時報
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日本の郵便局では、日曜日、祭日を除く毎日11時57分になると、全国の一、二等局および特定三等局に通じる電信線は通信が中止され、東京市の中央電信局の自動報時機に接続され、各郵便局の電鈴が鳴り始め、12時(正午)に東京天文台で自動報時機に通じる電流が断たれると電鈴が鳴り終わる。この瞬間が正午であり、郵便局の電信係に行けばこの電鈴を聞くことができた。

日本の鉄道では、東京天文台から東京中央電信局内電信試験係経由で鉄道省東京通信所に通じて、11時57分になると、全国の省線の各駅に通じる電線は、直通または中継で鉄道省東京通信所につなげられた。このとき各駅の電鈴が鳴り始め、正午に東京天文台で電流が断たれると電鈴が鳴り止む。台湾では、内地とは別に台北測候所で時の観測が行われ、ここから全島の郵便局および停車場に報時された。

イギリス同様、報時球と報時砲は、電信による時報が実用化されると、それに制御されるようになった。
日本の無線電信による時報

1912年(明治45年)からは逓信省銚子無線電報局からの電波による時報が開始された[1]東京天文台では銚子局経由で無線電信によって報時が行われ、毎日、11時および21時に同局および海軍無線電信所船橋送信所から放送された。それぞれその5分前に直通電線によって東京天文台と無線電信局の報時用時計が連絡制御され、自動的に報時が行われた。報時の形式は学用式および一般用がある(理科年表の附録)。

さらに正確な報時が必要な場合は、毎月15日の官報および翌月の天文月報に掲載される正誤表で補正する。

1927年(昭和2年)には逓信省が検見川送信所から電波を利用した時報を開始し、この送信所はのちにJJYとなった[1]
屋外スピーカー

屋外スピーカーによる時報は、東京ではサイレンを用いたものが1929年5月1日から行われた。東京市教育局社会教育課が管轄し、毎日天文台から正確な時刻の通報を受けて時計を較正し、これによって全市のサイレンが制御された。サイレンは1分間鳴り響き、鳴り終わった瞬間が正午であった。
防災行政無線子供に帰宅を促す時報放送の例(千葉県船橋市の防災行政無線)。

域内に市町村防災行政無線による広報システムが構築されている地方自治体などの一部では、各地に設置された屋外スピーカーで時報を行なっている。毎時ではなく、主に特定の時間(朝・正午・夕方など)に、音楽、サイレン、アナウンスなどをスピーカーから鳴らし、時報としている。時刻を伝える目的のみで使用すると防災行政無線の目的外使用になるおそれがあるため、設備が正常に作動しているかを確認するための試験放送[4]や、防犯という名目で行われている。季節によって曲や流す時間を変える場合がある。

夕方の場合、全国的に、平日休日問わず16時から18時の間に児童の帰宅を促すアナウンスを音楽と合わせて流す例がある。静岡県浜松市天竜区の一部地域では、夏休みシーズンと年末年始のみ21時に「故郷」を流して児童の就寝を促している。

また、選挙の投票日のたび、投票所の開場時刻である7時と閉鎖時刻の20時(地域によっては閉鎖時刻の1時間前)にサイレンを吹鳴している自治体もある。
防災行政無線で時報を流す自治体の例


群馬県高崎市新町

長崎県壱岐市芦辺町地域

福岡県篠栗町

福岡県糸島市二丈地域

福岡県粕屋町

時報に用いられるBGMの例


家路

夕焼け小焼け

市町村歌

放送

かつて、日本の放送ラジオテレビアナログテレビ放送)両方で時報の放送が行われていたが、地上デジタルテレビ放送は、音声・映像の送受信の際にどうしても遅延が生じる仕様のため(日本の地上デジタルテレビ放送#遅延問題参照)、地上デジタルテレビ放送開始以降はラジオのみで時報が行われている。

一方で各局の地上デジタルテレビジョン放送の電波には「TOT」(Time Offset Table)と呼ばれる時刻情報信号が含まれており、テレビやレコーダーの自動時計合わせなどに利用されている。
NHK.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}NHKの時報この音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。

NHK(日本放送協会)は、地上アナログテレビ放送終了後の2011年以降、ラジオ第1ラジオ第2FM放送・国際放送「NHKワールド・ラジオ日本」のラジオ放送[注釈 2]でのみ時報を行なっている。


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