時報
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NHKの時報は、正時の3秒前から440ヘルツの予報音を3回、正時に880ヘルツの正報音を1回、正時の3秒後に正報終了という構成になっている。予報音は一定音量の440ヘルツ正弦波を100ミリ秒発振させ、その後900ミリ秒の無音を置く。これを1セットとして正時の3秒前から3回繰り返している。正報音は880ヘルツの正弦波を発振させ1000ミリ秒間ほぼ一定の音量に保ち、次の2000ミリ秒で直線的に減衰させている。
NHKラジオかつてラジオ放送の時報に用いられたドラとチューブラベル(NHK放送博物館蔵)。

1925年(大正14年)3月に社団法人東京放送局として日本初のラジオ放送を開始した当初は、アナウンサーが口頭でカウントダウンをしつつ時刻を伝えていた。1925年7月に仮放送所から愛宕山の局舎(現・NHK放送博物館)に移転してからは、正午および、21時30分の放送終了時に、アナウンサーのカウントダウンとともにチューブラベル(移転前後の7月13日 - 16日の4日間は銅鑼を使用)を1回鳴らしていた。

当初は逓信省銚子無線電信局の報時信号を使って校正した振り子時計を局内の標準時計とし、アナウンサーが、この標準時計で校正した機械式ストップウォッチスイスロンジン社製)を見ながら行なっていた。それでも時計の精度や運用方法などが原因で1 - 2秒程度の誤差が生じることが多く、ときには5秒の誤差が生じることもあった[5]

そこで東京中央放送局の技師・加藤倉吉が、正確な報時のために3年を費やして自動時報装置の研究・開発を行い、1933年(昭和8年)1月1日から自動時報装置を使った時報の放送を開始した。この自動時報装置の時報は毎日、正午および21時30分に放送された。

正午の時報を例に取ると、11時00分に東京無線電信所船橋無線電信局発信の時報を受けて東京中央放送局内の標準時計が正され、この較正に基づき、3分前の11時57分に報時用時計が始動する。時報の放送は、正時1分前の11時59分00秒から始まり、11時59分20秒から電信用サウンダー(リレー)によるカチカチという秒音が1秒ごとに発信され、同30秒、同40秒、同50秒には電気ピアノによるA音(振動数220ヘルツおよび110ヘルツの2音が同時に用いられる)がそれぞれ3回、2回、1回、自動的に発せられ、正時にはA音(振動数440ヘルツ)が1回発せられる。誤差は0.03秒程度であった[6]。21時30分の時報は標準時計の較正時刻が21時00分であるほかは、正午の場合と同じである。21時30分の時報後「以上で本日の放送は全部終わりました。どなたさまもご機嫌よくお休みくださいませ。さようなら」とアナウンスを行い、放送を終了した[7]

内幸町のNHK東京放送会館に移転後は放送時間が30秒前からに短縮され、音源も電気ピアノから音叉発振器に変更され、時報専用のスタジオからの放送ではなくなった。1945年(昭和20年)12月1日からは毎正時に放送されるようになった。

1950年(昭和25年)には放送時間が3秒前からになり、予報音3回・正報音1回という現在の形に変わった[8]

ラジオでは放送事故を避けるため、時報前の無音部分が非常に短い。ラジオ第1、FM放送で1時に放送を終了する場合、東京を除き時報が流れない。また、時報が流れる時間帯にまたがって緊急地震速報が出された場合は、NHKワールド・ラジオ日本の日本語放送を含めたすべての放送波で時報は流れない。
NHKテレビ「NHK時計」も参照かつてNHKテレビで使用された時報用時計表示装置(NHK放送博物館蔵)。

総合テレビでは2004年(平成16年)3月28日まで、教育テレビ(Eテレ)では地上アナログ放送終了前日の2011年(平成23年)7月23日まで[注釈 3]岩手県宮城県福島県では2012年(平成24年)3月31日まで)時報が流れていた。

デジタル・アナログ両方のBS放送の他、2003年(平成15年)12月からの4か月間は、地上デジタル放送でも独自の時報を流していた。

時報前の無音部分は、地上アナログ放送では1000ミリ秒だった。
民間放送

民間放送では、時報をコマーシャルメッセージ枠として販売している例が多い。
民放ラジオ

正報音のみで正時を知らせる(「ポーン」の形)ものもあれば、予報音も併用して数秒前から知らせるものもある。予報音の回数は3点時報の場合は正時の3秒前から3回(「プッ、プッ、プッ、ポーン」の形)、2点時報の場合は正時の2秒前から2回(「プッ、プッ、ポーン」の形)鳴らされる。

予報音が特徴的なものとしてはニッポン放送秋田放送ラジオ(過去)の鳩時計をイメージした「ピッポッ、ピッポッ、ピッポッ」や文化放送静岡放送(過去)・InterFMLOVE FMFM NORTH WAVE のように独自に制作されたメロディのもの、TBSラジオのように2点時報に独自メロディが重なるもの、ラジオ日本STVラジオチューブラーベルの音(しかも打鐘は秒と一致していない)がある。AFNでは、まれに電話のプッシュトーン様の音が正時のタイミングのみに発出される事がある。また、STVラジオは札幌時計台の鐘の音の生放送を時報に使用することもある。ABCラジオは正報のみであるが、独特の低い音(「ド」音だが、一般的なものより1オクターヴ下)が鳴る。山口放送では、正時前は鐘の音、正報は電子音を使用している。FM PORTでは、正時20秒前から予報音の代わりにフリー音源を流し、7秒前になると外国人の男性(昼のみ子供)のアナウンスが入った後、時報を流していた(例:13時の場合 “FM port the time now is 1 p.m.”)。

スポットCMの一種として時報とセットでCMが放送されることも多い[9]。日本で最初の時報CMは、日本初の民放ラジオ放送局である中部日本放送(現:CBCラジオ)が放送開始した1951年(昭和26年)9月1日に、最初の正時であった午前7時に流された「精工舎の時計が、ただ今、7時をお知らせしました」という内容のものであった[10]


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