普通話
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破擦音無声無気音 z [t?s]zh [???]j [t??]2 
無声有気音 c [t?s?]ch [????]q [t???]2 
摩擦音f [f]s [s]sh [?]x [?]2h [x]
側面接近音 l [l]r [?~?]1  
声母の順序は、 b p m f  d t n l  g k h  j q x  zh ch sh r  z c s である。

漢字に添えてその発音を示すときは、綴りを短くするため、zh, ch, sh を?, ?, ?と省略することができることになっているが、現実の使用例はほとんどない。

1 r を有声そり舌摩擦音 [?] と分析することもあるが、無声・有声の対立が他に無いこと、および実際の発音で摩擦が必須ではないことから、そり舌接近音 [?] と見なしている。
2 j, q, x ([t??, t???, ?]) の三者は独立の音素ではなく、z, c, s ([t?s, t?s?, s])、zh, ch, sh ([???, ????, ?])、g, k, h ([k, k?, x]) のいずれかの三者の異音と見なされる。一般には、g, k, h の異音と見なすのが好まれる。この組が b, p, f および d, t, l の各組と並列になるためである。普通話の点字はそのようになっており、?音の j, q, x の点字はそれぞれ g, k, h の点字と同じである。
韻母

韻母とは、中国語の音節構造上、頭子音を除いた残りの部分をいう。介音、主母音、尾音からなる。介音は半母音の /-i-/, /-u-/, /-y-/ のいずれか、尾音は半母音の /-i/, /-u/ および鼻音の /-n/, /-?/ のいずれかである。普通話の韻母の重要な特徴は、主母音の /a/ と /?/ の対立である。

主母音尾音介音
O/i//u//y/
/a/O[a]
a[ia]
ya[ua]
wa 
/i/[ai]
ai [uai]
wai 
/u/[au]
ao[iau]
yao  
/n/[an]
an[i?n]
yan[uan]
wan[y?n]
yuan
/?/[a?]
ang[ia?]
yang[ua?]
wang 
/?/O[?]
e[ie]
ye[uo]
wo 1[ye]
yue
/i/[ei]
ei [uei]
wei 
/u/[ou]
ou[iou]
you  
/n/[?n]
en[in]
yin[u?n]
wen[yn]
yun
/?/[??]
eng[i?]
ying[u??, ??]
weng, ong 2[i??]
yong
O[??], [z?]
-i[i]
yi[u]
wu[y]
yu

1 ?音では b, p, m, f のあとに o を用いるが、これは他の頭子音のあとの uo と同じである。
2 /u??/ は頭子音があると [??] に変わり、?音も weng から -ong になる。r化した韻母を以下に示す。

主母音尾音
(r化)介音
O/i//u//y/
/a/O[a?][ia?][ua?] 
/i/[a?] [ua?] 
/u/[au?][iau?]  
/n/[a?][i??][ua?][y??]
/?/[a??][ia??][ua??] 
/?/O[??][i?][uo?][y?]
/i/[?] [u?] 
/u/[ou?][iou?]  
/n/[?][i?][u?][y?]
/?/[??][i??][u??, ???][i???]
O[??], [z?][i?][u?][y?]

r化は /-i/ および /-n/ を単に削除し、/-?/ を削除して主母音を鼻母音化する。

以下に伝統的な分析を示す。普通話の韻母の種類には単母音で構成される単韻母、二重母音・三重母音で構成される複韻母、音節末子音が鼻音で構成される鼻韻母がある。いくつかの方言に見られる破裂韻母(入声)は普通話には存在しない。複韻母についてa, e, o から始まる下降二重母音の韻母を前響複韻母、i, u, u から始まる上昇二重母音の韻母を後響複韻母、三重母音の韻母を中響複韻母という。韻母は発音開始時の口の開き方から四呼の4種に分類される。

開口呼斉歯呼合口呼撮口呼
開韻尾a [a]ia [ia]ua [ua]
e [?]ie [ie]uo [uo]ue4 [ye]
-i [??], [z?]i [i]u [u]u4 [y]
母音韻尾ai [ai]uai [uai]
ei [ei]uei3 [uei]
ao [au]iao [iau]
ou [ou]iou3 [iou]
er [a?]
鼻音韻尾an [an]ian [i?n]uan [uan]uan4 [y?n]
en [?n]in [in]uen3 [u?n]un4 [yn]
ang [a?]iang [ia?]uang [ua?]
eng [??]ing [i?]ueng [u??]
ong [??]iong [i??]

3 声母と結合する場合は、主母音を省略して、uei → ui, iou → iu, uen → un と表記する。
4 u は、j, q, x の後では u と表記する。

通常全ての母音は口母音で発音されるが、[?] で終わる音節の母音は、儿化しなくても鼻母音で発音されることが多い。

韻母はさらに韻頭・韻腹・韻尾の三つの部分に分けて分析される。韻頭は上昇二重母音の始めの音色である狭母音あるいは半母音を表し、介音と呼ばれる。韻腹は単母音あるいは二重母音・三重母音中、最も際だった音色の母音を表し、主母音と呼ばれる。韻尾は下降二重母音の終わりの音色である狭母音であるか音節末の鼻音子音を表し、尾音と呼ばれる。?音による音声表記はこの3分法に対応している。

例字声母韻母
韻頭韻腹韻尾
介音主母音尾音
母音子音
?ma
?tie
宝bao
根gen
王uang
水shuei
元uan
二er

声調普通話の四声

中国語は音節内の音高の違いによって意味を弁別する言語であり、この音節内の音高パターンを声調という。声調の種類のことを調類といい、普通話には陰平・陽平・上声・去声の4種の調類が設けられている。これを四声ということがある。古代中国語に平声・上声・去声・入声と呼ばれる四声があったが、北京官話では平声が二つに分かれて陰平と陽平になり、普通話策定のときに入声復活採用案は否決され、削除されて今日にいたっている。

調類声調パターン声調値例字?音国際音声記号
陰平(第1声)高平調55租z?[t?su?]
陽平(第2声)高昇調35白bai[pai??]
上声(第3声)降昇調214水shu?[?uei???]
去声(第4声)下降調51句ju[t??y??]

声調は音の高さだけでなく、音の長さにも関わっている。普通話の四声では上声が最も長く、その次に陽平、陰平、去声の順で短くなる。このため声調によって音が変化する場合があり、例えば、韻母ueiの主母音は上声でははっきりと発音されるが、他の声調ではあいまいであったり、省略されたりする。
連音変化

音節音節が結合し、語や文が作られる過程の中で音の変化が起こることがある。代表的な音変化に以下のようなものがある。
軽声

軽声とは、単語や文のなかで音節が本来の声調を失うことをいうが、声調が音の高さによって特徴づけられるとすれば、軽声は音の強さによって特徴づけられ、短く弱い調子で発音される。その音の高さは、その音節本来の声調とまったく無関係に、前の音節の声調によって決められる。

調類声調値例?音
陰平(第1声) + 軽声2?子zhu?zi
陽平(第2声) + 軽声3牌子paizi
上声(第3声) + 軽声4椅子y?zi
去声(第4声) + 軽声1帽子maozi

声母無気破裂音破擦音は軽声では有声音化しやすい。

b[p]→[b]

d[t]→[d]

g[k]→[g]

j[?]→[?]

z[?]→[?]

zh[??]→[??]

韻母の主母音は中央寄りとなり、あいまい母音化する。例えば、「??」は[pa51pa51]から[pa51b?1]となる。
変調

変調とは、後の音節がもつ声調との関係や文法的機能により声調が変化することをいう。
上声 + 上声
上声が連続する場合、前の上声は声調値が35、つまり陽平になる。
上声 + 上声以外
この場合、上声は低くなったまま高く成らず、声調値が211となる。これを半上と呼ぶことがある。
上声 + 軽声
これも半上211となることが多い。ただし、本来上声であった軽声の場合は陽平35で発音する場合と半上211で発音する場合の2通りがある。例えば、?里(どこ)は陽平で発音され、姐姐は半上で発音される。
上声が三つ連続する場合
言葉の構造により、変調の状況も異なる。例えば、「冷水澡 l?ngshu? z?o」のような「2音節の言葉(冷水、冷たい水)+1音節の言葉(澡、シャワー)」の構造なら、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。逆の場合なら(例えば、「母老虎 m? l?oh?」、「1音節の言葉(母、メス)+2音節の言葉(老虎、トラ)」)、二つ目の上声だけは陽平35で発音する。
上声が三つ以上連続する場合
話すときの速さによって異なる。簡単に言えば、最も早い場合、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。
去声 + 去声
去声が連続する場合、前の去声は低くなりきらず、声調値53となる。これを半去と呼ぶことがある。

以上のような普遍的な変調の他に、特殊な語や品詞において起こる変調がある。
不 bu
「不」は通常、去声51で発音するが、去声が続く場合には陽平35で発音される。補語を表す接中辞や反復疑問文といった文法的機能を表す場合には軽声となる。
一 y?
「一」は本来、陰平55であり、単独で発音される場合や語末で発音される場合、序数を表す場合には変調しない。しかし、後ろに去声が続く場合には陽平35で発音され、去声以外の声調が続く場合には去声51で発音される。動詞を重畳するとき、間に入れられる「一」は軽声で発音される。
七 q?・八 b?
「七」「八」は次に去声が続く場合、陽平35で発音してもよいし、本来の陰平55で発音してもよい。
形容詞
重畳で構成される形容詞の後半部分はもとの声調がなんであるかに関係なく、すべて陰平55で発音される。例えば、「好好儿的 h?oh?orde」、「漂漂亮亮 piaopiaoli?ngli?ng」、「暖洋洋 nu?ny?ngy?ng」など。
r化

r化(アル化、児化)とは語が接尾辞-r(漢字では儿で表記する)を伴う場合、韻母母音を調音する際に舌先が持ち上げられ、r音性母音となることをいう。r化に伴い従来の音節構造に変化が起こるものがある。

複韻母のうち、韻尾が i [?]であるものは i が脱落する。

鼻韻母の鼻音韻尾は脱落する。ただし、韻尾がng[?]であったものは母音が鼻母音として現れる。


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