映画倫理委員会
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DVD作品やゲームソフトなどの審査は別団体が行うが、経済産業省の指導により2006年(平成18年)7月に映像コンテンツ倫理連絡会議が設置され、日本ビデオ倫理協会(NEVA、ビデ倫)、コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS、ソフ倫)、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)、日本アミューズメントマシン工業協会(JAMMA)とともにレイティングの審査基準・表示の統一化を検討している。
映倫マーク

日本国内で制作・上映される映画作品の内容を審査し、パスしたものについては映画本編(予告編含む)の題名もしくは最後の右下(左下の場合あり)[注釈 1]に「映倫マーク」(楕円形の中に「映倫」の文字と、審査番号が記されたもの[注釈 2])を表示することができる。表示された作品について、映倫は審査の責任を負う。審査を通過できなかった、あるいは受けていない作品が映倫マークを使用することは許されない[注釈 3]

映画倫理規程制定以前に製作・封切りされた作品(サイレント映画は除く)でも、映画館でのリバイバル上映の際に、内容の審査が入り、「映倫マーク」が適用されることがある。
わいせつ基準の緩和

2008年(平成20年)に出されたメイプルソープ事件の最高裁判決により、芸術作品における刑法上のわいせつ判断基準が緩和され、それに伴い映倫基準も以下のように緩和された[8]
外国文化尊重の観点から、洋画に限られる。

海外で芸術的評価を受けている描写、または医学的な描写、性教育目的の学術的描写等の正当な理由があること。

露骨な描写ではないこと(アップにしないなど)。

静止画像ではないこと。

セックスシーンではないこと。

未成年者に配慮し、R指定とすること。

上記の要件を満たせばヘアのみならず性器であってもモザイク等の修正処理を施さなくてもよいとされ、性器が無修正で描写されている作品が多数上映されている。男性器が描写されている例としては、『jackass number two』や『ベティ・ブルー』等が、女性器が描写されている例としては、『愛についてのキンゼイ・レポート』、『クリムト』等がある。多くはいわゆる芸術映画であるが、『jackass number two』のような娯楽作品でも性器の無修正描写が許可されており、その基準は不明確なものとなっている。
問題点
審査委員

委員の平均年齢が60歳以上、近年まで女性が委員に起用されなかったことなど、審査体制が時代にそぐわなくなっていることが度々指摘されている。
審査基準

規制基準の不透明性が指摘されている。

前述のように猥褻とされる基準が曖昧である。

2022年5月18日、映倫は公式Twitterアカウントを通じて「映倫は表現の自由を守るためにあるもので、脚本やプロットの段階で審査を拒否することはない。もし拒否した場合は検閲となってしまう。」と発言し、「申請者から提出された脚本に対して、『このような表現をしたら【R15+】区分となる』[中略]といった打ち合わせを申請者と行っている」と説明している[9][10]。映倫は具体的な作品名について言及していないものの、複数のウェブメディアは同日Twitter上で告知が行われたホラー映画『オカムロさん』のキャッチコピーに「プロット段階で映倫が審査拒否と上映禁止警告を受けた」と記されていたことをうけて映倫がこの発言をしたとみている[9][10]

邦画の場合は完成前に提出された脚本などをチェックする「シナリオ審査」により想定されるレーティングを伝え助言を行っているが[11]、2020年公開の『劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」』では当初PG12での公開を予定し前売り券を販売していたが、公開前に映倫が最終審査でR15+に変更したため、政策委員会は前売り券を購入した15歳未満に対しチケット代を返金することとなった[12]
制度の整備

2007年(平成19年)4月に公開された『バベル』で、観客が点滅映像により光過敏性発作を起こした際には、映像技法の審査の不備が、同じく同月公開の『ツォツィ』のR-15指定を巡り再審査が却下された際には、再審査に関し成文化されたルールが未整備であることが問題となった[13]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 著作権表記と併記される場合が多い。
^ 現在のデザインは新映倫になってから。ポスターでは別のマークが用いられている。旧映倫時代は円形で上部に「管理委員会」の文字があった。
^ なお、「映倫」は登録商標である。

出典^ a b c d 映倫の概要、映画倫理機構、2017年4月10日閲覧。
^ 遠藤[1973], p.53.
^ 世相風俗観察会『増補新版 現代世相風俗史年表 昭和20年(1945)-平成20年(2008)』河出書房新社、2003年11月7日、30頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 9784309225043。 
^ 遠藤[1973], p.59.
^ 「太陽族映画に反発 各地で観覧を禁止」 朝日新聞、1956年8月3日付朝刊。
^ “余録:アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が…”. 毎日新聞. (2021年2月21日). https://mainichi.jp/articles/20210221/ddm/001/070/080000c 2021年3月13日閲覧。 
^ “「映倫」の一般財団法人化についてのお知らせ”. 映画倫理機構 (2017年3月28日). 2017年4月10日閲覧。
^ “海外で失笑される日本映画界のボカシ問題|シネマトゥデイ”. シネマトゥデイ. 2022年5月20日閲覧。
^ a b “「映倫が審査拒否」映画告知はウソだった 公式が否定「マジレスするのもどうかと思いますが...」”. J-CAST ニュース (2022年5月19日). 2022年5月20日閲覧。
^ a b “「映倫審査拒否の問題作」うたう映画に映倫が苦言 「映倫は表現の自由を守るためにある。拒否はしない」”. ねとらぼ. 2022年5月20日閲覧。
^ 映倫インタビュー「鬼滅の刃」大ヒットで〈PG12〉に注目集まる
^ “ ⇒劇場版「メイドインアビス 深き魂の黎明」鑑賞区分(レイティング)変更に関するお知らせ”. アニメ「メイドインアビス」公式サイト (2019年12月25日). 2022年9月10日閲覧。


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