2000年代に各都道府県や市町村で暴力団排除条例が施行されると、条例の目的に沿って各種事業者は、契約を結ぶ相手方との間で暴力団関係者か否かについて口頭または書面で確認しなければならなくなった[45]。確認の際に暴力団関係者であることを名乗ると、約款を根拠に契約拒否されるか脅迫罪で逮捕される可能性が、また暴力団関係者でないと偽ると、契約が解除されたり詐欺罪で逮捕されたりすることとなる。このため暴力団排除条例が設立されて以降、暴力団を離脱してから5年が経過しない者や暴力団関係者、密接交際者とその家族は各種行政サービス(地方自治体が運営する公営住宅への入居または同居、生活保護、児童扶養手当の受給)が受けられなくなったほか、ライフラインである都市ガス[46]、スーパー等のポイントカード[47]、クレジットカードの入会[48]、銀行口座の開設(既存口座の維持[49])、不動産の購入・賃貸契約[50]、自動車購入の契約[51]、ホテルへの宿泊[52]、携帯電話の購入[53]、ゴルフ場でのプレー[54]などができなくなるなど日常生活に大きな制限が掛けられることとなった。溝口敦は「情けないのはヤクザの側ともいえる。法的に突っ込みどころのある暴排条例に反論するような理論武装ができなくなっている」と事実上皮肉を込めて発言している[55]。 構成員が暴力団を辞めても暴排条例の規制が5年間は続き、その間は元構成員は就業できないという状態となるケースも多く、辞めたくても辞めることができない構成員も存在する。辞める意向を示す組員に対し支援する動きや支援制度を設けようとする動きも見られるが、一般人には困窮する元組員に対し「自業自得」とみる向きも多い上、支援制度が暴力団に利用される恐れも多く進展していない。警察などの支援で離脱した元構成員は、2006年?2015年の間で約6,120人。一方で、支援を受けて就労に至ったのは147人と約2%にとどまっている。「生活保護を受けたい」などと働く意欲のない者も多く、昔の仲間との関係が切れなかったり、無職のまま金に困って出戻りする例も少なくない[56]。 暴力団離脱者の更生を促す目的で、暴力団追放運動推進都民センターが、離脱者の就労証明書を発行して金融機関に口座開設を働きかける取り組みを行っているが、偽装離脱している恐れがあることと、口座が犯罪や不正使用目的に使われる恐れがあることから、金融機関側は消極的である[57]。2023年にはこれに関連し、暴力団を離脱後5年以上経過しているにもかかわらず口座開設を拒否されたとして、元組員の男性がみずほ銀行を相手取り、10万円の損害賠償を求め水戸簡易裁判所に提訴している(その後水戸地方裁判所に移送)。原告の代理人弁護士は、口座開設の拒否が、社会復帰を妨げる不当な差別であると主張している[58]。 警察は「過去とは違い、昨今の暴力団は悪辣な犯罪を組織的に敢行している犯罪組織そのもの」ととらえ、壊滅を目標に掲げている[59]。 また、「仁侠の徒として賛美する者は論外」[59]として、暴力団を取り上げた娯楽作品制作に度々横槍を入れている。代表的な例は、1973年に公開された映画『山口組三代目』である。この時は、製作後に家宅捜索に踏み切り、プロデューサーを22件もの容疑で逮捕するなどの行動に出た。詳細は「山口組三代目 (映画)」を参照 近年では、2009年に福岡県警察名で「暴力団関係書類、雑誌販売についての協力依頼(要請)」という文書が、福岡県内のコンビニエンスストアに送付された。
構成員からの離脱
暴力団の取り扱いが望まれています。