現代の一般家庭においても暴力がおこなわれることがある。家庭内の暴力の中でも特に悲惨なのは、児童が被害者になることであり、児童に対して言葉による暴力や身体的暴力をふるうことは「児童虐待」とよばれている。児童虐待を行うのは主として母親(実母)である[注釈 6]。母親が子を殺してしまう事件、母親が何ヶ月?数年に渡り、きわめて陰湿なやりかたで子供をいびり、肉体的にいためつけて、殺してしまう事件も時々起きている。特に幼児は自分の判断で親から逃げ出すこともできず、(大人のようには)自力で相談相手を見つけたり公的な機関にかけこむことができないので、極端に悲惨な状態に陥る。(→ 母親父親など)。逆に家庭内の年配の人を虐待することは「高齢者虐待」とよばれている(→ など。特に高齢者が、すでに中年になった「子」に虐待されるケースが多い)。なお英語では「ドメスティックバイオレンス、DV)」という用語もあり、この用語を日本語にあえて訳す場合は家庭内暴力という訳語があてられるのだが、なぜかこの「DV」という用語が持ち出される時は、母親が子供に対してふるう暴力のことはたいてい忘れ去られてしまい、「配偶者による暴力」の話ばかりに焦点があてられてしまう傾向がある。手や足による暴力を誘発しないためには、まず自分の側が言葉による暴力をふるわない、自分の側が相手を傷つけるような言葉を(無意識のうちに、無配慮に)使ってしまっているということに気づくということが肝要になる。(夫婦喧嘩の記事も参照可)(→ 配偶者)。なお家庭の中の人間関係のほとんどは「血縁関係」であり、つまり基本的に簡単には「切る」ことができない関係であり、親が子にふるう暴力であれ、子が親にふるう暴力であれ、非常に悲惨であり、深刻である。一方、「配偶者関係」だけは、もとは「他人」であった二人が役所に提出した「婚姻届」により成立させた契約関係なので(いわば人工的な関係なので)、その深刻度は異なる。深刻度が異なるというのはどういうことかというと、夫婦間で「言葉による暴力」であれ手や足による暴力であれ、互いに暴力をふるうような関係になったら、(多少の努力が行われることがあるが)、そもそも「言葉による暴力」が行われた段階で、二人の間には「愛」はほぼ無い関係になってしまっている、互いに憎み合う関係になってしまっていることはよく分かってしまっているので、結局は(弁護士などをはさむことで)離婚という形で互いに離れることで解決することが世の中では一般的に行われている。近年の統計が明らかにしていることは、結婚した男女のおよそ半数が離婚することで夫婦の「不和」にともなう諸問題を解決している。

学校内で主として生徒によっておこなわれる暴力は「校内暴力」(スクールバイオレンス)とよばれている(→ 生徒)。学校内では、教師などが、生徒に体罰などの暴力行為をふるうこともある(→教師教育委員会)。

また、家庭と同様に閉鎖的な共同体である宗教団体(既成、新興に限らず)の一部でも暴力がおこなわれている場合がある[注釈 7]。また、企業の内部でも、弱い立場の従業員に対して、陰に陽にさまざまな暴力がおこなわれていることがあり、それらの中には、最近では「パワーハラスメント」という用語でとらえられるものもある(→ 雇用主上司ブラック企業)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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