映画秘宝
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男向けの映画雑誌を作りたかった」「蓮実重彦流の『映画を語るのがオシャレ』な雑誌もイヤだった」「かつて、石上三登志らが刊行していた映画雑誌『映画宝庫』の影響を受けている」「雑誌『Cut』の映画について書いているライターたちが、映画に全然詳しくないので腹がたった」などと語っている[1]

1996年に町山が退職し、田野辺尚人が実質の2代目編集長として刊行を継続した。だが、田野辺は健康上の理由から『映画秘宝』の編集実務から退いた(田野辺はのち、2007年9月刊行の『グラインドハウス映画入門』以降、「別冊映画秘宝」編集長として、ムック時代の匂いをただよわせる書籍を刊行している)。

1999年に、A4判の隔月刊映画雑誌としてリニューアル、2002年より月刊化した。雑誌化により、デザイン担当は高橋ヨシキに交代した。

その後は大矢雅則が編集長をつとめていたが、2007年に退社し、松崎憲晃をへて、2012年11月号から[2] 2020年の休刊まで岩田和明が編集長だった。

2020年2月1日付で洋泉社が宝島社に吸収合併され解散するのに伴い、宝島社では継続発行せず、2020年3月号をもって休刊となった[3][4][5]。その後、岩田が新たに発足させた合同会社オフィス秘宝が「映画秘宝」の商標権を取得、岩田が編集長として同社による編集、双葉社が発行する形で同年4月21日発売の6月号より復刊することが決まった[6][7]
編集長・岩田和明の恫喝DM問題

2021年、編集長(当時)の岩田和明が公式Twitterアカウントを通じて、批判的な発言をした一部のアカウントに対し恫喝的なダイレクトメッセージ(DM)を送っていた事が判明した[8][9][10]

発端は2021年1月5日放送のTBSラジオアフター6ジャンクション』に岩田と編集部の岡本敦史が出演し、別冊号「決定版 韓国映画究極ガイド」や韓国映画について語ったところ、女性リスナーが17日に(その女性リスナーの勘違いで)「女性ゲストが出ると思ったら男性しかいなかった」、同誌にホモソーシャル的なノリがある「あの雑誌まわりが全部苦手で、勝手に幻滅している」「アトロク(うたまるさん)とか映画秘宝とかは“俺たちのー!”とか“ポンコツ”とかそう言うノリがしんどーい」「私は映画秘宝全然読んでなくてあんまりいいイメージなくて」「男性執筆陣ばっかの本も買いたくねーな」「純粋な悪口です」と批判するツイートを行ったもので、この女性に対しDMで「私は、『俺たちの?』も『ポンコツ』も、いちども言ったことがありません。」「胸が締め付けられるほど苦しい」「死にたい」等の内容の文章を送った物である[8]

受け取った女性がこのDMの内容を「死にたくなるってこっちに訴えてくるの驚きのセンシティブさで、これわざわざ検索して見てその相手にDMしてくんのヤバくないですか??!!!!」というツイートと共に公開したことで問題が発覚、25日に公式アカウント上で一連の経緯を説明するとともに、公式アカウントが岩田の管理で運用されていたこと、また「過労の中で一方的に頭に血がのぼってしまい、憤りを感じてしまったため」単独行動で当該DMを送付したと説明、岩田に全責任があるとして、謝罪とともにアカウントの管理業務から外す措置を執った[9]

翌26日には同じく公式アカウントにてオフィス秘宝執行社員の田野辺尚人、相談役の町山智浩柳下毅一郎、そして編集部一同の連名で謝罪文を公表、「雑誌という公共性を持ったメディアが個人に対して攻撃を加える行為を、断じて許せない行為だと考える」として改めて謝罪、岩田については謝罪文を送る前に女性に電話で直接連絡していたことも明らかにするとともに、「看過することができない、本誌の心情と真っ向から対立する、許しようのない行為」と断じ、「断固たる処分を行う」と明言もしている[8][10]。また、「この件に関しては発行元である株式会社双葉社は一切関与していません」と説明している[10]

一方で、岩田が当該女性の連絡先を入手した経緯について、「抗議の電話を受けた双葉社がオフィス秘宝に共有した」という指摘が出ていることから、追加の説明を求める声も出ている[10]。こうした一連の事態を受けて双葉社も公式サイトにおいて謝罪文を掲載、「当該事案についての個人情報を含めた情報共有の過程においても、その取扱いについて弊社としても慎重さを欠いた対応となってしまった」と謝罪している[11][12]

一連の騒動を受けて、起点となった『アフター6ジャンクション』パーソナリティの宇多丸は26日の放送でこのことに触れ、岩田の行動について「一見、下に出ているようで、一種の脅し。アウト中のアウトを重ねてしまった」と断じ、火曜パートナーの宇垣美里も「まごうことなき脅迫」と非難した。また、被害女性に対し気遣いを見せるとともに、番組自体も改善を図る方針であると語っている[13]。同年2月2日、オフィス秘宝は岩田が編集長職を辞任するとともに自主退社したことを発表した[14]

2021年12月2日、「映画秘宝」およびオフィス秘宝が、紙面上・SNS上での経緯説明と正式な謝罪文の掲載を見送り続けていることをうけ、現編集部員ら6名のうち、編集長を含む5名が連名で翌月号(2022年2月号)以降の編集業務から自主的に外れることを発表した[15]。なお、その前日の2021年12月1日、有限会社スタジオ・ハードの創業者で、出版プロデューサーの高橋信之が、新編集長に就任することをFacebook上で発表した[16]。その一方で2022年1月19日には町山智浩が本件被害者との同意を得て編集業務に復帰することを表明するとともに、被害者とオフィス秘宝、双葉社の三者の間で既に和解が成立していること、和解に関しての誌面への掲載が双葉社の方針で差し止められていることを明かしている[17][18]

その後2022年2月21日に双葉社が同年3月19日発行の2022年5月号をもって同社の刊行物としては休刊すると発表した。営業上の経営判断が理由だとしており、今後については5月号誌面及び3月末開設予定のオフィス秘宝公式サイトで発表するとしている[19][20][21]
オフィス秘宝での展開

オフィス秘宝は、自身の公式サイトにおいて、自社は2021年8月、双葉社は2022年1月に、DM被害者との法的和解を行ったと表明している[22]。また、同じサイトにおいて、2022年に、事件の再発防止策や、被害者からの質問への回答を掲載している[23]

オフィス秘宝は「映画秘宝公式note」を開設して、町山智浩の評論などを、有料で配信する業務を行っている。
再々創刊

2023年12月19日、新たに設立された合同会社秘宝新社が雑誌の権利を取得し2024年1月19日発売の3月号から月刊誌として改めて創刊されることが発表された[24]
関連する叢書等

ムック時代には、類似コンセプトの『マンガ地獄変』(水声社)、『悶絶プロレス秘宝館』(シンコー・ミュージック)も刊行され、「昭和B級カルチャー・リスペクト・3ムック」として鼎立していたが、他の2ムックは短期間で休刊となった。

洋泉社からは『映画秘宝』の兄弟ムックとして、『まんが秘宝』『活字秘宝』『音楽秘宝』『ジャリカル秘宝』等も刊行されたが、やはりいずれも数号で休刊となった(なお、2013年7月「まんが秘宝」が15年ぶりに刊行)。また、洋泉社から発行されていた雑誌『オトナアニメ』は、元『映画秘宝』編集部の大矢雅則が創刊した雑誌である。

なお、2005年からウルトラヴァイヴにより刊行されている『Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲』(編集:高護)シリーズも、映画+歌謡曲という独自の路線を歩んでいるが、ムック時代の『映画秘宝』の影響を感じさせる内容である。
映画秘宝・兄弟ムック

まんが秘宝 ぶっちぎりヒーロー道

まんが秘宝 Vol. 2 つっぱりアナーキー王(キング)

活字秘宝 この本は怪しい!!―日本一のモーレツ・ブックガイド

まんが秘宝 Vol. 3 まんがチャンピオンまつり―ぶっちぎりヒーロー道・リターンズ!!

ジャリカル秘宝 Vol. 1 冒険!おもちゃ箱!!

音楽秘宝 ベスト盤でOK!

活字秘宝 vol.2 平成の名探偵50人

まんが秘宝 男のための青春まんがクロニクル

主なライター



アイカワタケシ

會川昇

青井邦夫

小明

伊東美和

市川力夫 (元・編集者)

井口昇

ウエダハジメ

浦山珠夫佐藤利明

江戸木純

大槻ケンヂ

大畑晃一

尾崎一男

快楽亭ブラック

キシオカタカシ

キ・ターヴォ

ギンティ小林

くれい響(元・編集者)




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