暴力革命
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? 『日本共産党の当面の要求』(1951年綱領)[13]党中央はすでにこの一月、極左冒険主義的な戦術と闘争形態からはっきり手をきる決意をあきらかにした。党は今日の日本には、まだ切迫した革命的情勢のないことを確認し(略)革命を安易に考え、革命をせっかちな方法でなしとげようと考えるのは、小ブルジョア的なあせりである。 ? 『日本共産党第六回全国協議会決議』(1955年)[14]
新左翼

1950年代末期から1960年代前半にかけて路線転換した日本共産党を既成左翼と批判した新左翼は、暴力革命による社会主義革命を主張し、学園闘争安保闘争成田空港闘争などで急進的な武装闘争を行った。特に共産主義者同盟赤軍派前段階武装蜂起論を主張して大菩薩峠事件など、連合赤軍人民戦争理論の影響を受けてあさま山荘事件など、日本赤軍国際根拠地論を主張して日本赤軍事件を発生させた。また1970年代に東アジア反日武装戦線反日亡国論アイヌ革命論などを主張して連続企業爆破事件を発生させた。2000年以降はゲリラ闘争は減少したが、以後も多くの党派は暴力革命を肯定している[15]が、以下のようにその内容には幅がある。
革共同系

革命的共産主義者同盟(革共同)系党派の主張には以下がある。プロレタリア革命は暴力革命であり、プロレタリア独裁の樹立こそ革命の核心問題である ? 革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)2009年綱領草案[16]革命とは暴力革命でなければならないし、一斉武装蜂起です。 ? 革命的共産主義者同盟再建協議会(中核派関西派、2008年)[17]私たちは「暴力革命」という立場をいまも堅持しています。「暴力革命」の本質は、「暴力で革命を行う」ということではありません。「革命をめざす大衆的闘いを押しつぶそうとする権力の暴力装置である軍隊や警察を政治的に解体し、労働者人民の側に獲得すること」です。 ? 日本革命的共産主義者同盟 (JRCL) 私たちは革命とその目的をどのように考えているか(2003年)[18]
共産同系

共産主義者同盟(共産同、ブント)系党派の主張には以下がある。ブルジョア国家権力の打倒から始まるプロレタリア革命は、暴力革命によってしかなしえない。日本における革命は議会における多数派形成によっても、また農村や山岳地帯を拠点とする解放区型革命によっても勝利しない。プロレタリアートの武装蜂起を国家権力打倒の戦術の中心にすえるべきである。日本のプロレタリアートは武装蜂起の勝利を可能にする革命党を建設しなければならない。 ?  共産主義者同盟 (統一委員会) 綱領(2004年採択、2018年改訂)[19]
解放派系

社青同解放派(革労協)系党派の主張には以下がある。プロレタリアートは、本質的に非合法的存在であり、あらゆる革命は、本質的に暴力的である。これを確認するものだけが共産主義者である。形態としての革命は、より平和的合法的なものから、より暴力的反乱的なものまで、種々の段階をなして存在する。 ?  滝口弘人 共産主義=革命的マルクス主義の旗を奪還する為の闘争宣言(草案)1961年[20](解放派の綱領的文書)プロレタリア暴力革命の最先端の任務を共に担いぬこう! ? 革命的労働者協会(解放派)(革労協・赤砦社派、2012年)[21]
批判詳細は「マルクス主義批判」を参照

ロシア社会革命党員としてロシア革命で活躍した社会学者ピティリム・ソローキンは、レーニンに反対したため弾圧され、1922年にアメリカに亡命したが、その体験から暴力革命やソ連の共産主義には否定的であり、ナチズムと同一水準に論じて批判した[22][23]

社会主義者で哲学者のバートランド・ラッセルは、ボルシェヴィキのように、投票で表明された多数尊重の原則を放棄し、暴力的な権力奪取を認めてしまうことは、の放棄であり、文明が抑制している原始的欲情と利己主義を野放しにすることになるとして、暴力革命に反対する[24]。ラッセルによれば、人類は法の遵守という考えが可能になるために何世紀もの努力を要したが、殺人、強姦、暴力による強盗が普通であるような無法の暴力状態においては、我々が生活するうえで予期している様々な良いことの多くが消滅する。文明はもともと不安定で、解体させることもできるが、文明国は、内戦に代わるものとして、争いを暴力に頼らずに解決する方法として、民主的政府を承認した[24]。だが、ボルシェヴィストは、暴力を避けるどころか、暴力それ自体を喜ばしいものとみなしており、恩恵を与えることより敵を傷つけることに熱心な人からは、善は期待できないとラッセルは批判した[25]

経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、暴力革命だけでなく、あらゆる暴力的な社会変革に反対した[26]

法学者ハンス・ケルゼンも暴力革命を批判し、ボルシェヴィズムにおいては、民主制は厳しく否定され、ソヴェト体制は貴族政体であるとケルゼンはいう[27]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 第1巻第7篇第24章第6節 「産業資本家の生成」。ドイツ語: ⇒Das Kaptital,Band I,SIEBENTER ABSCHNITT,VIERUNDZWANZIGSTES KAPITEL,6.;Die Gewalt ist der Geburtshelfer jeder alten Gesellschaft, die mit einer neuen schwanger geht. Sie selbst ist eine okonomische Potenz.英訳:Force is the midwife of every old society pregnant with a new one. It is itself an economic power.Capital,Vol.1,Part VIII,Ch. 31. ドイツ語のPotenzは、力、活力、男性の性的能力などの意味である[3]

出典^ a b c d e f g 日本国語大辞典,百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,精選版. “暴力革命とは”. コトバンク. 2023年4月6日閲覧。
^ 第2版,世界大百科事典内言及, 日本大百科全書(ニッポニカ),百科事典マイペディア,旺文社世界史事典 三訂版,精選版 日本国語大辞典,ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,デジタル大辞泉,世界大百科事典. “共産党宣言とは”. コトバンク. 2022年1月20日閲覧。
^ 『ポテンツ』 - コトバンク
^ a b ケルゼン 1976, p. 51.
^ 「反デューリング論」XX-190
^ 「ハーグ大会についての演説」1872年9月 マルクス・エンゲルス全集(18) 158ページ、不破哲三『科学的社会主義における民主主義の探求』40ページ
^ エンゲルス「フランスにおける階級闘争 序文」、マルクス『フランスにおける階級闘争』所収、大月書店 国民文庫18ページ
^『国家と革命』 - レーニンアーカイブ
^ 神山茂夫『日本共産党とは何であるか』自由国民社、p140-143
^ a b c 大原社研_大原クロニカ『社会・労働運動大年表』解説編


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