映画
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[注 2]

1970年代後半?1980年代以降に、ベータマックスVHSなどといった規格の比較的安価な家庭用のビデオ装置が先進国の家庭から次第に普及してゆくと、やがてビデオ装置を所有している比較的裕福な家庭をターゲットに、数千円?1万円超という価格設定で映画作品がビデオテープの形でも販売されるようになった。これによって映画(制作)会社が収益を得る方法が増えた(映画館にフィルムを貸す、テレビ局から権利料を得る、以外の選択肢が生まれた)。こうしてビデオテープ化される映画作品の数が次第に増えてゆくと、そうしたビデオテープを貸すレンタルビデオ業者が登場したが、映画会社の収益化の方法が確立されていなかったために、映画作品の「著作権」「貸与権」、テープの使用、上映が認められる範囲の線引きに関連する裁判となり、その結果レンタル業者は、映画会社に対して「正当な対価」を支払うべきだ、といった趣旨の判決が下され、数度の裁判や映画会社とレンタル業者の協会との交渉を経て、やがて「レンタル専用」のテープは一般人向けに販売されるテープよりも あらかじめかなりの高額でレンタル業者に販売されることで映画会社の収益とするしくみや、あるいは映画会社は「貸与権」の一部をレンタル業者に分けるかわりに、レンタル業者はテープが実際にレンタルされた回数を映画会社に報告し、その回数と連動する形で増えてゆく料金をしっかりと支払う、という内容の契約を結ぶ、というしくみが定着していった。こうしてビデオレンタル、という業態が確立すると、最初から劇場公開をせず、ビデオテープとして販売されたりレンタルされる形で視聴されることを想定して撮影される映画、というものも登場するようになった。こうした映画は「ビデオ映画」(あるいは「オリジナルビデオ」など)と分類される。その後 映画作品は、DVDやブルーレイでも販売・レンタルされるようになり、さらに近年、ブロードバンドが一般家庭にも普及すると、テレビ放送以外にネット配信からも映画会社が相応の権利料を得るようになった。2010年代以降、Netflixが、最初からNetflixのコンテンツとして提供するために、オリジナル映画を多数製作し日本を含む世界各国で配信するようになった[注 3]

こうして観客に映画作品が届けられる経路が多様化するにしたがい、境界域が曖昧になり、どこで線引きするか、決定的な線というは一律に定めることは次第に難しくなってきている。たとえばアメリカでは以前から「テレビ映画」のジャンルが活発であるが、映画のアカデミー賞や「ゴールデングローブ賞映画部門」などの映画賞の対象となる作品は、応募資格を「映画館で上映される作品」、あるいは「ペイパービューで配信される作品」と限定し、「テレビ映画」は排除しているのだが、その一方で、アメリカのエミー賞やゴールデングローブ賞テレビ部門などのテレビ番組賞には、「テレビ映画」を対象とする賞が別枠で設けられる、という状況になっている。

2017年2月にはNetflixオリジナル作品『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』(アインシーデル監督)が第89回アカデミー賞において短編ドキュメンタリー賞を受賞。新型コロナウイルス感染症の影響で多くの映画館が閉鎖された第93回アカデミー賞においては受賞資格が緩和されるとともに、初上映が配信形式であった作品のノミネート、受賞が相次いだ[10]
フィルム式 / 磁気媒体式 / デジタル式

映画の歴史を踏まえると、もともとは映画というのは写真フィルムで撮影されるものである。

やがて、そうしたフィルムを磁気フィルムにとりこむ、ということも行われるようになったが、もともと劇場で大型スクリーンに投影することを前提としている映画の世界では、基本的に35mmフィルムでの撮影が標準でありつづけた。

1990年代あたりから、国ごとに状況が異なるようになってゆき、資金面で余裕のあるハリウッドメージャーの場合、映画(や大型テレビドラマ)は未だ35mmフィルム撮影の方が圧倒的に主流でありつづけ、日本などではむしろデジタル化が進む、という現象も起きた。一部の国で写真フィルムで撮影した素材を一旦デジタル化し、デジタル技術ならではの加工や編集を行う、という手法も用いられるようになった。

2000年代に入ってからは、最初から写真フィルムを用いず、HD24p等のデジタル機器で撮影・編集され、その後フィルムに変換されたうえで劇場に納品される、という映画も登場し、徐々に増えていった。音声情報も映画館の多チャンネルサラウンド化に伴い、フィルムに焼き付けずにCD-ROMなどで納品される場合が増えてきた。(日本国内の限定的な事情については日本映画のページにて詳述する。)

最近の映画館(シネマコンプレックス)で上映される映画作品のほとんどは、「配給」のしくみも変わってきており、(従来のような、フィルムという物体の形で複製物をつくって、物体として「配達」されるのではなく)最初からデジタルデータの形で各映画館にネットワーク回線で伝送(VPN(や専用回線)で伝送)され、それが、デジタルデータを直接的に映像として投影する装置によって、スクリーン上に投影されるようになっている。技術的にいえば、データセンター内に映画会社側のサーバがあり、各映画館は映画作品のデータをダウンロードし、映画会社のほうは「デジタル的な鍵」のやりとりをすることで、各映画館で各作品を上映を可能にしたり反対に不可能にするような操作・管理を行い、ビジネスを行っている[11]
フィクション / ドキュメンタリーあるいはフィクション / ノンフィクション
コンテンツによる映画作品の分類法のひとつとしては、「フィクション映画」 / 「ドキュメンタリー映画」 と分類する方法がある。また(文章を用いた芸術などと同様に)フィクション映画 / ノンフィクション映画 と分類する方法もある。
国籍別
映画作品については、国籍で分類する、国籍を一種のジャンルのように扱う、ということも行われている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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